脱炭素化社会、カーボンニュートラルとは

投稿日

脱炭素化社会

 

地球は、大気に覆われていることで気温が保たれ、紫外線などの物質から守られています。一方、文明が進化していくプロセスで排出してきた温室効果ガスが影響して海面上昇・砂漠化・異常気象の発生などの悪影響が出てきました。そうしたことに歯止めをかけるため、全世界で実現すべき共通目標として掲げられているのが脱炭素社会です。

 

パリ協定では、今世紀後半に脱炭素社会を目指すと宣言しました。2050年には、エネルギーが電気になり、電力需要を風力、水力、太陽光、バイオマス、地熱等の再生可能エネルギーでまかなう社会です。

 

家電製品の省エネ化が進んでおり、定期的に買い替えることで、エネルギー効率がよくなります。住宅を高気密・高断熱にすると、光熱費が減ります。生活の質を上げながら省エネすることが可能で、断熱住宅の義務化が進み、2050年には電力消費量が現状の3分の2程度になると予測されています。脱炭素社会に向けて、各国で排出量取引や炭素税等のカーボンプライシングが進んできました。

 

今回は、このような背景を踏まえて、脱炭素化社会をテーマにして解説します。

関連解説:製造業における環境マネジメントとは

 

1.カーボンニュートラルとは

 

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を排出削減しきれなかった分を森林保全、植林による植物の二酸化炭素吸収量を差し引き、排出量を実質ゼロにする取り組みのことを指します。実質的に排出量をゼロにした状態を脱炭素、それを実現した社会を脱炭素社会と呼びます。

 

カーボンニュートラルとゼロカーボンは同意義です。地球規模での気候変動が進み、カーボンニュートラルな脱炭素社会への移行が急がれていますが、我国では2020年10月に政府による2050年までの脱炭素社会への移行が宣言されました。

 

カーボンニュートラルへの挑戦を、経済、環境の好循環につなげるための産業政策が策定され、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」として公表されました。化石燃料の使用により発生したCO2の分離回収、回収したCO2を炭素源として有効利用・資源化するカーボンリサイクル技術の確立が必要で、カーボンニュートラル社会の構築のための道のりには、エネルギー転換、温暖化対策、エネルギーミックス、国際協力など、課題が山積です。

 

2.地球環境を守るとは

 

地球温暖化防止の方針は、世界が取り組むべき長期目標の最重要課題として扱われるようになりました。それと同時に脱炭素社会という言葉が具体的に知られるようになりました。個人・国家・企業の単位でも、足並みを揃えて地球温暖化防止の行動をすることで、持続可能な社会が構築されるのです。脱炭素社会実現のための様々な取り組みは、地球環境を守るために地球の未来のために、自身の日々の選択と行動を考えてみましょう。

 

3.低炭素社会と脱炭素社会の違い

 

低炭素社会と脱炭素社会の違いですが、少し前までは、低炭素社会を目指していましたが、現在では、脱炭素社会を目指すようになりました。脱炭素化は、温室効果ガスの排出量ゼロを目指したものです。低炭素化は、温室効果ガスの排出量を低いレベルに抑えるものです。

 

【脱炭素社会】

 

脱炭素社会とは、炭素社会を脱すると書いてあるとおり、二酸化炭素排出量をゼロにすることを目指した社会です。前述のように少し前までは脱炭素社会ではなく低炭素社会を目指していましたが、低炭素では2015年のパリ協定で決まった世界平均気温を1.5~2℃に抑えるという目標の達成が難しいので、脱炭素社会を目指すようになりました。

 

4. 日本の脱炭素社会化

 

日本は年間約11億4000万トン(2018年現在)の二酸化炭素を排出しており、国民1人当たりに換算すると英国の1.6倍の水準に達しています。日本は製造業が占める割合が多いことも関係しているようですが、最大の要因は日本が電力の大部分を石炭火力に頼っているためで、充実した物流も排出量の増加に繋がっています。

 

また、世帯当たりの自家用車所有台数が多いこと、防寒・断熱構造など、暖房に要するエネルギー効率が悪いことなどが原因で、世帯当たりの二酸化炭素排出量も高水準です。脱炭素社会の実現、日本では、個人・世帯レベルでの意識改革が欠かせないのです。自治体の施策、政府の対策、企業努力だけでは日本の脱炭素社会化は困難です。

 

5. 脱炭素化社会、まとめ

 

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素排出削減しきれなかった分を森林保全、植林による植物の二酸化炭素吸収量を差し引き、排出量を実質ゼロにする取り組みのことを指します。実質的に排出量をゼロにした状態を脱炭素、それを実現した社会を脱炭素社会と呼びます。

 

低炭素社会と脱炭素社会の違いですが、少し前までは、低炭素社会を目指していましたが、...

脱炭素化社会

 

地球は、大気に覆われていることで気温が保たれ、紫外線などの物質から守られています。一方、文明が進化していくプロセスで排出してきた温室効果ガスが影響して海面上昇・砂漠化・異常気象の発生などの悪影響が出てきました。そうしたことに歯止めをかけるため、全世界で実現すべき共通目標として掲げられているのが脱炭素社会です。

 

パリ協定では、今世紀後半に脱炭素社会を目指すと宣言しました。2050年には、エネルギーが電気になり、電力需要を風力、水力、太陽光、バイオマス、地熱等の再生可能エネルギーでまかなう社会です。

 

家電製品の省エネ化が進んでおり、定期的に買い替えることで、エネルギー効率がよくなります。住宅を高気密・高断熱にすると、光熱費が減ります。生活の質を上げながら省エネすることが可能で、断熱住宅の義務化が進み、2050年には電力消費量が現状の3分の2程度になると予測されています。脱炭素社会に向けて、各国で排出量取引や炭素税等のカーボンプライシングが進んできました。

 

今回は、このような背景を踏まえて、脱炭素化社会をテーマにして解説します。

関連解説:製造業における環境マネジメントとは

 

1.カーボンニュートラルとは

 

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を排出削減しきれなかった分を森林保全、植林による植物の二酸化炭素吸収量を差し引き、排出量を実質ゼロにする取り組みのことを指します。実質的に排出量をゼロにした状態を脱炭素、それを実現した社会を脱炭素社会と呼びます。

 

カーボンニュートラルとゼロカーボンは同意義です。地球規模での気候変動が進み、カーボンニュートラルな脱炭素社会への移行が急がれていますが、我国では2020年10月に政府による2050年までの脱炭素社会への移行が宣言されました。

 

カーボンニュートラルへの挑戦を、経済、環境の好循環につなげるための産業政策が策定され、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」として公表されました。化石燃料の使用により発生したCO2の分離回収、回収したCO2を炭素源として有効利用・資源化するカーボンリサイクル技術の確立が必要で、カーボンニュートラル社会の構築のための道のりには、エネルギー転換、温暖化対策、エネルギーミックス、国際協力など、課題が山積です。

 

2.地球環境を守るとは

 

地球温暖化防止の方針は、世界が取り組むべき長期目標の最重要課題として扱われるようになりました。それと同時に脱炭素社会という言葉が具体的に知られるようになりました。個人・国家・企業の単位でも、足並みを揃えて地球温暖化防止の行動をすることで、持続可能な社会が構築されるのです。脱炭素社会実現のための様々な取り組みは、地球環境を守るために地球の未来のために、自身の日々の選択と行動を考えてみましょう。

 

3.低炭素社会と脱炭素社会の違い

 

低炭素社会と脱炭素社会の違いですが、少し前までは、低炭素社会を目指していましたが、現在では、脱炭素社会を目指すようになりました。脱炭素化は、温室効果ガスの排出量ゼロを目指したものです。低炭素化は、温室効果ガスの排出量を低いレベルに抑えるものです。

 

【脱炭素社会】

 

脱炭素社会とは、炭素社会を脱すると書いてあるとおり、二酸化炭素排出量をゼロにすることを目指した社会です。前述のように少し前までは脱炭素社会ではなく低炭素社会を目指していましたが、低炭素では2015年のパリ協定で決まった世界平均気温を1.5~2℃に抑えるという目標の達成が難しいので、脱炭素社会を目指すようになりました。

 

4. 日本の脱炭素社会化

 

日本は年間約11億4000万トン(2018年現在)の二酸化炭素を排出しており、国民1人当たりに換算すると英国の1.6倍の水準に達しています。日本は製造業が占める割合が多いことも関係しているようですが、最大の要因は日本が電力の大部分を石炭火力に頼っているためで、充実した物流も排出量の増加に繋がっています。

 

また、世帯当たりの自家用車所有台数が多いこと、防寒・断熱構造など、暖房に要するエネルギー効率が悪いことなどが原因で、世帯当たりの二酸化炭素排出量も高水準です。脱炭素社会の実現、日本では、個人・世帯レベルでの意識改革が欠かせないのです。自治体の施策、政府の対策、企業努力だけでは日本の脱炭素社会化は困難です。

 

5. 脱炭素化社会、まとめ

 

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素排出削減しきれなかった分を森林保全、植林による植物の二酸化炭素吸収量を差し引き、排出量を実質ゼロにする取り組みのことを指します。実質的に排出量をゼロにした状態を脱炭素、それを実現した社会を脱炭素社会と呼びます。

 

低炭素社会と脱炭素社会の違いですが、少し前までは、低炭素社会を目指していましたが、現在では、脱炭素社会を目指すようになりました。脱炭素化は、温室効果ガスの排出量ゼロを目指したものです。低炭素化は、温室効果ガスの排出量を低いレベルに抑えるものです。

 

日本は2018年現在で年間約11億4000万トンの二酸化炭素を排出しており、国民1人当たりに換算すると英国の1.6倍の水準に達しています。日本は製造業が占める割合が多いことも関係しているようですが、最大の要因は日本が電力の大部分を石炭火力に頼っているためで、陸上輸送インフラの充実も排出量増加の一因になっています。

 

脱炭素社会の実現には、一部でガソリン車からEVへの完全移行を始めとする自動車社会の大転換も必要ですが、生活を支える産業を維持していくうえで、二酸化炭素の排出をなくすことは不可能です。政府の規制強化はもとより各企業の技術革新や、個人個人の省エネ意識高揚なども脱炭素社会実現には欠かせません。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。


「環境マネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
地熱発電とは

  火山列島と呼ばれる日本には、地下深部に膨大なマグマのエネルギーが眠っています。地熱発電はこのエネルギーを蒸気という形で利用するもので、...

  火山列島と呼ばれる日本には、地下深部に膨大なマグマのエネルギーが眠っています。地熱発電はこのエネルギーを蒸気という形で利用するもので、...


水素エネルギー社会 【連載記事紹介】 

  水素エネルギー社会の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆燃料電池自動車:FCVの高圧水素タ...

  水素エネルギー社会の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆燃料電池自動車:FCVの高圧水素タ...


海流発電とは

  日本は海に囲まれて近海を黒潮が流れ、海峡では潮の干満で海流が出入りします。この地理的条件から海流発電の実用化は早いのではないかと考えら...

  日本は海に囲まれて近海を黒潮が流れ、海峡では潮の干満で海流が出入りします。この地理的条件から海流発電の実用化は早いのではないかと考えら...


「環境マネジメント」の活用事例

もっと見る
【SDGs取り組み事例】CO<sub>2</sub>排出量を可視化、削減目標の設定や進捗管理も簡単に e-dash株式会社

脱炭素化取り組みの支援、ソリューションを提供し地域企業と伴走 e-dash株式会社(東京都千代田区) 目次 1. エネルギー事業で培ったノウハウ...

脱炭素化取り組みの支援、ソリューションを提供し地域企業と伴走 e-dash株式会社(東京都千代田区) 目次 1. エネルギー事業で培ったノウハウ...


【SDGs取り組み事例】働きやすい職場づくりと環境保全や社会貢献に努める 美濃工業株式会社

SDGs活動の意味や効果を共有、サステナブルな企業へ 美濃工業株式会社(岐阜県中津川市) 目次 1.アルミダイキャストのリーディングカンパニー2...

SDGs活動の意味や効果を共有、サステナブルな企業へ 美濃工業株式会社(岐阜県中津川市) 目次 1.アルミダイキャストのリーディングカンパニー2...


【SDGs取り組み事例】環境非配慮型プラスチック50%削減を目指して  株式会社シャトレーゼ

自然の恵み活かし、持続可能な地域活性に取り組む 株式会社シャトレーゼ(山梨県甲府市) 目次 1.国内外700店舗で菓子を販売2.自然と共生する菓...

自然の恵み活かし、持続可能な地域活性に取り組む 株式会社シャトレーゼ(山梨県甲府市) 目次 1.国内外700店舗で菓子を販売2.自然と共生する菓...