グローバル&アメリカ編 電気自動車販売台数詳細解説(その1)

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トヨタ自動車出身で海外メーカ勤務の国際感覚豊富な筆者が、電気自動車(BEV)のグローバル販売台数のレポートを連載で解説します。今回は、グローバル&アメリカ編です。

 

1. 2022年の電気自動車(BEV)のグローバル販売台数

2022年のグローバル販売台数です。公表されている多くの年間台数は、BEV+PHEVの台数ですが、ここでは、BEV台数のみをレポートします。カーボンニュートラル上、HVが認められないなら、炭酸ガスを排出するPHEVも適切ではないため、BEV台数のみをフォローします。TOP10の会社・企業グループのTOP10をグラフにまとめました。

 

EV

 

TOPは、テスラです。過半の5社は中国系です。欧州メーカー、あるいは欧州を核とする多国籍企業が3社、そして5位はHyundai/KIAとなっています。グローバルのBEV販売総数は、実に700万台近くとなります。全世界の自動車販売総数8000万台の10%弱です。(The Wall Street Journal 報道では約780万台、LMCオートモーティブ集計の速報値にて)下期の伸び率を次の表で見ますと、BYD、VW、広州汽車の伸びが目立ちます。一方でテスラの伸びは鈍化しています。

 

EV

 

BYDのこの伸びは、中国国内の伸びによるものです。BYDは2023年から、日本でのEV販売、欧州でのEV販売を本格化しますので、2023年はさらに台数が増えるものと推定します。日本で1月31日から発売したATTO3は440万円と、欧州販売価格550万円よりもかなり戦略的な価格となっています。BYDはPHEVも多数販売しています。BEV+PHEVの台数で比較すると、世界TOPはBYDとなります。VWは欧州中心に急増しています。日本でもID.4の発売が始まりました。

 

2. 2022年のアメリカでの電気自動車(BEV)の販売台数

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

2022年のアメリカでの電気自動車(BEV)の販売台数の概要です。アメリカでのBEVの総販売台数は76万台です。(欧州は112万台、中国は537万台、日本は6万台弱)以下のリストは、年間販売台数5000台以上の18車種です。

 

EV

 

TOPのModel Yが約24万台、一番下のBMW iXが6000台弱です。橙色はアメリカOEM、青が欧州系OEMのクルマです。下位になると欧州系が目立ってきます。TOP18車種はアメリカ、欧州、そして韓国で占めています。アメリカらしい特徴は 10位のRivianと11位のFord F150のEV Lightningです。それぞれ、約2万台、1万5千台販売されました。

 

この2車種はアメリカで大人気のライトトラックで、重量はそれぞれ約2700kg、3000kg、約3トンのクルマです。ライトトラックのEVなんて無理、と思っていましたが、今後、どんどんとアメリカ市場に投入される雰囲気です。

 

ちなみに、アメリカでのベストセラー車は41年連続で、Ford F150で、2021年 約73万台、2022年 約64万台販売されました。そのEV版が1万5千台でした。アメリカBEVの販売のもうひとつの特徴は、高価格のBEVが多いという点です。Model SやX、EQS、Taycan、iXなど、1000万~2000万円のクルマです。最後に、メーカ別のシェアを円グラフで示します。圧倒的にTeslaです。

 

EV

 

次回、2022年の年間電気自動車販売台数(その2)では、欧州・日本・中国をレポートします。

◆関連解説記事:トヨタとサムスンの違い 【連載記事紹介】

 

※更なる詳細解説は筆者のサイトをご覧ください。https://www.tech-t.jp/

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この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

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