過去のデータから未来予測はできるのか

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 今回は、製品開発、商品企画について解説します。
 

1. 商品企画:作り手は未来を予測すること

 
 製品開発、商品企画は次期の企画ですが、まずは企業側、作り手からの話です。
 
  ① 過去→② 現在→③ 未来
 
 現状商品の顧客満足度の測定は、①過去、②現在の情報です。顧客データの分析も①過去、②現在の情報です。現状商品の不満、要望は②現在の情報で、基本的には現在の情報です。要望を汲み取れば③未来になるかも知れません。
 
 では、③未来の商品企画で重要なのは、何でしょう。マーケティングの書籍、商品企画七つ道具でも前提として書かれているのは、①過去、②現在の情報からも顧客が知らない潜在ニーズを発掘することとです。
 
 タイムマシンでもあって、未来に行ければ、簡単かも知れませんが、なかなか未来予想はできません。しかし、企業経営の中で、次期経営戦略から、商品をどうするか、具体化する業務は必ず存在します。
 
 ① 企画→② 設計→③ 試作→④ 生産→⑤ 販売
 
 ものづくり企業の場合、簡単に生産には至りませんので、未来を予測して、生産計画を行うはずで、企画は耐久消費財の場合ですと数年前、一般消費財でも2~3年前、消耗品などの消費財でも1年前、に完成しないと、次期商品に間に合いません。
 
 顧客ニーズを常に捉えて、潜在ニーズを発掘しているところであれば、全く問題はありませんが、多くの企業が未来予測に頭を抱えています。10年後を予測するのは難しいのです。
 
 整品企画
 

2. 商品企画:買い手の要望は満たされているか

 
 次に顧客側、買う側の話です。
 
 日本は成熟社会ですので、高度経済成長期のように、三種の神器といわれた製品を買いたいという要望はありません。物は一通り揃い、不自由なく暮らしています。総論は、商品に全く問題はありませんが、細かい話になると別です。
 
 私が先日乗ったハイブリッドカーですが、基本は、私には満足したクルマですが、乗ってみると、100%満足出来ませんでした。冬ですと、ドアノブで静電気が走ります。スマートキーですが、鍵の金属が出ていて、格好が悪いです。座高が高い私には、シートが高いのです。私の座高が高いから悪いのだ。「使っていて慣れよ」かも知れませんが、最新のクルマでもこの有り様です。
 
 私の潜在ニーズを満たしたクルマに出会ったことがありません。私は、完全に満足していないのです。妥協して乗っているのです。これは私だけの話でしょうか。とすれば、メーカーは「何をやっている」のだと叫びたくなります。
 

3. 未来の商品企画とはいえ、現状でも不満は山積

 
 最新の商品とはいえ、世に出れば既に陳腐化が始まります。同業であれば、この商品よりも有利な商品戦略を取るべきです。人間は欲深いものです、現状に不満があるとさらにいいものを好みます。
 
 未来というと新技術、新素材と叫ばれますが、現状の顧客をもっと見た方が企画のヒントは出てく...
 今回は、製品開発、商品企画について解説します。
 

1. 商品企画:作り手は未来を予測すること

 
 製品開発、商品企画は次期の企画ですが、まずは企業側、作り手からの話です。
 
  ① 過去→② 現在→③ 未来
 
 現状商品の顧客満足度の測定は、①過去、②現在の情報です。顧客データの分析も①過去、②現在の情報です。現状商品の不満、要望は②現在の情報で、基本的には現在の情報です。要望を汲み取れば③未来になるかも知れません。
 
 では、③未来の商品企画で重要なのは、何でしょう。マーケティングの書籍、商品企画七つ道具でも前提として書かれているのは、①過去、②現在の情報からも顧客が知らない潜在ニーズを発掘することとです。
 
 タイムマシンでもあって、未来に行ければ、簡単かも知れませんが、なかなか未来予想はできません。しかし、企業経営の中で、次期経営戦略から、商品をどうするか、具体化する業務は必ず存在します。
 
 ① 企画→② 設計→③ 試作→④ 生産→⑤ 販売
 
 ものづくり企業の場合、簡単に生産には至りませんので、未来を予測して、生産計画を行うはずで、企画は耐久消費財の場合ですと数年前、一般消費財でも2~3年前、消耗品などの消費財でも1年前、に完成しないと、次期商品に間に合いません。
 
 顧客ニーズを常に捉えて、潜在ニーズを発掘しているところであれば、全く問題はありませんが、多くの企業が未来予測に頭を抱えています。10年後を予測するのは難しいのです。
 
 整品企画
 

2. 商品企画:買い手の要望は満たされているか

 
 次に顧客側、買う側の話です。
 
 日本は成熟社会ですので、高度経済成長期のように、三種の神器といわれた製品を買いたいという要望はありません。物は一通り揃い、不自由なく暮らしています。総論は、商品に全く問題はありませんが、細かい話になると別です。
 
 私が先日乗ったハイブリッドカーですが、基本は、私には満足したクルマですが、乗ってみると、100%満足出来ませんでした。冬ですと、ドアノブで静電気が走ります。スマートキーですが、鍵の金属が出ていて、格好が悪いです。座高が高い私には、シートが高いのです。私の座高が高いから悪いのだ。「使っていて慣れよ」かも知れませんが、最新のクルマでもこの有り様です。
 
 私の潜在ニーズを満たしたクルマに出会ったことがありません。私は、完全に満足していないのです。妥協して乗っているのです。これは私だけの話でしょうか。とすれば、メーカーは「何をやっている」のだと叫びたくなります。
 

3. 未来の商品企画とはいえ、現状でも不満は山積

 
 最新の商品とはいえ、世に出れば既に陳腐化が始まります。同業であれば、この商品よりも有利な商品戦略を取るべきです。人間は欲深いものです、現状に不満があるとさらにいいものを好みます。
 
 未来というと新技術、新素材と叫ばれますが、現状の顧客をもっと見た方が企画のヒントは出てくるはずです。事故に遭いそうになってクルマが助けてくれる時代:サポートカーの時代です。自動車メーカーであれば、クルマを運転している様々な状況を見て欲しいのです。安心、安全を担保すべき商品は特に現在の顧客の不満を解決して欲しいわけです。
 
 現状の不満を見るだけでも、未来が見えてくるとしたら、それは未来予測より簡単なはずです。 
   

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この記事の著者

石川 朋雄

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。


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