クリーン化活動の進め方 クリーン化について(その55)

更新日

投稿日

 

 

クリーンルームの方式の違いにより、クリーンルームの清浄度向上への取り組み方が違ってきます。なんでも奇麗にすれば良いのではなく、効率的、効果的に清浄度を上げましょう。今回は、クリーン度の違いによる改善の仕方について解説します。

 

◆ クリーン度の違いによる改善の仕方

 

クリーン化

図.クリーン度の違いによる改善の仕方

 

上図のグラフの左は、清浄度が低い乱流方式のクリーンルーム、クラス1000としてあります。また、中央のクラス100、右のクラス10はいずれも層流方式のクリーンルームです。乱流方式と層流方式に大別し説明します。同一の設備をそれぞれのクリーンルームへ配置したとします。

 

左の清浄度の低いクリーンルームは、清浄化メカニズムは乱流方式であり、それだけでも層流方式より清浄度は下がります。加えて、作業者が多く配置されているので、人(環境)起因のゴミが多く発生します。昔から“人はクリーンルーム内での最大の発生源、汚染源”と言われる所以です。注意していても発生してしまうのです。
 
一方で、中央および、右の層流方式のクリーンルームは、設計上は天井全面から床全面に向かう垂直な気流によって、ゴミが浮遊しにくくなっています。また、人が発生源、汚染源であるので、その人の配置を最小限にし、人がやっていた作業は搬送システムや運搬ロボットに、設備への除給材も専用のロボットに置き換えられています。

 

この違いにより、清浄度の低い乱流式のクリーンルームでは、人を含む環境からの発塵に加え、設備からの発塵もあります。この両方から改善していくことが重要です。セミナーなどの場で、“毎日清掃しているのに毎日ゴミが出るのはどうしてか”という質問が出ることがあります。

 

上記の理由から乱流方式では避けられない問題です。手抜きをするとそれらのゴミが蓄積します。そのことを理解し、クリーンルームの清浄度の維持、管理をしていきましょう。

 

層流方式では、乱流方式と同じ設備を設置したことが前提なので同程度の発塵ですが、環境起因は極端に少なくなります。この場合は、設備発塵に着目し、改善していくことが重要です。

 

【層流方式の欠点】

人が限りなく少なくなっているので、設備の異常に気が付かなくなることです。気が付いたら大変なことになっていたという場合もあります。人は一人で2個の目玉、5人いれば10個の目玉でものを見ています。目の周りには数万と言われる神経が集まっているとのことですから、目から入る情報は非常に多いわけです。それがなくなってしまうので、日常的な発見が遅れるわけです。

 

このようなクリーンルームの場合、作業者だけでなく、管理職、クリーン化担当、保全担当がクリーンルームに入る機会があれば、意図的に設備に着目し、早期発見に努めることが大切です。もちろんこれらのメンバーが揃ってクリーンルームに入ると、清浄度が低下するので、あくまでも単独、または少...

 

 

クリーンルームの方式の違いにより、クリーンルームの清浄度向上への取り組み方が違ってきます。なんでも奇麗にすれば良いのではなく、効率的、効果的に清浄度を上げましょう。今回は、クリーン度の違いによる改善の仕方について解説します。

 

◆ クリーン度の違いによる改善の仕方

 

クリーン化

図.クリーン度の違いによる改善の仕方

 

上図のグラフの左は、清浄度が低い乱流方式のクリーンルーム、クラス1000としてあります。また、中央のクラス100、右のクラス10はいずれも層流方式のクリーンルームです。乱流方式と層流方式に大別し説明します。同一の設備をそれぞれのクリーンルームへ配置したとします。

 

左の清浄度の低いクリーンルームは、清浄化メカニズムは乱流方式であり、それだけでも層流方式より清浄度は下がります。加えて、作業者が多く配置されているので、人(環境)起因のゴミが多く発生します。昔から“人はクリーンルーム内での最大の発生源、汚染源”と言われる所以です。注意していても発生してしまうのです。
 
一方で、中央および、右の層流方式のクリーンルームは、設計上は天井全面から床全面に向かう垂直な気流によって、ゴミが浮遊しにくくなっています。また、人が発生源、汚染源であるので、その人の配置を最小限にし、人がやっていた作業は搬送システムや運搬ロボットに、設備への除給材も専用のロボットに置き換えられています。

 

この違いにより、清浄度の低い乱流式のクリーンルームでは、人を含む環境からの発塵に加え、設備からの発塵もあります。この両方から改善していくことが重要です。セミナーなどの場で、“毎日清掃しているのに毎日ゴミが出るのはどうしてか”という質問が出ることがあります。

 

上記の理由から乱流方式では避けられない問題です。手抜きをするとそれらのゴミが蓄積します。そのことを理解し、クリーンルームの清浄度の維持、管理をしていきましょう。

 

層流方式では、乱流方式と同じ設備を設置したことが前提なので同程度の発塵ですが、環境起因は極端に少なくなります。この場合は、設備発塵に着目し、改善していくことが重要です。

 

【層流方式の欠点】

人が限りなく少なくなっているので、設備の異常に気が付かなくなることです。気が付いたら大変なことになっていたという場合もあります。人は一人で2個の目玉、5人いれば10個の目玉でものを見ています。目の周りには数万と言われる神経が集まっているとのことですから、目から入る情報は非常に多いわけです。それがなくなってしまうので、日常的な発見が遅れるわけです。

 

このようなクリーンルームの場合、作業者だけでなく、管理職、クリーン化担当、保全担当がクリーンルームに入る機会があれば、意図的に設備に着目し、早期発見に努めることが大切です。もちろんこれらのメンバーが揃ってクリーンルームに入ると、清浄度が低下するので、あくまでも単独、または少人数で観察します。

 

さらに、定期的な清浄度のわずかな変化、パーティクル起因の品質状況の変化などから現場を監視することも重要です。

 

特に清浄度の高いクリーンルームでは、わずかな変化をどう捉えるかが重要です。データを見る側も、小さな変化を見逃さず、敏感に反応したいものです。先のメンバーの連携、情報交換もクリーンルーム管理では重要になります。

 

次回に続きます。

 

 

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
現場診断・指導について(その11) クリーン化について(その71)

  前回の「設備の周囲を詳細に見ること」に続いて、今回は、「設備診断の手順—3、 設備内部の詳細診断」を解説します。 &nb...

  前回の「設備の周囲を詳細に見ること」に続いて、今回は、「設備診断の手順—3、 設備内部の詳細診断」を解説します。 &nb...


クリーン化を成功させる条件とは クリーン化について(その16)

  ◆ クリーン化4原則と監視の重要性  下図はクリーン化活動を進めるうえで重要なことを私の経験、体験を元に整理したものです。これは現場や現...

  ◆ クリーン化4原則と監視の重要性  下図はクリーン化活動を進めるうえで重要なことを私の経験、体験を元に整理したものです。これは現場や現...


排除する クリーンルームの4原則 (その4)

 前回は、クリーンルームの4原則―その3.堆積させないを解説しました。今回は、クリーンルーム4原則として、最後の“排除”するについ...

 前回は、クリーンルームの4原則―その3.堆積させないを解説しました。今回は、クリーンルーム4原則として、最後の“排除”するについ...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
クリーンルームで使用するテープについて

 クリーンルーム内ではテープを使用しない方が良いのですが、どうしても必要な場合もありますので、そのことについて解説します。  クリーンルーム外で掲示の時...

 クリーンルーム内ではテープを使用しない方が良いのですが、どうしても必要な場合もありますので、そのことについて解説します。  クリーンルーム外で掲示の時...


クリーンルーム付属のシャワーについて

1. クリーンルーム内シャワーの必要性  清浄度の高い低いに関係なく、薬液を扱うクリーンルームには、シャワー室が設置されていると思います。作業中の人やそ...

1. クリーンルーム内シャワーの必要性  清浄度の高い低いに関係なく、薬液を扱うクリーンルームには、シャワー室が設置されていると思います。作業中の人やそ...


先入れ先出しとクリーン化

 ある会社の監査に行った時の事例から、先入れ先出しとクリーン化をテーマに解説します。   1.監査の事例  監査は一般的に机上監査と現場監査があ...

 ある会社の監査に行った時の事例から、先入れ先出しとクリーン化をテーマに解説します。   1.監査の事例  監査は一般的に机上監査と現場監査があ...