品質保証度評価法とは(5) 【快年童子の豆鉄砲】(その32)

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QC

 

◆品質保証度(QAL)とは

1.はじめに

ここで言う「品質保証度」は、文字通り、ある品質項目に対する品質保証の度合いを示すもので、数値で示されます。

 

ただ、この数値は、SQCに見られるような、数学的な厳密性を有するものではなくて、使用目的に沿うべく経験に照らして数値化したものです。従って、一般的な「数値に対する厳密で絶対的な受け取り方」は通用しませんので、「QAL評価法」の活用に際しては、その数値化が、どのような考えで、どのような前提条件のもとになされたのかと言う「数値化の背景」を知っておくことが重要になります。

 

以下の説明は、その点に対するご理解を得るためのものと受け取って頂き、的確なご活用に活かして頂ければと思います。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その31)へのリンク】

 

2.品質保証度(略称 QAL:Quality Assurance Level)の定義

QALは次のように定義されます。

 

「QALは、QAシステムの完全保証状態を阻害する度合いである」従って、「QAL=0」が完全保証状態であり、QA活動の究極の目標と言うことになります。

 

3.QALの評価対象

QALの評価対象は、保証項目各々に対するもので、この点が、既に存在し一般的な品質保証度の把握手段である「体制監査」との根本的な違いと言えます。

 

対象を保証項目各々にする理由は、たとえ品質保証体制が確立されていても、全ての保証項目についてその体制がきちんと均等に網羅されているとは限らないからです。現に、QAL評価法で評価してみますと、同じ保証項目であっても、品種が違えばラインも違ってくるので保証度が大きく変わることを多く経験していますので極めて重要な点といえます。

 

4.QALの構成因子

QAL評価法ではQALの値を決定する因子として次の8つを設定しています。

 

表33-1 品質保証度評価の構成因子と係数

品種マネジメント

 

No.4と7に製品設計が入っていますが、これは「設計者は常に製造工程で発生する品質問題に関心を払い、その防止を心がけた設計をするべきである」との思いが込められており、実際に設計者がこのような観点で配慮した製品の保証度は、格段に高いものになります。

 

要するに、既存設備の品質の造り込みや検査能力のレベルアップが非常に難しい保証項目であっても、設計段階での対応であればいとも簡単にクリアできることを多く経験していますので、品質保証計画立案に際し、コンカレントエンジニアリングの一環としてNo.4と7に対する配慮がなされることが極めて重要であると言えます。

 

5.品質保証度の値(QAL値)の求め方

QAL値は、保証項目の品質を保証する母体によって3種類存在します。それぞれに対するQAL値の求め方は、表33-2に示す通りなのですが、表中に示されている係数の求め方は、次弾でご説明いたします。

 

表33-2 QAL値の求め方一覧表

品種マネジメント

 

QALの定義を、「品質保証システムの完全保証状態を阻害する度合いである」としたのは、完全なポカよけを工程に組み込んだ場合「品質保証システムの完全保証状態を阻害する度合いはゼロ」なので上式に「A=0」が入り「QAL=0」即ち、完全保証が成立するか...

QC

 

◆品質保証度(QAL)とは

1.はじめに

ここで言う「品質保証度」は、文字通り、ある品質項目に対する品質保証の度合いを示すもので、数値で示されます。

 

ただ、この数値は、SQCに見られるような、数学的な厳密性を有するものではなくて、使用目的に沿うべく経験に照らして数値化したものです。従って、一般的な「数値に対する厳密で絶対的な受け取り方」は通用しませんので、「QAL評価法」の活用に際しては、その数値化が、どのような考えで、どのような前提条件のもとになされたのかと言う「数値化の背景」を知っておくことが重要になります。

 

以下の説明は、その点に対するご理解を得るためのものと受け取って頂き、的確なご活用に活かして頂ければと思います。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その31)へのリンク】

 

2.品質保証度(略称 QAL:Quality Assurance Level)の定義

QALは次のように定義されます。

 

「QALは、QAシステムの完全保証状態を阻害する度合いである」従って、「QAL=0」が完全保証状態であり、QA活動の究極の目標と言うことになります。

 

3.QALの評価対象

QALの評価対象は、保証項目各々に対するもので、この点が、既に存在し一般的な品質保証度の把握手段である「体制監査」との根本的な違いと言えます。

 

対象を保証項目各々にする理由は、たとえ品質保証体制が確立されていても、全ての保証項目についてその体制がきちんと均等に網羅されているとは限らないからです。現に、QAL評価法で評価してみますと、同じ保証項目であっても、品種が違えばラインも違ってくるので保証度が大きく変わることを多く経験していますので極めて重要な点といえます。

 

4.QALの構成因子

QAL評価法ではQALの値を決定する因子として次の8つを設定しています。

 

表33-1 品質保証度評価の構成因子と係数

品種マネジメント

 

No.4と7に製品設計が入っていますが、これは「設計者は常に製造工程で発生する品質問題に関心を払い、その防止を心がけた設計をするべきである」との思いが込められており、実際に設計者がこのような観点で配慮した製品の保証度は、格段に高いものになります。

 

要するに、既存設備の品質の造り込みや検査能力のレベルアップが非常に難しい保証項目であっても、設計段階での対応であればいとも簡単にクリアできることを多く経験していますので、品質保証計画立案に際し、コンカレントエンジニアリングの一環としてNo.4と7に対する配慮がなされることが極めて重要であると言えます。

 

5.品質保証度の値(QAL値)の求め方

QAL値は、保証項目の品質を保証する母体によって3種類存在します。それぞれに対するQAL値の求め方は、表33-2に示す通りなのですが、表中に示されている係数の求め方は、次弾でご説明いたします。

 

表33-2 QAL値の求め方一覧表

品種マネジメント

 

QALの定義を、「品質保証システムの完全保証状態を阻害する度合いである」としたのは、完全なポカよけを工程に組み込んだ場合「品質保証システムの完全保証状態を阻害する度合いはゼロ」なので上式に「A=0」が入り「QAL=0」即ち、完全保証が成立するからです。

 

保証企業に「客先」が入っているのは、客先での保証を考慮することにより、費用対効果が著しく高まるケースを念頭に、エンドユーザーに対するQAを最も経済的に具現しようと言う「QAチェーン」の考え方からで、決して保証責任を回避しようと言うものではなく、仕入先に対しても同様でなければならないことは言うまでもありません。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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