コスト低減のための技術体系

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  技術マネジメント
 
 今回は、外部コストの低減への取り組みについて、コスト分析・プライス分析の技術などコスト低減のための技術体系を解説します。
 
 調達品のコストダウンについて、いまだに「買い叩き」を行っている企業が多々あります。そして、買い叩きは取引先の企業努力を促す面はありますが、その影響によるデメリットを発生させていることの方が多いでしょう。
 例えばバイヤーが、取引先になんの裏付けを持つことなく、強く値引きを要求していると、取引先として取り引きに消極的になるか、あるいは取引品目について手を抜くこと(品質の低下や納期遅れ)を招くことが見受けられます。
 
 これは、バイヤーが品質対策や納期調整などに多くの時間を割くことになって、本来の調達業務のための時間を大きく減らすことになってしまいます。
 さらに、価格交渉では新規の見積依頼品目について、高い見積金額が出てくるようになります。
 さて、コスト低減のための技術体系ということですが、まずはコスト理論を知ることから始めることです。コスト理論とは、科学的・論理性を持ったコストの構築のことです。
 
 品目のコストは、材料費+加工費+運賃で求めます。
 
  • 材料費=材料単価×材料使用量
  • 加工費=所要時間(あるいは加工時間)× 加工費レート(単位時間当たりの加工費)
  • 加工費レート=加工費率(工場の単位時間当たりの加工費)×(1+一般管理・販売費比率)×(1+利益率)
 運賃は、納入のための製品1単位当たりの納入費用です。ただし、一般管理・販売費比率の中に含めてしまうこともあります。
 さらに材料使用量は、正味材料使用量×(1+材料余裕率)で求められます。
 
 正味材料使用量には、製品や部品そのものになる正味量、製作するにあたって必要な正味付加量(例えば、旋盤加工での切断代や仕上げ代)があります。
 材料余裕量(率)は、射出成形の試し打ちの際、良品であっても廃棄するロス分や板金加工で定尺材から品目を取り出した時に管理上認められるロス分などがあります。
 これらについて、理論的に求めていくことです。
 そして、科学的・論理性を持ったコスト(見積コスト)と現状のコストを比較して、その差額を確認し、課題の発見とその対策のための改善計画書の作成、計画の実行へと移し、その結果を評価することになります。これが、コストダウンのすすめ方です。
 また、コスト分...
 
  技術マネジメント
 
 今回は、外部コストの低減への取り組みについて、コスト分析・プライス分析の技術などコスト低減のための技術体系を解説します。
 
 調達品のコストダウンについて、いまだに「買い叩き」を行っている企業が多々あります。そして、買い叩きは取引先の企業努力を促す面はありますが、その影響によるデメリットを発生させていることの方が多いでしょう。
 例えばバイヤーが、取引先になんの裏付けを持つことなく、強く値引きを要求していると、取引先として取り引きに消極的になるか、あるいは取引品目について手を抜くこと(品質の低下や納期遅れ)を招くことが見受けられます。
 
 これは、バイヤーが品質対策や納期調整などに多くの時間を割くことになって、本来の調達業務のための時間を大きく減らすことになってしまいます。
 さらに、価格交渉では新規の見積依頼品目について、高い見積金額が出てくるようになります。
 さて、コスト低減のための技術体系ということですが、まずはコスト理論を知ることから始めることです。コスト理論とは、科学的・論理性を持ったコストの構築のことです。
 
 品目のコストは、材料費+加工費+運賃で求めます。
 
  • 材料費=材料単価×材料使用量
  • 加工費=所要時間(あるいは加工時間)× 加工費レート(単位時間当たりの加工費)
  • 加工費レート=加工費率(工場の単位時間当たりの加工費)×(1+一般管理・販売費比率)×(1+利益率)
 運賃は、納入のための製品1単位当たりの納入費用です。ただし、一般管理・販売費比率の中に含めてしまうこともあります。
 さらに材料使用量は、正味材料使用量×(1+材料余裕率)で求められます。
 
 正味材料使用量には、製品や部品そのものになる正味量、製作するにあたって必要な正味付加量(例えば、旋盤加工での切断代や仕上げ代)があります。
 材料余裕量(率)は、射出成形の試し打ちの際、良品であっても廃棄するロス分や板金加工で定尺材から品目を取り出した時に管理上認められるロス分などがあります。
 これらについて、理論的に求めていくことです。
 そして、科学的・論理性を持ったコスト(見積コスト)と現状のコストを比較して、その差額を確認し、課題の発見とその対策のための改善計画書の作成、計画の実行へと移し、その結果を評価することになります。これが、コストダウンのすすめ方です。
 また、コスト分析・プライス分析の技術などは、次のように部門別に整理して考える必要があります。
 
  • 購買部門では、開発購買、機能購買、有利購買に分けて考えることができます。⇔機能購買の技術、コスト分析・プライス分析の技術、買い方改善の技術、適正な価格 
  • 開発部門では、目標原価による設計活動となると思います。⇔目標を設定する技術、適正な価格

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この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

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