ステッピングモーターの基礎知識を徹底解説!特徴や用途例、種類を紹介

投稿日

ステッピングモーターの基礎知識を徹底解説!特徴や用途例、種類を紹介


ステッピングモーターは、デジタル信号に基づいて特定の角度で回転する電動機で、精確な位置制御が可能になります。主に自動化機器や精密機械に用いられるこのモーターは、繰り返し精度と信頼性が高く、様々なア製品で重宝されています。
この記事では、ステッピングモーターの基本的な構造、動作原理、特性、および様々な用途について詳しく説明します。

ステッピングモーターとは何か?

ステッピングモーター(Stepper motor)は、電気信号を特定の角度での回転運動に変換する電動機です。これは、デジタル信号(パルス)に応じて、モーターが決められたステップ(角度)だけ回転する特性があります。この性質により、ステッピングモーターは非常に正確な位置制御が可能であり、特定の位置に精密に停止させることができます。この種のモーターは、その繰り返し精度と信頼性の高さから、自動化された機器や精密機械、コンピュータ制御されたアプリケーションに広く使用されています。ステッピングモーターの能力は、それが与えられたパルスの数と周波数によって決まり、高度に予測可能な運動を実現します。


関連記事:PWM(パルス幅変調制御)とは


 

ステッピングモーターの特徴


1.正確な位置決めが可能

ステッピングモーターの主要な特徴の一つは、非常に正確な位置決めが可能であることです。各電気パルスはモーターを予め定められた角度で回転させ、この精確なステッピング動作により、モーターは指定された位置に正確に停止します。この特性は、精密機械工作やロボティクスなど、高度な精度が求められるアプリケーションにおいて非常に価値があります。ステッピングモーターは、繰り返しの位置決めや複雑な動きのパターンを正確に実行する能力を持ち、結果として高い信頼性と性能に繋がっています。

 

2.制御が簡単

ステッピングモーターのもう一つの重要な特徴は、その制御の簡易さです。基本的には、モーターへの電気パルスを送るだけで動作し、複雑な仕組みが不要です。このシンプルさにより、プログラミングや制御システムの設計が容易になることで、さまざまな種類の装置やシステムに迅速に統合することが可能になります。また、この直接的な制御方法は、モーターの動作を容易に予測し、適切なタイミングで精確に操作することを可能にします。このように、ステッピングモーターは幅広い技術領域での利用に適しています。

 

ステッピングモーターのシステム構成

ステッピングモーターシステムは主に以下の三つの要素で構成されます。
・モーター本体
・ドライバー
・コントローラー

モーター本体は物理的な動きを提供する部分であり、電気パルスに応じて決められた角度で回転します。ドライバーはモーターへの電力供給を制御し、モーターが必要なパワーを得られるようにします。コントローラーはシステムの「脳」であり、ドライバーに指示を出しモーターの動きをコントロールします。これらの部品が連携して動作することで、ステッピングモーターは高精度で複雑な動作を実行することができます。システムはプログラム可能で、多様な動作パターンや速度設定が可能です。これにより、ステッピングモーターは多種多様な製品に適用される汎用性の高いモーターとして活用されています。


パルス信号とは何か?

パルス信号は、ステッピングモーターを制御するために使用される電気的な信号です。これは、一連のオンとオフの状態(デジタル信号)で構成され、モーターに特定の動作を指示します。各パルスはモーターを一定の角度で回転させる命令を提供し、パルスの数と頻度によってモーターの動きが決定されます。このシンプルながら効果的な制御方法により、ステッピングモーターは精密な位置決めと動作の制御が可能になります。パルス信号の使用により、高度なプログラミングと精密な動きの組み合わせが可能となり、多岐にわたる製品での使用が実現します。

 

回転角度

ステッピングモーターの回転角度は、モーターが一つのパルスに応答して回転する固定角度を指します。この角度は、モーターの設計によって異なり、一般的には1.8度(200ステップ/回転)から0.9度(400ステップ/回転)の範囲です。小さな回転角度は高い分解能を意味し、より精密な制御が可能になります。ステップ角度を正確に制御することで、ステッピングモーターは特定の位置に正確に停止することができ、高精度な動作が要求される製品に最適です。

 

回転速度

ステッピングモーターの回転速度は、パルス信号の周波数によって決定されます。パルス信号が高頻度で送られると、モーターはより速く回転し、逆にパルスの頻度が低いと回転速度は遅くなります。この特性により、ステッピングモーターの速度は非常に正確に制御でき、必要に応じて細かく調整することが可能です。速度制御の精度は、ステッピングモーターを自動化技術や精密機械に適した選択肢にしています。


ステッピングモーターの用途例を紹介


用途例紹介 デジタルカメラのオートフォーカスやズーム

デジタルカメラにおけるオートフォーカスやズーム機能の制御にステッピングモーターが利用されています。これらの機能では、レンズの位置を正確に調整することが重要で、ステッピングモーターはその精密な動きにより最適な焦点距離やズームレベルを提供します。小型で正確な位置決めが可能なステッピングモーターは、カメラのコンパクトな設計と高機能化に不可欠な要素です。

 

用途例紹介 カップ式の自動販売機

カップ式の自動販売機では、ステッピングモーターが飲料の選択と供給のメカニズムに使用されています。モーターは、顧客が選んだ飲料のカップを正確な位置に移動させ、提供口まで導く役割を担います。ステッピングモーターの精密な制御能力により、自動販売機は迅速かつ正確に顧客の要求に応えることができます。

 

用途例紹介 生産ラインのベルトコンベア

生産ラインにおけるベルトコンベアシステムでは、ステッピングモーターが一定の速度での回転を制御します。これにより、製品や材料を効率的かつ均一に生産ラインを通過させることができます。ステッピングモーターの精確な速度制御は、生産プロセスの最適化と品質維持に重要な役割を果たします。

 

用途例紹介 産業用ロボットの関節部

産業用ロボットの関節部では、ステッピングモーターがロボットの動きを正確に制御します。これらのモーターは、ロボットアームの精密な動きやポジショニングを可能にし、製造工程における複雑なタスクを実行します。ロータリーエンコーダと組み合わせたステッピングモーターは、さらに高い制御精度と柔軟性を提供し、産業ロボットの性能向上に貢献しています。

 

ステッピングモーターの種類


種類紹介 VR(Variable Reluctance)型

VR型ステッピングモーターは、磁気抵抗の変化を利用して動作します。このタイプのモーターは、非磁性のローターを持ち、磁気回路を形成するためにステーターに複数のコイルが配置されています。ローターがステーターの磁力に引き寄せられることで回転し、高速動作に適しています。しかし、VR型は保持トルクが低く、ロードが取り外された状態での正確な位置保持が難しいという特性があります。...

ステッピングモーターの基礎知識を徹底解説!特徴や用途例、種類を紹介


ステッピングモーターは、デジタル信号に基づいて特定の角度で回転する電動機で、精確な位置制御が可能になります。主に自動化機器や精密機械に用いられるこのモーターは、繰り返し精度と信頼性が高く、様々なア製品で重宝されています。
この記事では、ステッピングモーターの基本的な構造、動作原理、特性、および様々な用途について詳しく説明します。

ステッピングモーターとは何か?

ステッピングモーター(Stepper motor)は、電気信号を特定の角度での回転運動に変換する電動機です。これは、デジタル信号(パルス)に応じて、モーターが決められたステップ(角度)だけ回転する特性があります。この性質により、ステッピングモーターは非常に正確な位置制御が可能であり、特定の位置に精密に停止させることができます。この種のモーターは、その繰り返し精度と信頼性の高さから、自動化された機器や精密機械、コンピュータ制御されたアプリケーションに広く使用されています。ステッピングモーターの能力は、それが与えられたパルスの数と周波数によって決まり、高度に予測可能な運動を実現します。


関連記事:PWM(パルス幅変調制御)とは


 

ステッピングモーターの特徴


1.正確な位置決めが可能

ステッピングモーターの主要な特徴の一つは、非常に正確な位置決めが可能であることです。各電気パルスはモーターを予め定められた角度で回転させ、この精確なステッピング動作により、モーターは指定された位置に正確に停止します。この特性は、精密機械工作やロボティクスなど、高度な精度が求められるアプリケーションにおいて非常に価値があります。ステッピングモーターは、繰り返しの位置決めや複雑な動きのパターンを正確に実行する能力を持ち、結果として高い信頼性と性能に繋がっています。

 

2.制御が簡単

ステッピングモーターのもう一つの重要な特徴は、その制御の簡易さです。基本的には、モーターへの電気パルスを送るだけで動作し、複雑な仕組みが不要です。このシンプルさにより、プログラミングや制御システムの設計が容易になることで、さまざまな種類の装置やシステムに迅速に統合することが可能になります。また、この直接的な制御方法は、モーターの動作を容易に予測し、適切なタイミングで精確に操作することを可能にします。このように、ステッピングモーターは幅広い技術領域での利用に適しています。

 

ステッピングモーターのシステム構成

ステッピングモーターシステムは主に以下の三つの要素で構成されます。
・モーター本体
・ドライバー
・コントローラー

モーター本体は物理的な動きを提供する部分であり、電気パルスに応じて決められた角度で回転します。ドライバーはモーターへの電力供給を制御し、モーターが必要なパワーを得られるようにします。コントローラーはシステムの「脳」であり、ドライバーに指示を出しモーターの動きをコントロールします。これらの部品が連携して動作することで、ステッピングモーターは高精度で複雑な動作を実行することができます。システムはプログラム可能で、多様な動作パターンや速度設定が可能です。これにより、ステッピングモーターは多種多様な製品に適用される汎用性の高いモーターとして活用されています。


パルス信号とは何か?

パルス信号は、ステッピングモーターを制御するために使用される電気的な信号です。これは、一連のオンとオフの状態(デジタル信号)で構成され、モーターに特定の動作を指示します。各パルスはモーターを一定の角度で回転させる命令を提供し、パルスの数と頻度によってモーターの動きが決定されます。このシンプルながら効果的な制御方法により、ステッピングモーターは精密な位置決めと動作の制御が可能になります。パルス信号の使用により、高度なプログラミングと精密な動きの組み合わせが可能となり、多岐にわたる製品での使用が実現します。

 

回転角度

ステッピングモーターの回転角度は、モーターが一つのパルスに応答して回転する固定角度を指します。この角度は、モーターの設計によって異なり、一般的には1.8度(200ステップ/回転)から0.9度(400ステップ/回転)の範囲です。小さな回転角度は高い分解能を意味し、より精密な制御が可能になります。ステップ角度を正確に制御することで、ステッピングモーターは特定の位置に正確に停止することができ、高精度な動作が要求される製品に最適です。

 

回転速度

ステッピングモーターの回転速度は、パルス信号の周波数によって決定されます。パルス信号が高頻度で送られると、モーターはより速く回転し、逆にパルスの頻度が低いと回転速度は遅くなります。この特性により、ステッピングモーターの速度は非常に正確に制御でき、必要に応じて細かく調整することが可能です。速度制御の精度は、ステッピングモーターを自動化技術や精密機械に適した選択肢にしています。


ステッピングモーターの用途例を紹介


用途例紹介 デジタルカメラのオートフォーカスやズーム

デジタルカメラにおけるオートフォーカスやズーム機能の制御にステッピングモーターが利用されています。これらの機能では、レンズの位置を正確に調整することが重要で、ステッピングモーターはその精密な動きにより最適な焦点距離やズームレベルを提供します。小型で正確な位置決めが可能なステッピングモーターは、カメラのコンパクトな設計と高機能化に不可欠な要素です。

 

用途例紹介 カップ式の自動販売機

カップ式の自動販売機では、ステッピングモーターが飲料の選択と供給のメカニズムに使用されています。モーターは、顧客が選んだ飲料のカップを正確な位置に移動させ、提供口まで導く役割を担います。ステッピングモーターの精密な制御能力により、自動販売機は迅速かつ正確に顧客の要求に応えることができます。

 

用途例紹介 生産ラインのベルトコンベア

生産ラインにおけるベルトコンベアシステムでは、ステッピングモーターが一定の速度での回転を制御します。これにより、製品や材料を効率的かつ均一に生産ラインを通過させることができます。ステッピングモーターの精確な速度制御は、生産プロセスの最適化と品質維持に重要な役割を果たします。

 

用途例紹介 産業用ロボットの関節部

産業用ロボットの関節部では、ステッピングモーターがロボットの動きを正確に制御します。これらのモーターは、ロボットアームの精密な動きやポジショニングを可能にし、製造工程における複雑なタスクを実行します。ロータリーエンコーダと組み合わせたステッピングモーターは、さらに高い制御精度と柔軟性を提供し、産業ロボットの性能向上に貢献しています。

 

ステッピングモーターの種類


種類紹介 VR(Variable Reluctance)型

VR型ステッピングモーターは、磁気抵抗の変化を利用して動作します。このタイプのモーターは、非磁性のローターを持ち、磁気回路を形成するためにステーターに複数のコイルが配置されています。ローターがステーターの磁力に引き寄せられることで回転し、高速動作に適しています。しかし、VR型は保持トルクが低く、ロードが取り外された状態での正確な位置保持が難しいという特性があります。このため、主に高速かつ短距離の動作が必要なアプリケーションに使用されます。

 

種類紹介 PM(Permanent Magnet)型

PM型ステッピングモーターは、ローターに永久磁石を使用し、強力な保持トルクを提供することが特徴です。このタイプのモーターは、磁力を利用してステップ動作を実現し、低速での精密な動作に適しています。PM型ステッピングモーターは、停止時の位置保持能力が高く、電力を供給していない状態でも一定の位置を保つことができます。これにより、位置制御が重要なアプリケーションや、電力供給が不安定な環境での使用に適しています。

 

種類紹介 HB(Hybrid)型

HB型ステッピングモーターは、VR型とPM型の特性を組み合わせたハイブリッドタイプです。このタイプのモーターは、永久磁石と歯車状のローターを利用し、高いトルクと精度を提供します。HB型は、低速から中速の範囲での動作に優れており、広い範囲の製品に適用できます。特に、高い精度とトルクが要求される産業用機器や精密機械に広く使用されています。HB型ステッピングモーターは、そのバランスの取れた性能により、多目的で柔軟な使用が可能です。

 

ギヤードタイプのモーターのメリット


メリット紹介 コストが安い

ステッピングモーターは、製造コストが比較的低いことが大きなメリットです。これらのモーターは、単純な構造と信頼性の高い機構を持ち、大量生産に適しているため、コストを抑えることが可能です。さらに、ステッピングモーターは耐久性が高く、長期間の使用に耐えるため、メンテナンスや交換のコストも低く抑えられます。

 

メリット紹介 回路が簡単

ステッピングモーターの制御回路は比較的シンプルであり、複雑なフィードバックシステムが不要です。この単純さにより、ステッピングモーターはプログラミングやシステム設計が容易で、多様なアプリケーションへの統合が簡単に行えます。また、シンプルな回路設計は、システムの信頼性を高め、トラブルシューティングを容易にします。

 

メリット紹介 小型である

ステッピングモーターは、その精密な制御能力にもかかわらず、コンパクトなサイズで提供されます。これにより、限られたスペースでの使用に適しています。また、角度検出器が不要であるため、さらにシステムを小型化し、設置スペースを最小限に抑えることができます。

 

メリット紹介 整定後の振動がない

ステッピングモーターは、動作が停止した後に不要な振動がほとんど発生しません。この安定性は、精密機器や高度な制御が必要な製品において非常に有利です。整定後の振動が少ないため、精度の高い位置決めや動作制御が可能になります。

 

メリット紹介 低い電源電圧にて駆動可能

ステッピングモーターは、低電圧でも効率的に駆動可能です。この特性は、エネルギー消費を抑えると同時に、電源要件を簡素化し、コストを削減することを可能にします。低電圧での運用は、特にバッテリー駆動の携帯型装置やリモートシステムにおいて重要な利点です。

 

まとめ

ステッピングモーターは、その正確な位置制御、簡単な制御、小型で高トルク発生などの特性を持つ、非常に汎用性の高いモーターです。これらの特徴は、デジタルカメラのオートフォーカス、自動販売機、生産ラインのベルトコンベア、産業用ロボットなど、多種多様な製品において重要な役割を果たしています。種類もVR型、PM型、HB型など多様で、用途に応じて最適なタイプが選択できます。ステッピングモーターは、精密制御が求められる現代の多くの技術分野で不可欠な要素であり、その発展と応用は今後も拡大していくことでしょう。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。


「電気・電子技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
無線・電気回路に、なぜノイズが存在するのか、ノイズ除去の基本とは

  ノイズの発生と対策について(ノイズ除去の基本と応用)本記事は、ちまたでよく耳にするコトバ、キーワードなどを筆者の経験事例を踏まえた見解...

  ノイズの発生と対策について(ノイズ除去の基本と応用)本記事は、ちまたでよく耳にするコトバ、キーワードなどを筆者の経験事例を踏まえた見解...


PWM(パルス幅変調制御)とは

  電動機(モーター)の制御方式には、代表的なものでPWM制御、PID制御、マイコン制御、ベクトル制御などがあります。どの制御方式が最適か...

  電動機(モーター)の制御方式には、代表的なものでPWM制御、PID制御、マイコン制御、ベクトル制御などがあります。どの制御方式が最適か...


ハンダ付けのコツを紹介!【初心者向け】流れや良い例・悪い例を紹介

ハンダ付けは電子部品を基板に固定する基本的な技術で、正確な手順と練習が重要です。まずはんだごてを加熱し、基板のハンダ付け箇所にあて、はんだを溶かして部...

ハンダ付けは電子部品を基板に固定する基本的な技術で、正確な手順と練習が重要です。まずはんだごてを加熱し、基板のハンダ付け箇所にあて、はんだを溶かして部...


「電気・電子技術」の活用事例

もっと見る
新技術の特長活かした新規事業機会創出に向けて

※イメージ画像   1. 電子部品業界を牽引 ~ リバーエレテック社  今回は水晶振動子や水晶発振器を中心に業界のリーディングカンパニー...

※イメージ画像   1. 電子部品業界を牽引 ~ リバーエレテック社  今回は水晶振動子や水晶発振器を中心に業界のリーディングカンパニー...