船舶の次世代エネルギー源 水素エネルギー社会(その2)

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水素

◆水素エネルギー社会 連載目次

 

♦ 水素燃料~実現性高い、船舶への利用

 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の資金も活用して、2024年に実証運航を開始する計画で水素燃料船舶の開発が始まりました。

 川崎重工業、日本郵船、東芝、ENEOS等が参画企業です。川重は既に水素運搬船を発表しており、東芝は地上発電設備(定置式)を含め、広範囲に燃料電池の検討を進めています。ENEOSも水素ステーションの増設を進めています。

 2017年に(国研)海上・港湾・航空技術研究所で、市販船改造による水素燃料船舶試験が行われ、これをベースに安全基準も策定され、それを受けての実用化検討という流れです。

 下図はそのレポートからの抜粋です。なお、同研究所とは馴染みのない組織ですので調べてみましたが、職員は100人ほどで、場所は久里浜だそうです。

 

水素

 水素燃料は、バスやトラックといった大型車の方が、搭載設計や運用効率の面から適性が高いと考えています。船舶なら尚更だと思います。

 クルマの開発においては、プラットフォームを考えながらのスタック、及び水素タンクの配置設計に苦労するところですが、船舶の場合は大幅に自由度が上がるうえ、効率的にもクルマほどは求められないので、相対的には実現の可能性は高いように推察します。

 最新の通常動力潜水艦では、リチウムイオン電池をエネルギー源としています。海上自衛隊でもその初号艦となる「おうりゅう」が就役しました...

水素

◆水素エネルギー社会 連載目次

 

♦ 水素燃料~実現性高い、船舶への利用

 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の資金も活用して、2024年に実証運航を開始する計画で水素燃料船舶の開発が始まりました。

 川崎重工業、日本郵船、東芝、ENEOS等が参画企業です。川重は既に水素運搬船を発表しており、東芝は地上発電設備(定置式)を含め、広範囲に燃料電池の検討を進めています。ENEOSも水素ステーションの増設を進めています。

 2017年に(国研)海上・港湾・航空技術研究所で、市販船改造による水素燃料船舶試験が行われ、これをベースに安全基準も策定され、それを受けての実用化検討という流れです。

 下図はそのレポートからの抜粋です。なお、同研究所とは馴染みのない組織ですので調べてみましたが、職員は100人ほどで、場所は久里浜だそうです。

 

水素

 水素燃料は、バスやトラックといった大型車の方が、搭載設計や運用効率の面から適性が高いと考えています。船舶なら尚更だと思います。

 クルマの開発においては、プラットフォームを考えながらのスタック、及び水素タンクの配置設計に苦労するところですが、船舶の場合は大幅に自由度が上がるうえ、効率的にもクルマほどは求められないので、相対的には実現の可能性は高いように推察します。

 最新の通常動力潜水艦では、リチウムイオン電池をエネルギー源としています。海上自衛隊でもその初号艦となる「おうりゅう」が就役しました(上記の掲載写真は、おうりゅうではありません)。リチウムイオン電池と燃料電池(水素タンク+スタック)の体積エネルギー効率の有意差はどうなのでしょうか? 燃料電池動力源の潜水艦の開発も進んでいるかもしれません。

 水素エネルギー社会、次回は燃料電池自動車開発競争に続きます。

 

 【出典】技術オフィスTech-T HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

高原 忠良

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