知識・経験を整理するフレームワーク 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その61)

更新日

投稿日

 

技術マネジメント

 前回から「思い付く」ための「知識・経験を整理するフレームワーク」の解説をしています。今回も引き続きこの解説をします。

1. 知識・経験を整理するフレームワーク:なぜ時系列か?

 まず1つ目は、時系列での知識・経験の整理です。なぜ、時系列で整理することが有効なのでしょうか?

2. 知識・経験を整理するフレームワーク:「全て」は大きな時間の流れで動いている

 知識・経験を整理する最も一般的な切り口が、時系列での整理です。すなわち、発生する順番に知識・経験を整理するというものです。この世に起こることは、「全て」例外なく時間という大きな流れに支配されています。そして、時間は戻ることなく1つの方向で進むという絶対的な原則に基づいています。したがって、時系列は極めて明快な切り口と言えます。

3. 知識・経験を整理するフレームワーク:全ては以前に起こったことに基づき起こる・成り立つ

 自然界は、前に起こった事や存在する事が原因となり、後に起こる結果を生み出すという関係性で成立しています。後に起こったことが原因で、前に生み出された結果を生み出すという関係には、基本的にはありません。もちろん、人間は思考するために、人間が主語である思考の世界では、後にこのような目標を達成したいと考えることにより、今の行動が生まれるということはあります。

 しかし、この世のことの99.9%は、「前」が原因となり、「後」の結果をもたらすという関係性に基づいていると言って良いでしょう。したがって、このような点からも時系列の整理法は、有効な切り口です。

4.知識・経験を整理するフレームワーク:時間は階段状に段階的に推移する

 時系列といっても、通常物事は漸進的には進展しません。理由は良くわかりませんが、多くのことが階段状に段階的に進んで行きます。変化や進展のないもしくは変化や進展が小さい期間がある程度続き、その後に急に変化し、再び変化や進展のあまりない台地の状況が続くということを繰り返します。このそれぞれの台地の期間を特徴付け、またその関連性を明らかにすることで、思考や経験を有効に整理することができます。

5. 知識・経験を整理するフレームワーク:整理しやすい

 人間は時間の流れで、思考・活動することに慣れています。時間は見えないながらも、人間は日々この強力な時間という流れを強く感じ、また影響を受けながら、場合によっては支配されながら、思考や活動をしているからです。この整理がし...

 

技術マネジメント

 前回から「思い付く」ための「知識・経験を整理するフレームワーク」の解説をしています。今回も引き続きこの解説をします。

1. 知識・経験を整理するフレームワーク:なぜ時系列か?

 まず1つ目は、時系列での知識・経験の整理です。なぜ、時系列で整理することが有効なのでしょうか?

2. 知識・経験を整理するフレームワーク:「全て」は大きな時間の流れで動いている

 知識・経験を整理する最も一般的な切り口が、時系列での整理です。すなわち、発生する順番に知識・経験を整理するというものです。この世に起こることは、「全て」例外なく時間という大きな流れに支配されています。そして、時間は戻ることなく1つの方向で進むという絶対的な原則に基づいています。したがって、時系列は極めて明快な切り口と言えます。

3. 知識・経験を整理するフレームワーク:全ては以前に起こったことに基づき起こる・成り立つ

 自然界は、前に起こった事や存在する事が原因となり、後に起こる結果を生み出すという関係性で成立しています。後に起こったことが原因で、前に生み出された結果を生み出すという関係には、基本的にはありません。もちろん、人間は思考するために、人間が主語である思考の世界では、後にこのような目標を達成したいと考えることにより、今の行動が生まれるということはあります。

 しかし、この世のことの99.9%は、「前」が原因となり、「後」の結果をもたらすという関係性に基づいていると言って良いでしょう。したがって、このような点からも時系列の整理法は、有効な切り口です。

4.知識・経験を整理するフレームワーク:時間は階段状に段階的に推移する

 時系列といっても、通常物事は漸進的には進展しません。理由は良くわかりませんが、多くのことが階段状に段階的に進んで行きます。変化や進展のないもしくは変化や進展が小さい期間がある程度続き、その後に急に変化し、再び変化や進展のあまりない台地の状況が続くということを繰り返します。このそれぞれの台地の期間を特徴付け、またその関連性を明らかにすることで、思考や経験を有効に整理することができます。

5. 知識・経験を整理するフレームワーク:整理しやすい

 人間は時間の流れで、思考・活動することに慣れています。時間は見えないながらも、人間は日々この強力な時間という流れを強く感じ、また影響を受けながら、場合によっては支配されながら、思考や活動をしているからです。この整理がしやすいという点からも、この時系列の整理法は有効なものです。

6. 時系列で整理する経営の分野における例

 上の理由で、世の中には時系列で整理する切り口の種類は沢山あります。経営の分野でも、たとえば以下のような例があります。

○ バリューチェーン・サプライチェーン
○ 揺籃期、成長期、成熟期、老衰期
○ 短期、中期、長期、超長期
○ 前工程・後工程
○ イノベーター、アーリー・アダプター、フォロアー、ラガード(顧客を整理する切り口)
○ 探索、研究、開発
○ 守・破・離
○ PDCA

 次回は上記の例を個々に解説します。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
計画と実施2 技術人材育成の進め方(その2)

  人口減少による人手不足、既存製品のコモディティ化、新技術の導入などに対応していくために、企業が自社の開発力を強化する必要性が高まってい...

  人口減少による人手不足、既存製品のコモディティ化、新技術の導入などに対応していくために、企業が自社の開発力を強化する必要性が高まってい...


企画構想にエレベーターピッチを使う理由 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その27)

       新規事業・新商品の開発コンセプトがイメージできたら、試していただきたいことがあります。それは、「エレベー...

       新規事業・新商品の開発コンセプトがイメージできたら、試していただきたいことがあります。それは、「エレベー...


実践してこその戦略立案 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その13)

        今回は「実践してこその戦略立案」について解説します。    当たり前のように感...

        今回は「実践してこその戦略立案」について解説します。    当たり前のように感...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
擦り合わせ能力を活かすマネジメントとは(その1)

  前回は、「擦り合わせ型開発」と「組み合わせ型開発」のモデルを使って、開発体制について考察しました。擦り合わせ型開発と組み合わせ型開発それぞれ...

  前回は、「擦り合わせ型開発」と「組み合わせ型開発」のモデルを使って、開発体制について考察しました。擦り合わせ型開発と組み合わせ型開発それぞれ...


イノベーション戦略のキーツールとは

  1. 現代のワークショップ    ワークショップは元々、職人が集まって共同で何かを作るための「工房」「作業場」といった意味の...

  1. 現代のワークショップ    ワークショップは元々、職人が集まって共同で何かを作るための「工房」「作業場」といった意味の...


オープンイノベーションにおけるライトハウスカスタマーの事例2件

 情報・知識を多様化するコンセプトとして、オープンイノベーションが注目されています。今回は、そのための情報発信先としてのライトハウスカスタマーについて、B...

 情報・知識を多様化するコンセプトとして、オープンイノベーションが注目されています。今回は、そのための情報発信先としてのライトハウスカスタマーについて、B...