見落とされていた事実の発見とは データ分析講座(その90)

更新日

投稿日

データ分析

◆ データ分析から発見されるのは「お宝」というより「見落とされていた事実」

 データマイニングブームの影響もあり、データ分析そのものに対して「お宝を発見する」かのような錯覚があります。多くの場合、実際どのようなことが分析によって発見されるのでしょうか。多くの場合「お宝」というより「見落とされていた事実」が見つかります。つまり、お宝などは滅多に発見されることもなく、分析結果の多くは地味なものです。その地味なことが非常に重要で、データ分析をするメリットであると私は考えています。

 今回は「データ分析から発見されるのは、『お宝』というより『見落とされていた事実』」というお話しをします。

1. データ分析から発見されるのは「見落とされていた事実」

 データはあくまでも過去の記録です。未来を記録するものではありません。「発見される」といっても、単に「見落とされていた事実を発見する」だけです。仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人からすると、データから発見される「見落とされていた事実」は非常に少ないことでしょう。

2. データ分析に興味を持つ人

 今では、ビッグデータやAIブームの影響もあり、多くの人がデータ分析・活用そのものに対し関心を寄せてくれます。しかし、今から10年~15年前、これらに関心を寄せる人は、ほんの一部の人たちだけでした。では当時、データ分析そのものに対し、組織の中で最初に興味を持つ人は、どのような人だったでしょうか?最初に興味を持つ人の多くは、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人が、多かった気がします。

3. 残念なデータ分析結果

 意識の高い人や、洞察力のある人とデータ分析をすると、彼ら・彼女らにとって残念な事が起こります。データ分析からはデータマイニング的な「お宝」は発見されず「当たり前のことの再確認」ばかりになってしまうのです。「お宝」を期待していたのですから、非常に残念な気持ちになったことでしょう。「当たり前のことの再確認」は、それはそれで非常に重要なことです。

4. データ分析:「当たり前のことの再確認」の重要性

 例えば、安全保障系のデータ分析はリスクを低減させることに役立っています。言い換えると、一発逆転的なデータ分析ではなく、リスクを減らし確実性を増すために役立っている、ということです。安全保障系に限らず他のデータ分析も、そのようなものだと思います。野球でいうところの、ホームランバッターではなくアベレージヒッターのイメージです。コツコツ、ヒットを重ね打率を上げていく感じです。

5. データ分析:どのようにしてアベレージヒッターを目指すのか

 データ分析は、例えば「勘違いを是正する」際や「過去の失敗をできるだけ避ける」などということに役立ちます。「勘違いを是正する」とは、データ分析によって数字などでズバッと示されることで、勘違いを改めるということです。「過去の失敗をできるだけ避ける」とは、データ分析によって成功確率やコストパフォーマンスを上げていくということです。つまりデータ分析・活用はマイナス面を減らすことに非常に役立ちます。

6. データ分析:当たり前の事実を共有しよう!

 そもそも、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人にとって「当たり前の事実」であっても、他の人にとっては「当たり前の事実」ではないかもしれません。重要なのは、組織として関係者が共通して「当たり前の事実」として認識しているかどうかです。データ分析によって数字などで「当たり前の事実」がズバッと示されると、言葉だけよりも分かりやすく伝わりやすいことでしょう。このように、データ分析でお宝が...

データ分析

◆ データ分析から発見されるのは「お宝」というより「見落とされていた事実」

 データマイニングブームの影響もあり、データ分析そのものに対して「お宝を発見する」かのような錯覚があります。多くの場合、実際どのようなことが分析によって発見されるのでしょうか。多くの場合「お宝」というより「見落とされていた事実」が見つかります。つまり、お宝などは滅多に発見されることもなく、分析結果の多くは地味なものです。その地味なことが非常に重要で、データ分析をするメリットであると私は考えています。

 今回は「データ分析から発見されるのは、『お宝』というより『見落とされていた事実』」というお話しをします。

1. データ分析から発見されるのは「見落とされていた事実」

 データはあくまでも過去の記録です。未来を記録するものではありません。「発見される」といっても、単に「見落とされていた事実を発見する」だけです。仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人からすると、データから発見される「見落とされていた事実」は非常に少ないことでしょう。

2. データ分析に興味を持つ人

 今では、ビッグデータやAIブームの影響もあり、多くの人がデータ分析・活用そのものに対し関心を寄せてくれます。しかし、今から10年~15年前、これらに関心を寄せる人は、ほんの一部の人たちだけでした。では当時、データ分析そのものに対し、組織の中で最初に興味を持つ人は、どのような人だったでしょうか?最初に興味を持つ人の多くは、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人が、多かった気がします。

3. 残念なデータ分析結果

 意識の高い人や、洞察力のある人とデータ分析をすると、彼ら・彼女らにとって残念な事が起こります。データ分析からはデータマイニング的な「お宝」は発見されず「当たり前のことの再確認」ばかりになってしまうのです。「お宝」を期待していたのですから、非常に残念な気持ちになったことでしょう。「当たり前のことの再確認」は、それはそれで非常に重要なことです。

4. データ分析:「当たり前のことの再確認」の重要性

 例えば、安全保障系のデータ分析はリスクを低減させることに役立っています。言い換えると、一発逆転的なデータ分析ではなく、リスクを減らし確実性を増すために役立っている、ということです。安全保障系に限らず他のデータ分析も、そのようなものだと思います。野球でいうところの、ホームランバッターではなくアベレージヒッターのイメージです。コツコツ、ヒットを重ね打率を上げていく感じです。

5. データ分析:どのようにしてアベレージヒッターを目指すのか

 データ分析は、例えば「勘違いを是正する」際や「過去の失敗をできるだけ避ける」などということに役立ちます。「勘違いを是正する」とは、データ分析によって数字などでズバッと示されることで、勘違いを改めるということです。「過去の失敗をできるだけ避ける」とは、データ分析によって成功確率やコストパフォーマンスを上げていくということです。つまりデータ分析・活用はマイナス面を減らすことに非常に役立ちます。

6. データ分析:当たり前の事実を共有しよう!

 そもそも、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人にとって「当たり前の事実」であっても、他の人にとっては「当たり前の事実」ではないかもしれません。重要なのは、組織として関係者が共通して「当たり前の事実」として認識しているかどうかです。データ分析によって数字などで「当たり前の事実」がズバッと示されると、言葉だけよりも分かりやすく伝わりやすいことでしょう。このように、データ分析でお宝が発見されなくても「当たり前のことの再確認」ができるだけでも十分なメリットがあります。

7. 未来のリスクを低減させるデータ分析

 今回は「データ分析から発見されるのは、『お宝』というより『見落とされていた事実』」というお話しをしました。

 データ分析に「お宝発見」を期待する人も多いですが、多くの場合「当たり前の結果」しか出てきません。「当たり前のことの再確認」ばかりです。それはそれで非常に重要です。なぜならば「当たり前のことの再確認」によって「勘違いを是正する」時や「過去の失敗をできるだけ避ける」といったことが得られるからです。データ分析は、リスクを低減させ確実に前進するサポートに大きく役立ちます。データ分析は縁の下の力持ち的な役割を担い、将来予測やシミュレーションなどを活用し、未来のリスクを低減させることに、大いに役立ちます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
予測モデルの活用とは データ分析講座(その116)

◆ 予測モデルは帰納的に構築し演繹的に活用する。そして論理展開する。  データ分析・活用を推し進める時にある段階まで進むと、予測モデルが一つのトピッ...

◆ 予測モデルは帰納的に構築し演繹的に活用する。そして論理展開する。  データ分析・活用を推し進める時にある段階まで進むと、予測モデルが一つのトピッ...


統計的機械学習で使用する混同行列と評価指標 データ分析講座(その296)

  統計的機械学習の世界に、2 値分類問題というものがあります。例えば、受注 or 失注、継続 or 離反、異常 or 正常、死亡 or ...

  統計的機械学習の世界に、2 値分類問題というものがあります。例えば、受注 or 失注、継続 or 離反、異常 or 正常、死亡 or ...


名刺のデータ化 データ分析講座(その7)

  ◆ 名刺もデータ化すると、想像以上の力を発揮する  「名刺って、溜まる一方で管理しきれないよね」よくこのような会話を耳にします。でも...

  ◆ 名刺もデータ化すると、想像以上の力を発揮する  「名刺って、溜まる一方で管理しきれないよね」よくこのような会話を耳にします。でも...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
‐販路開拓に関する問題 第1回‐  製品・技術開発力強化策の事例(その17)

 前回の事例その16に続いて解説します。開発が完了したから販売先を探す。そのような考え方で開発に従事することは根本的に間違っている事は既に述べました。開発...

 前回の事例その16に続いて解説します。開発が完了したから販売先を探す。そのような考え方で開発に従事することは根本的に間違っている事は既に述べました。開発...


現場情報の自動収集に道具だてを

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...


個票データの共用化でコストダウン

 データ解析の効率は、生データとその整理の仕方で大きく異なると言えます。 例えば、アンケート結果は単なる生データであり、そのままでは解析出来ません。解析の...

 データ解析の効率は、生データとその整理の仕方で大きく異なると言えます。 例えば、アンケート結果は単なる生データであり、そのままでは解析出来ません。解析の...