プロシューマー・アンケート法(3) 【快年童子の豆鉄砲】(その44)

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アイデア発想法

 

◆プロシューマー・アンケート法(3)

2.創造的発想のベース(A)を手に入れるための「プロシューマー・アンケート(PA)」とは

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その43)へのリンク】

4)問いかけを「欲しい情報を具体的な形」にする

(その43)で整理した図116-1 カリスマの発想を手に入れる方法「プロシューマー・アンケート(PA)」で手に入れようとしている「創造的発想のベース(A)」の内容を説明すれば、従業員は、PAで求められている内容を理解し、それなりの思いが浮かんでくると思うのですが、適切な言葉での表現が出来ないのが一般的な実状です。

 

アイデア発想法

図116-1 カリスマの発想を手に入れる方法

 

そこで、その思いが自然に含まれて来るような“具体的なもの”を問いかける形にしようと考え、検討した結果、次の三つのニーズ「夢ニーズ」「期待ニーズ」「改善ニーズ」を問いかけることにしたのです。それぞれの内容とそれを引き出す問いかけを以下に説明します。

 

ⅰ)夢ニーズ

本人の中で「夢みたいな話だけど、こんなものがあったらいいなあ」と思うようなもので、十年二十年先のテーマを念頭にしており、市場創造型商品コンセプトに繋がることが期待できるものです。

 

ⅱ)期待ニーズ

本人の中で「今の技術なら当然できると思うのに何故ないの?」と思うようなもので、5年位先を念頭に既存市場をリードできる商品コンセプトに繋がることが期待できるものです。

 

ⅲ)改善ニーズ

本人の中で「今ある製品のここを改善してほしい」と思うようなもので、一見、既存の改善提案制度と混同しそうですが、発想の原点が全く違いますので「夢ニーズ」や「期待ニーズ」に繋がる要素を含んでいる可能性が期待できるのと、提案と言う自主性ではなく、求められることによる全員参加の可能性が期待できる点が重要です。

 

以上がそれぞれに込めた思いの説明なのですが、手に入れるものが、上記趣旨に沿ったものとなるためには、アンケートの問いかけが相応しいものでなくてはなりませんので、その点に対する注意点を下記しますので、アンケートの準備に活用願えればと思います。

 

5)問いかけのポイント

前項で、カリスマの「創造的独創的発想のベース(A)」を手に入れるために、プロシューマー・アンケート(PA)では三つの問いかけを提案しているのですが、問いかけの仕方によっては思うような情報が手に入らない可能性があります。そこで、狙い通りの情報が入手できる問いかけのポイントを下記しますので参考にして頂ければと思います。

 

ⅰ)夢ニーズ

10年20年先のテーマを念頭にした、市場創造型商品コンセプトに繋がる発言情報を期待するわけですから、発言の冒頭に「夢みたいな話だけど」とか「無理だと思うけど」と言った枕詞が付くような発言情報が欲しいわけですのでその点を強調する問いかけが望ましいです。

 

一番避けなければいけないのが、そのようなアドバイスを受けて浮かんだものが、とんでもなく突拍子もないものだからと言う理由で、本人の頭の中でボツにされてしまうことで、その点は重々強調する必要があります。

 

この為、PAの評価会の雰囲気を、発言内容の突拍子もない度合いが高いほど“凄いっ!”と称賛するような雰囲気に持って行くことが大切で、万が一にも、そのような発言内容を嘲笑するような反応が出るようなことがないようにする必要があります。

 

何しろ、過去に、新市場を生み出したような商品やアイデアは、その時点での常識ではありえない、役員全員が反対するようなものだったという認識が必要です。

 

ⅱ)期待ニーズ

こちらは、問いかけの冒頭に「今の技術なら当然できると思うのに何故ないの?」を置いたように、現技術での実現性が高く、5年位先を念頭に既存市場をリードできる商品コンセプトに繋がることが期待できるものですので、比較的スムーズに出てくると思われます。

 

ただ、本人が「今の技術なら当然できると思う」前提情報が重要ですので、その点を強調することにより、本人の中で、今まであまり意識していなかった情報が「そう言えば…」と言った反応から具体的な情報の発想に結びつく可能性がありますので、そういった点を念頭にした説明を心掛けられるといいと思います。

 

ⅲ)改善ニーズ

これの場合は、前述しましたように、一見、既存の改善提案制度と混同しそうですが、既存の改善提案制度との決定的な違いは、求められることによる参加意識が高まるのと、発想の原...

アイデア発想法

 

◆プロシューマー・アンケート法(3)

2.創造的発想のベース(A)を手に入れるための「プロシューマー・アンケート(PA)」とは

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その43)へのリンク】

4)問いかけを「欲しい情報を具体的な形」にする

(その43)で整理した図116-1 カリスマの発想を手に入れる方法「プロシューマー・アンケート(PA)」で手に入れようとしている「創造的発想のベース(A)」の内容を説明すれば、従業員は、PAで求められている内容を理解し、それなりの思いが浮かんでくると思うのですが、適切な言葉での表現が出来ないのが一般的な実状です。

 

アイデア発想法

図116-1 カリスマの発想を手に入れる方法

 

そこで、その思いが自然に含まれて来るような“具体的なもの”を問いかける形にしようと考え、検討した結果、次の三つのニーズ「夢ニーズ」「期待ニーズ」「改善ニーズ」を問いかけることにしたのです。それぞれの内容とそれを引き出す問いかけを以下に説明します。

 

ⅰ)夢ニーズ

本人の中で「夢みたいな話だけど、こんなものがあったらいいなあ」と思うようなもので、十年二十年先のテーマを念頭にしており、市場創造型商品コンセプトに繋がることが期待できるものです。

 

ⅱ)期待ニーズ

本人の中で「今の技術なら当然できると思うのに何故ないの?」と思うようなもので、5年位先を念頭に既存市場をリードできる商品コンセプトに繋がることが期待できるものです。

 

ⅲ)改善ニーズ

本人の中で「今ある製品のここを改善してほしい」と思うようなもので、一見、既存の改善提案制度と混同しそうですが、発想の原点が全く違いますので「夢ニーズ」や「期待ニーズ」に繋がる要素を含んでいる可能性が期待できるのと、提案と言う自主性ではなく、求められることによる全員参加の可能性が期待できる点が重要です。

 

以上がそれぞれに込めた思いの説明なのですが、手に入れるものが、上記趣旨に沿ったものとなるためには、アンケートの問いかけが相応しいものでなくてはなりませんので、その点に対する注意点を下記しますので、アンケートの準備に活用願えればと思います。

 

5)問いかけのポイント

前項で、カリスマの「創造的独創的発想のベース(A)」を手に入れるために、プロシューマー・アンケート(PA)では三つの問いかけを提案しているのですが、問いかけの仕方によっては思うような情報が手に入らない可能性があります。そこで、狙い通りの情報が入手できる問いかけのポイントを下記しますので参考にして頂ければと思います。

 

ⅰ)夢ニーズ

10年20年先のテーマを念頭にした、市場創造型商品コンセプトに繋がる発言情報を期待するわけですから、発言の冒頭に「夢みたいな話だけど」とか「無理だと思うけど」と言った枕詞が付くような発言情報が欲しいわけですのでその点を強調する問いかけが望ましいです。

 

一番避けなければいけないのが、そのようなアドバイスを受けて浮かんだものが、とんでもなく突拍子もないものだからと言う理由で、本人の頭の中でボツにされてしまうことで、その点は重々強調する必要があります。

 

この為、PAの評価会の雰囲気を、発言内容の突拍子もない度合いが高いほど“凄いっ!”と称賛するような雰囲気に持って行くことが大切で、万が一にも、そのような発言内容を嘲笑するような反応が出るようなことがないようにする必要があります。

 

何しろ、過去に、新市場を生み出したような商品やアイデアは、その時点での常識ではありえない、役員全員が反対するようなものだったという認識が必要です。

 

ⅱ)期待ニーズ

こちらは、問いかけの冒頭に「今の技術なら当然できると思うのに何故ないの?」を置いたように、現技術での実現性が高く、5年位先を念頭に既存市場をリードできる商品コンセプトに繋がることが期待できるものですので、比較的スムーズに出てくると思われます。

 

ただ、本人が「今の技術なら当然できると思う」前提情報が重要ですので、その点を強調することにより、本人の中で、今まであまり意識していなかった情報が「そう言えば…」と言った反応から具体的な情報の発想に結びつく可能性がありますので、そういった点を念頭にした説明を心掛けられるといいと思います。

 

ⅲ)改善ニーズ

これの場合は、前述しましたように、一見、既存の改善提案制度と混同しそうですが、既存の改善提案制度との決定的な違いは、求められることによる参加意識が高まるのと、発想の原点が全く違いますので、現製品に対する改善要求の中に「夢ニーズ」や「期待ニーズ」に繋がる要素を含んでいる可能性が期待できる点です。

 

従って、既存の改善提案の延長と受け取られることなく積極的な情報提供がなされるようにガイドすることが必要です。出された情報の内容、即ち「夢ニーズ」や「期待ニーズ」に繋がる要素については、次のステップでの解析時に期待することで、発信時に拘る必要はありません。

 

以上ですが、最大のポイントは、頭の中にあるものをすべて出し切ってもらうことですので、その点を念頭に、臨機応変に対処してもらえばいいと思います。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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