システム開発の品質管理における3つのプロセス

投稿日

 

♦ PMBOK ~ プロジェクト管理の手法を体系的にまとめる

 システム開発におけるプロジェクトマネジメント手法としては、PMBOKが主流になっています。PMBOKとは「Project Management Body of Knowledge」の略称で「ピンボック」と読みます。

 このPMBOKは、プロジェクトマネジメント知識体系ガイドとして、プロジェクト管理に関する手法を体系的にまとめたものです。

 PMBOKの中では、プロジェクトマネジメントに必要な事項を10個の管理エリアと5個のプロセスで体系化しています。10個の管理エリアの中には、製造業でコアとなっているQCD(品質、原価、納期)も含んでいますが、QCD以外にスコープ管理、リスク管理、要員管理のように、プロジェクトを推進、運営するための項目を含んでいるところが重要な違いです。つまり、PMBOKは、QCDを実現するための手法も含んでいる、ということになります。

 PMBOKで規定されているプロセスは「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「監視・管理」、「終結」という5つのプロセスに分かれています。この5つのプロセスのうち、品質については「計画」、「実行」、「監視・コントロール」の3つのプロセスが規定されています。具体的には「品質マネジメント計画」、「品質保証」、「品質コントロール」の3つです。

 

 PMBOKは言葉使いが独特ですので、簡単に解説します。

  • 品質マネジメント計画

 プロジェクトの成果物の品質に関する要求事項や品質の基準を整理して、その基準を守るための方法を決めるプロセスです。ここでは、品質マネジメント計画書として品質基準、レビュー対象とプロセス、役割分担、ツールなどを規定していきます。

  • 品質保証

 品質マネジメント計画書で決めたアクションを実際に実行するプロセスです。プログラム試験、バグの摘出と分析、報告書の作成などを行います。

  • 品質コントロール

 品質保証と品質コントロールは似ていて、違いが分かりにくいのですが主に、品質マネジメントの成果物を評価、検証して、品質マネジメント計画で作った品質基準を満たしているかどうかを確認するプロセスです。もし、品質基準を満たしていない場合には、品質保証のプロセスに戻って、品質を向上、改善するプロセスを再度行う場合もあります。

 

 こうしてテキストだけで見ていると、非常に分かりにくいですよね。ですが実際の現場では、各社それぞれの事情に合わせてテーラリング...

 

♦ PMBOK ~ プロジェクト管理の手法を体系的にまとめる

 システム開発におけるプロジェクトマネジメント手法としては、PMBOKが主流になっています。PMBOKとは「Project Management Body of Knowledge」の略称で「ピンボック」と読みます。

 このPMBOKは、プロジェクトマネジメント知識体系ガイドとして、プロジェクト管理に関する手法を体系的にまとめたものです。

 PMBOKの中では、プロジェクトマネジメントに必要な事項を10個の管理エリアと5個のプロセスで体系化しています。10個の管理エリアの中には、製造業でコアとなっているQCD(品質、原価、納期)も含んでいますが、QCD以外にスコープ管理、リスク管理、要員管理のように、プロジェクトを推進、運営するための項目を含んでいるところが重要な違いです。つまり、PMBOKは、QCDを実現するための手法も含んでいる、ということになります。

 PMBOKで規定されているプロセスは「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「監視・管理」、「終結」という5つのプロセスに分かれています。この5つのプロセスのうち、品質については「計画」、「実行」、「監視・コントロール」の3つのプロセスが規定されています。具体的には「品質マネジメント計画」、「品質保証」、「品質コントロール」の3つです。

 

 PMBOKは言葉使いが独特ですので、簡単に解説します。

  • 品質マネジメント計画

 プロジェクトの成果物の品質に関する要求事項や品質の基準を整理して、その基準を守るための方法を決めるプロセスです。ここでは、品質マネジメント計画書として品質基準、レビュー対象とプロセス、役割分担、ツールなどを規定していきます。

  • 品質保証

 品質マネジメント計画書で決めたアクションを実際に実行するプロセスです。プログラム試験、バグの摘出と分析、報告書の作成などを行います。

  • 品質コントロール

 品質保証と品質コントロールは似ていて、違いが分かりにくいのですが主に、品質マネジメントの成果物を評価、検証して、品質マネジメント計画で作った品質基準を満たしているかどうかを確認するプロセスです。もし、品質基準を満たしていない場合には、品質保証のプロセスに戻って、品質を向上、改善するプロセスを再度行う場合もあります。

 

 こうしてテキストだけで見ていると、非常に分かりにくいですよね。ですが実際の現場では、各社それぞれの事情に合わせてテーラリングしたり、現場ごとに取捨選択したりして、本質を外さない範囲で使いやすくしています。そして、必要なツールを導入して、見える化するというアクションに落としています。

 なお、PMBOKガイドは定期的に改訂されていて今回の解説は、第6版をベースにしています。近く、第7版が出る予定になっていますが、プロジェクトマネジメントに関する本質は変わりません。

 

 次回から3回に分けて「品質マネジメント計画」、「品質保証」、「品質コントロール」で実施する具体的なアクションプランについて解説させていただきます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

井上 敦雄

中小企業のIT導入を全力で応援しています。IT導入の8割が失敗するといわれている中で、当社の「中小企業専門PMOサービス」を使っていただければ、成功率は100パーセントに近づきます。

中小企業のIT導入を全力で応援しています。IT導入の8割が失敗するといわれている中で、当社の「中小企業専門PMOサービス」を使っていただければ、成功率は1...


「ソフトウェアテスト」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ソフトウェア開発における品質管理

  1. ものづくりとソフトウェア開発の同異点  いま「ものづくり.com」サイト内にある品質工学、品質管理に関するコンテンツは、ものづ...

  1. ものづくりとソフトウェア開発の同異点  いま「ものづくり.com」サイト内にある品質工学、品質管理に関するコンテンツは、ものづ...


「ソフトウェアテスト」の活用事例

もっと見る
大規模ASICのテストに直交表を応用して設計品質を向上させた富士ゼロックスの事例

これは2005年の品質工学研究発表大会で、富士ゼロックスの松原由武さんが発表した「大規模ASIC開発における「直交表を応用したHAYST法」の適用」を要約...

これは2005年の品質工学研究発表大会で、富士ゼロックスの松原由武さんが発表した「大規模ASIC開発における「直交表を応用したHAYST法」の適用」を要約...


「品質工学」10月号より「アジャイル開発製品のテスト」

 従来のソフトウェア開発ではウォーターフォール型が主流でしたが、仕様の 追加/変更が激しい近年は、小規模な開発を繰り返すアジャイル型開発が主 流となってき...

 従来のソフトウェア開発ではウォーターフォール型が主流でしたが、仕様の 追加/変更が激しい近年は、小規模な開発を繰り返すアジャイル型開発が主 流となってき...