制度の種類と概要 補助金活用で海外進出 (その1)

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「海外展開」支援のための補助金制度の種類と概要 

 

 補助金制度は、企業にとって経営課題解決のための有効な施策です。これらの制度を活用して、リスクを抑えつつ自社技術・製品の拡大発展につなげることができれば、これほど素晴らしいことはありません。

 一方で、「申請書類の作成が複雑だ」「応募したが採択されなかった」といった声もよく聞かれます。制度を有効活用するためには、制度を正しく理解した上で、自社の規模や目的に適ったものを選択する必要があります。「お金をもらえるから新しい事を始める」のでは、支援の元々の目的と企業活動に乖離が生じ、後々トラブルにつながります。 これらの制度は、通常、毎年必ず実施されるとは限りませんし、募集期間も短いです。また、補助金制度は、他の応募企業との競争に勝たなければなりません。しかしながら、「海外展開を考えているが最初の一歩がなかなか踏み出せない」という企業の方には、是非チャレンジして、チャンスをものにして頂きたいと思います。

 ここからはQ&A形式で説明しましょう。

①助成金と補助金の違いは?

 混同される場合もありますが、以下のような違いがあるとお考えください。

【助成金 】 応募要件を満たせば受領できる。

【補助金 】 予算総額が決まっている。応募の中から選ばれた者が受領できる。

 

②補助金はいくらもらえるの?

 金額は制度によってまちまちです。以下のように、海外展開に係る費用を「全額」、または「一部」負担するものが多いようです。

【補助対象費目の例】 展示会出展費、試作品輸送費、パンフレット作製費、渡航費、宿泊費、通訳・翻訳費、 コンサルタント人件費、等

 一般的に、これらの補助金の支払いは、「後払い」です。従って、補助対象金額を入金まで立て替える必要があるので注意が必要です。

 経済産業省などの省庁、JICA・JETRO・中小企業基盤整備機構、日本政策金融公庫、商工会議所、各市町村などが募集します。地方自治体が独自の支援制度を持っていることも多いので、詳しくはHP等で検索するか、筆者まで問い合わせてください。

 

③どんな制度が用意されているの?

 補助金には様々な種類がありますが、その中から、中小企業の海外展開に関するものをピックアップしてみました。なお、ここで紹介した制度は2013年に実施済のもので、来年度以降は実施されない可能性もありますのでご注意ください。詳細は問い合わせてください。

●海外展開

  海外展開のためのF/S支援事業  <中小企業基盤整備機構>

  海外需要獲得型起業・創業  <中小企業基盤整備機構>

  中小企業連携促進基礎調査  <JICA>

  協力準備調査(BOPビジネス連携推進) <JICA>

  外務省委託事業(ODA案件化の検討) <JICA>

●販路拡大

  販路開拓展示会・商談会等出展支援補助 <神戸市>

●技術革新

  海外展開技術支援助成事業  <東京都中小企業振興公社>

 

④自社に適する制度を見つけるには?

 補助金に関する情報をまとめたウェブサイトや、中小企業庁が毎年発行している支援施策ガイドブックなどで、制度概要に関する情報を入手することができます。ま...

「海外展開」支援のための補助金制度の種類と概要 

 

 補助金制度は、企業にとって経営課題解決のための有効な施策です。これらの制度を活用して、リスクを抑えつつ自社技術・製品の拡大発展につなげることができれば、これほど素晴らしいことはありません。

 一方で、「申請書類の作成が複雑だ」「応募したが採択されなかった」といった声もよく聞かれます。制度を有効活用するためには、制度を正しく理解した上で、自社の規模や目的に適ったものを選択する必要があります。「お金をもらえるから新しい事を始める」のでは、支援の元々の目的と企業活動に乖離が生じ、後々トラブルにつながります。 これらの制度は、通常、毎年必ず実施されるとは限りませんし、募集期間も短いです。また、補助金制度は、他の応募企業との競争に勝たなければなりません。しかしながら、「海外展開を考えているが最初の一歩がなかなか踏み出せない」という企業の方には、是非チャレンジして、チャンスをものにして頂きたいと思います。

 ここからはQ&A形式で説明しましょう。

①助成金と補助金の違いは?

 混同される場合もありますが、以下のような違いがあるとお考えください。

【助成金 】 応募要件を満たせば受領できる。

【補助金 】 予算総額が決まっている。応募の中から選ばれた者が受領できる。

 

②補助金はいくらもらえるの?

 金額は制度によってまちまちです。以下のように、海外展開に係る費用を「全額」、または「一部」負担するものが多いようです。

【補助対象費目の例】 展示会出展費、試作品輸送費、パンフレット作製費、渡航費、宿泊費、通訳・翻訳費、 コンサルタント人件費、等

 一般的に、これらの補助金の支払いは、「後払い」です。従って、補助対象金額を入金まで立て替える必要があるので注意が必要です。

 経済産業省などの省庁、JICA・JETRO・中小企業基盤整備機構、日本政策金融公庫、商工会議所、各市町村などが募集します。地方自治体が独自の支援制度を持っていることも多いので、詳しくはHP等で検索するか、筆者まで問い合わせてください。

 

③どんな制度が用意されているの?

 補助金には様々な種類がありますが、その中から、中小企業の海外展開に関するものをピックアップしてみました。なお、ここで紹介した制度は2013年に実施済のもので、来年度以降は実施されない可能性もありますのでご注意ください。詳細は問い合わせてください。

●海外展開

  海外展開のためのF/S支援事業  <中小企業基盤整備機構>

  海外需要獲得型起業・創業  <中小企業基盤整備機構>

  中小企業連携促進基礎調査  <JICA>

  協力準備調査(BOPビジネス連携推進) <JICA>

  外務省委託事業(ODA案件化の検討) <JICA>

●販路拡大

  販路開拓展示会・商談会等出展支援補助 <神戸市>

●技術革新

  海外展開技術支援助成事業  <東京都中小企業振興公社>

 

④自社に適する制度を見つけるには?

 補助金に関する情報をまとめたウェブサイトや、中小企業庁が毎年発行している支援施策ガイドブックなどで、制度概要に関する情報を入手することができます。また、お近くの商工会議所や金融機関に相談してみるのもよいでしょう。 前年の採択実績を公表している制度もあります。採択された企業の業種、採択内容、海外進出先などの情報を得ることができます。 制度の検討に当たっては、応募要件、募集開始日、申請書類、申請締切日、事前説明会の開催有無などの情報に特に注意を払います。

【主な情報入手先】

中小企業施策ガイドブック(中小企業庁)http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/h25/

補助金等公募案内(中小企業庁)        http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/

 

次回、その2では、制度申請の流れと申請のための心構えについて解説いたします。

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この記事の著者

江崎 秀之

中小製造業の海外展開を、セミナーや企業支援実績の豊富な中小企業診断士が親身にサポート。海外展開のための公的助成制度への応募をお手伝いします。現地で想定される様々なリスクについてもお答えします。

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