SDGsへの取組み例 SDGsの考察(その3)

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SDGs

 

【SDGsの考察 連載目次】

1. 17の目標と取り組み方

2. トヨタ:豊田綱領の理念はSDGsと同期する

3. サントリー:2030年までにマテリアルリサイクル率100%

 

 前回のその2に続き、2020年9月開催の日経SDGsフェスティバルから、サントリーのSDGsへの取り組みについてお話します。

◆ サントリー:2030年までにマテリアルリサイクル率100%

 同フェスティバルの特別シンポジウム「海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて」でのサントリーホールディングス 執行役員 コーポレートサステナビリティ推進本部長、福本ともみさんのプレゼンから私なりにまとめた概要とコメントです。なお、資料配信はなく、聴講しながらメモをとりましたので万が一の聞き間違え等はご容赦ください。

1、社会と共に歩み、自然と共存

 サントリーのこの分野への取組みは、真剣に、かつ、現実的に取り組んでおり、海洋プラスチックごみ問題の解決の確実性はかなり高いものと感じました。そう判断したポイントを列挙します。

  •  一社だけで取り組んでいるのではなく、取り組みのためのアライアンス(提携・共同)をつくり、同業分野の複数の会社が参画している。そのアライアンスで生産から回収し、再生産に回すというループが形成されている。
  •  海外でも活動し、同社参画以前から進行しているアライアンス活動で先進性がある点を取り組んでいる。

 さて、講演の始めはトヨタ自動車や帝人と同様、企業理念からの説明でした。

 サントリー創業の精神は、大阪発祥ということもあり「やってみなはれ」、「利益三分主義」ということです(三分とは社会・お客様・会社とのご説明)。社会と共に歩むという意味で、サントリホール、また、自然との共存を示すキャッチフレーズの「水と生きる」などのお話は、よく分かるものでした。

 具体的な活動としては2019年に、サステナビリティに向けた7つのテーマを制定し、それぞれSDGsとも結びつけています。

 プラスチックは、取り扱いの利便性だけでなく、酸素遮断保存や衛生面からみてもメリットであるというご説明も、プラスチックサイドの人間の私にはうれしい説明でした。そのようなメリットも多いプラスチックを、今後どのように上手に使っていくかは飲料メーカの使命であるという意思を感じました。  

 毎年、800-900万トンが海に流出しているといわれているプラスチックを2030年までにマテリアルリサイクル率100%、あるいはリユースすることを目標としています。当然、ビジネスとして成り立つ仕組みが必要で、その取り組みをご説明していました。とかく日本では自社での自前主義が強いことと、メーカーの技術は利益の源泉であり、いかに企業連携を進めるかが課題であったとのことです。

 

2、具体的取り組みの紹介

  • リサイクル原料メーカーの協栄産業と共に国内初となる「ボトル2ボトル」と呼ばれるリサイクル手法を開発
  • 海外企業ともリサイクルに取り組み、工程削減としてリペレット不要でフレークを直接活用し安価でロスの少ない工程の実現を目的に、アメリカのバイオベンチャー企業のアネロテック社とともに、100%植物由来PETボトル(おそらく、ケミカルリサイクル)を開発

 このマテリアルリサイクルはPET以外も対応可能なため、各業界12社が出資し「R PLUS JAPAN(株式会社アール・プラス・ジャパン)」を設立。

 【参画している主要企業】

  • 素原料として、 岩谷、住化など
  • 原料として、  東洋紡 
  • 包装として、   大日本印刷、凸版印刷など
  • 使用者として  アサヒ飲料、サントリー

 なお、アライアンスに参加という意味では「CLOMA(Clean Ocean Material Alliance=クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)...

SDGs

 

【SDGsの考察 連載目次】

1. 17の目標と取り組み方

2. トヨタ:豊田綱領の理念はSDGsと同期する

3. サントリー:2030年までにマテリアルリサイクル率100%

 

 前回のその2に続き、2020年9月開催の日経SDGsフェスティバルから、サントリーのSDGsへの取り組みについてお話します。

◆ サントリー:2030年までにマテリアルリサイクル率100%

 同フェスティバルの特別シンポジウム「海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて」でのサントリーホールディングス 執行役員 コーポレートサステナビリティ推進本部長、福本ともみさんのプレゼンから私なりにまとめた概要とコメントです。なお、資料配信はなく、聴講しながらメモをとりましたので万が一の聞き間違え等はご容赦ください。

1、社会と共に歩み、自然と共存

 サントリーのこの分野への取組みは、真剣に、かつ、現実的に取り組んでおり、海洋プラスチックごみ問題の解決の確実性はかなり高いものと感じました。そう判断したポイントを列挙します。

  •  一社だけで取り組んでいるのではなく、取り組みのためのアライアンス(提携・共同)をつくり、同業分野の複数の会社が参画している。そのアライアンスで生産から回収し、再生産に回すというループが形成されている。
  •  海外でも活動し、同社参画以前から進行しているアライアンス活動で先進性がある点を取り組んでいる。

 さて、講演の始めはトヨタ自動車や帝人と同様、企業理念からの説明でした。

 サントリー創業の精神は、大阪発祥ということもあり「やってみなはれ」、「利益三分主義」ということです(三分とは社会・お客様・会社とのご説明)。社会と共に歩むという意味で、サントリホール、また、自然との共存を示すキャッチフレーズの「水と生きる」などのお話は、よく分かるものでした。

 具体的な活動としては2019年に、サステナビリティに向けた7つのテーマを制定し、それぞれSDGsとも結びつけています。

 プラスチックは、取り扱いの利便性だけでなく、酸素遮断保存や衛生面からみてもメリットであるというご説明も、プラスチックサイドの人間の私にはうれしい説明でした。そのようなメリットも多いプラスチックを、今後どのように上手に使っていくかは飲料メーカの使命であるという意思を感じました。  

 毎年、800-900万トンが海に流出しているといわれているプラスチックを2030年までにマテリアルリサイクル率100%、あるいはリユースすることを目標としています。当然、ビジネスとして成り立つ仕組みが必要で、その取り組みをご説明していました。とかく日本では自社での自前主義が強いことと、メーカーの技術は利益の源泉であり、いかに企業連携を進めるかが課題であったとのことです。

 

2、具体的取り組みの紹介

  • リサイクル原料メーカーの協栄産業と共に国内初となる「ボトル2ボトル」と呼ばれるリサイクル手法を開発
  • 海外企業ともリサイクルに取り組み、工程削減としてリペレット不要でフレークを直接活用し安価でロスの少ない工程の実現を目的に、アメリカのバイオベンチャー企業のアネロテック社とともに、100%植物由来PETボトル(おそらく、ケミカルリサイクル)を開発

 このマテリアルリサイクルはPET以外も対応可能なため、各業界12社が出資し「R PLUS JAPAN(株式会社アール・プラス・ジャパン)」を設立。

 【参画している主要企業】

  • 素原料として、 岩谷、住化など
  • 原料として、  東洋紡 
  • 包装として、   大日本印刷、凸版印刷など
  • 使用者として  アサヒ飲料、サントリー

 なお、アライアンスに参加という意味では「CLOMA(Clean Ocean Material Alliance=クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)にも参画しています。同社の海外拠点とも連携して、リサイクルの仕組み作り、そもそもの分別の習慣付けなどの活動紹介もありました。

 先行している海外活動への参画として、世界経済フォーラムが2018設立したアライアンス「GRAP(Global Plastic Action Partnership)」への参加説明がありました。GRAPは英国、カナダがキー国となりネスレ、コカ・コーラ、ダウなどが参画しているアライアンスです。欧州、アメリカ中心でも各種の活動があり、それらの適宜参画も視野に考えたいとのことでした。

 サントリーの取り組みもそうですが、国内外で様々な取り組みがあり、想像以上に海洋プラスチック問題への取り組みが真剣に進んでいることが分かりました。

 

 【出典】技術オフィスTech-T HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

◆関連解説『SDGs』

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この記事の著者

高原 忠良

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