清掃について クリーン化について(その79)

更新日

投稿日

クリーン化

 

【この連載の前回へのリンク】

今回から清掃について説明します。

 

クリーンルーム内の清掃についての説明ですが、クリーンルーム以外でも同じ考え方ができる部分があると思います。クリーンルームは奇麗な部屋だと思いがちです。そう思ってしまうと清掃の必要がないように思ってしまうかも知れません。

 

外から見るときれいに見えますが、実際にクリーンルームの中に入って良く観察すると、たくさんのゴミに気づきます。

 

昔から、“クリーンルームはクリーニングルーム”と言われます。日々清掃し、奇麗な状態を維持する。つまり自分たちが奇麗にしているのです。放っておいて自然に奇麗にはならないのです。

 

製品製造をしていると、どうしても数量、納期に目がいってしまいます。人が忙しそうに動いていれば、安心してしまいます。ところが、その“人がクリーンルームを奇麗にしたり、汚したりする”のです。

 

清掃の目的は、きれいな状態を維持、管理することですが、五感を働かせながら清掃すると、設備や環境の異常に気づくことがあります。

 

時には重大な問題の発見にも繋がることがあります。感性が高い人や、問題意識の高い人は沢山の異常に気が付きます。このことは、“清掃は点検なり”と言われます。

 

【事例】

設備のところでも話した事例です。保全メンバーが修理を終えて、作業者にその設備を引き渡した。その作業者は、設備をクリーニングしてから作業を始めようとした。そのクリーニング中に、排気系の目盛りの針の位置が異常だと気づいた。

 

どうしてだろうかと考えてみたら、先ほどまでメンテナンスをやっていた。その時バルブを閉めたが、修理後それを元に戻すのを忘れたのだろうと思った。メンテナンス担当に確認したところ、やはりそうだった。この事例も多いです。

 

これに気づかず作業を始めてしまうと、排気の引きが止まってしまう。

 

排気は、単に汚れた空気を外に排出するだけの目的のものもあれば、半導体製造などで写真技術を使う工程では、製品(ウエハー)に薬品を滴下、回転させ、表面を薄い膜で覆う工程もある。排気が異常だと、その膜厚が規格外れになるとか、回転させて振り切った残液が排出されず、跳ね返り、再び製品に付着することで品質問題も発生する。製品を設備にセットし、作業を開始すると、同じ異常のものがたくさんできてしまう。

 

24時間稼働では、大量生産ができるが、逆に大量不良生産になってしまうかも知れないのです。設備を修理したことが、ちょっとしたミスで不良品を作る切っ掛けになってしまうかも知れないのです。

 

この異常を発見したのは女性です。女性は第六感を持っているといわれるほど感性は鋭い、あるい...

クリーン化

 

【この連載の前回へのリンク】

今回から清掃について説明します。

 

クリーンルーム内の清掃についての説明ですが、クリーンルーム以外でも同じ考え方ができる部分があると思います。クリーンルームは奇麗な部屋だと思いがちです。そう思ってしまうと清掃の必要がないように思ってしまうかも知れません。

 

外から見るときれいに見えますが、実際にクリーンルームの中に入って良く観察すると、たくさんのゴミに気づきます。

 

昔から、“クリーンルームはクリーニングルーム”と言われます。日々清掃し、奇麗な状態を維持する。つまり自分たちが奇麗にしているのです。放っておいて自然に奇麗にはならないのです。

 

製品製造をしていると、どうしても数量、納期に目がいってしまいます。人が忙しそうに動いていれば、安心してしまいます。ところが、その“人がクリーンルームを奇麗にしたり、汚したりする”のです。

 

清掃の目的は、きれいな状態を維持、管理することですが、五感を働かせながら清掃すると、設備や環境の異常に気づくことがあります。

 

時には重大な問題の発見にも繋がることがあります。感性が高い人や、問題意識の高い人は沢山の異常に気が付きます。このことは、“清掃は点検なり”と言われます。

 

【事例】

設備のところでも話した事例です。保全メンバーが修理を終えて、作業者にその設備を引き渡した。その作業者は、設備をクリーニングしてから作業を始めようとした。そのクリーニング中に、排気系の目盛りの針の位置が異常だと気づいた。

 

どうしてだろうかと考えてみたら、先ほどまでメンテナンスをやっていた。その時バルブを閉めたが、修理後それを元に戻すのを忘れたのだろうと思った。メンテナンス担当に確認したところ、やはりそうだった。この事例も多いです。

 

これに気づかず作業を始めてしまうと、排気の引きが止まってしまう。

 

排気は、単に汚れた空気を外に排出するだけの目的のものもあれば、半導体製造などで写真技術を使う工程では、製品(ウエハー)に薬品を滴下、回転させ、表面を薄い膜で覆う工程もある。排気が異常だと、その膜厚が規格外れになるとか、回転させて振り切った残液が排出されず、跳ね返り、再び製品に付着することで品質問題も発生する。製品を設備にセットし、作業を開始すると、同じ異常のものがたくさんできてしまう。

 

24時間稼働では、大量生産ができるが、逆に大量不良生産になってしまうかも知れないのです。設備を修理したことが、ちょっとしたミスで不良品を作る切っ掛けになってしまうかも知れないのです。

 

この異常を発見したのは女性です。女性は第六感を持っているといわれるほど感性は鋭い、あるいは高いと言われます。

 

このようなミスを発生させないよう、前にも説明した、“メンテナンスはどこからどこまでやるのか”ということも標準化し、落ちがないようにしたい。メンテナンス作業は、単に設備を動くようにすればよいのではなく、安全、品質、生産いずれも意識したい。

 

次回に続きます。

 

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ノンクリーンルーム化について クリーン化について(その92)

  【この連載の前回:クリーン化について(その91)局所クリーンルームについてへのリンク】 中小企業の場合、取引先からクリーンルーム化を...

  【この連載の前回:クリーン化について(その91)局所クリーンルームについてへのリンク】 中小企業の場合、取引先からクリーンルーム化を...


気流について クリーン化について(その47)

     今回は、前回に続いてクリーンルーム内の気流の見方を解説します。 3. 気流の可視化  これらの気流は目に見えないので...

     今回は、前回に続いてクリーンルーム内の気流の見方を解説します。 3. 気流の可視化  これらの気流は目に見えないので...


クリーンルーム天井のフィルターカバーについて

 乱流式や混流式のクリーンルームは、超微細加工の工程では使われていませんが、清浄度がクラス1000以下のクリーンルームでは採用されています。写真中央の天井...

 乱流式や混流式のクリーンルームは、超微細加工の工程では使われていませんが、清浄度がクラス1000以下のクリーンルームでは採用されています。写真中央の天井...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
クリーン化の理論武装を考える

 設計や技術部門などで、クリーン化も理論武装が必要だという人が時々います。しかし良く話を聞いていると、現場を知らないのに、単に理論武装が必要だという人と、...

 設計や技術部門などで、クリーン化も理論武装が必要だという人が時々います。しかし良く話を聞いていると、現場を知らないのに、単に理論武装が必要だという人と、...


クリーン化:呼気からの吹き出し異物について

1. 呼気からの吹き出し異物の問題  清浄度があまり高くないクリーンルームでは、防塵衣は着用していてもマスクを着用せず作業しているところも多いようで...

1. 呼気からの吹き出し異物の問題  清浄度があまり高くないクリーンルームでは、防塵衣は着用していてもマスクを着用せず作業しているところも多いようで...


人はタイミングよく誉めよ -3つの例を添えて-

 私はクリーン化指導で多くの現場に立ち会ってきましたが、どんな業種、職種でも、人財育成はその会社、企業にとっては非常に大切なことです。故に日本では、昔から...

 私はクリーン化指導で多くの現場に立ち会ってきましたが、どんな業種、職種でも、人財育成はその会社、企業にとっては非常に大切なことです。故に日本では、昔から...