商品企画七つ道具を実践する上での壁とは

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 今回は、商品企画七つ道具を活用についての壁である、不満、要望についてお伝えします。
 
 私は約20年にわたり、商品企画七つ道具の創始者である成城大学神田範明教授とともに商品企画のコンサルティングと研究と実践に関わってきました。セミナー後など導入前に伺うと数々の不満を伺います。その対策について、前向きな対策方法をお伝えします。
 
 前提として、商品企画の諸問題、特に顧客の問題に愚直に向き合う手法です。そして企画・開発における実務担当者の経験則の業務が多い。これらを標準化、システム化して効率を上げようという目的で商品企画七つ道具は生まれています。
 

1. 工程が多く時間がかかる

 
 問題解決手法ですので、適材適所、重点指向で構いません。企画問題の内容によりますが、インタビュー調査、アンケート調査、ポジショニング分析の活用でかなり課題達成できます。強いていえば、今まで行っている内容と異なるので、1手法活用しただけでも、効果が得られます。
 
 顧客に対して向かうため、その調査には時間を要します。社内だけの企画ではうまくいかなかったので、対策を講じたいのであれば、顧客に向き合って満足向上は必須です。
 

2. 費用がかかる

 
 顧客調査には一定の費用がかかります。企画の段階で売れる保証もない企画案を連発して、在庫を抱え、営業から文句を言われる企画案では、経営に損失を与えます。源流の企画から顧客満足に焦点をあて、確実に売れる企画案の方が、経営に多大な損失を与えるとは思えません。これはTQM活動にある品質経営に基づいた視点からもいえることです。
 
 また、実は低予算で行う方法もあります。縁故を中心とする調査は安価で済みます。また、生産財メーカーでは顧客が複数存在します。複数顧客に対して最適化が必要です。
 

3. 統計解析が難しい

 
 品質管理のSQC手法を使うことで、顧客問題の数字化、見える化が実現します。統計手法の理論は難しいですが、実務担当者は手法の活用に徹した方が、早く結果を出せます。有効な結果から新価値創造した方が費用対効果を得られます。
 
 SQC
 

4. 上司や役員を説得できない

 
 単なるフレームワーク、マーケティング手法ととらえてしまうと、一貫性がなく否定が入ります。また、失敗もあるかも知れません。しかし、商品企画七つ道具はこれらの否定に対して明確に意義を唱えます。
 
 改めて、商品、製品の顧客満足対策であり、顧客価値を追求の手法、実践経験もあり、成功事例もあり、大学教授の研究も継続しています。顧客主義、現場主義に成り立った実務担当者には実践しやすい内容で、手法は考案され、改良改善も務めています。
 
 商品企画七つ道具をとらえる方は品質管理、TQM活動を実践している方が多いと思います。まずは企画、開発の改善と言うことで有志の小集団活動からはじめることがよいでしょう。手法を実践することで新しい見地、結果を生み、その成果が広がってきます。
 

5. 顧客先に説得できない

 
 BtoB製品の場合、顧客先の要求品質の実現で製品開発が成り立ちます。現状の製品に対して改良改善要望が出されますが、その要求を明確に伝えられない場合があります。このような場合、現状製品と新製品の顧客満足度を測定することによって、数字化できます。
 
 さらに問題なのが、この要求品質は競合他社にも伝えています。競合他社が優位の場合、要求品質を満たしていても買ってくれないという悲劇が訪れます。競合他社より、要求品質以上の顧客要求を発掘することが必要になります。
 
 商品企画七つ道具は、徹底的な顧客主義ですので、顧客の現場によって、価値創造のヒントが隠れています。この価値を製品化していくことが真の差別化になります。
 

6. 生産財なので使えない

 
 これも良く聞く不満です。商品企画七つ道具は消費財向けと言われます。生産財の場合は顧客要望の実現で製品開発が成り立ちます。しかし、これで問題はないのでしょうか。請負元のニーズだけではなく、エンドユーザ...
 今回は、商品企画七つ道具を活用についての壁である、不満、要望についてお伝えします。
 
 私は約20年にわたり、商品企画七つ道具の創始者である成城大学神田範明教授とともに商品企画のコンサルティングと研究と実践に関わってきました。セミナー後など導入前に伺うと数々の不満を伺います。その対策について、前向きな対策方法をお伝えします。
 
 前提として、商品企画の諸問題、特に顧客の問題に愚直に向き合う手法です。そして企画・開発における実務担当者の経験則の業務が多い。これらを標準化、システム化して効率を上げようという目的で商品企画七つ道具は生まれています。
 

1. 工程が多く時間がかかる

 
 問題解決手法ですので、適材適所、重点指向で構いません。企画問題の内容によりますが、インタビュー調査、アンケート調査、ポジショニング分析の活用でかなり課題達成できます。強いていえば、今まで行っている内容と異なるので、1手法活用しただけでも、効果が得られます。
 
 顧客に対して向かうため、その調査には時間を要します。社内だけの企画ではうまくいかなかったので、対策を講じたいのであれば、顧客に向き合って満足向上は必須です。
 

2. 費用がかかる

 
 顧客調査には一定の費用がかかります。企画の段階で売れる保証もない企画案を連発して、在庫を抱え、営業から文句を言われる企画案では、経営に損失を与えます。源流の企画から顧客満足に焦点をあて、確実に売れる企画案の方が、経営に多大な損失を与えるとは思えません。これはTQM活動にある品質経営に基づいた視点からもいえることです。
 
 また、実は低予算で行う方法もあります。縁故を中心とする調査は安価で済みます。また、生産財メーカーでは顧客が複数存在します。複数顧客に対して最適化が必要です。
 

3. 統計解析が難しい

 
 品質管理のSQC手法を使うことで、顧客問題の数字化、見える化が実現します。統計手法の理論は難しいですが、実務担当者は手法の活用に徹した方が、早く結果を出せます。有効な結果から新価値創造した方が費用対効果を得られます。
 
 SQC
 

4. 上司や役員を説得できない

 
 単なるフレームワーク、マーケティング手法ととらえてしまうと、一貫性がなく否定が入ります。また、失敗もあるかも知れません。しかし、商品企画七つ道具はこれらの否定に対して明確に意義を唱えます。
 
 改めて、商品、製品の顧客満足対策であり、顧客価値を追求の手法、実践経験もあり、成功事例もあり、大学教授の研究も継続しています。顧客主義、現場主義に成り立った実務担当者には実践しやすい内容で、手法は考案され、改良改善も務めています。
 
 商品企画七つ道具をとらえる方は品質管理、TQM活動を実践している方が多いと思います。まずは企画、開発の改善と言うことで有志の小集団活動からはじめることがよいでしょう。手法を実践することで新しい見地、結果を生み、その成果が広がってきます。
 

5. 顧客先に説得できない

 
 BtoB製品の場合、顧客先の要求品質の実現で製品開発が成り立ちます。現状の製品に対して改良改善要望が出されますが、その要求を明確に伝えられない場合があります。このような場合、現状製品と新製品の顧客満足度を測定することによって、数字化できます。
 
 さらに問題なのが、この要求品質は競合他社にも伝えています。競合他社が優位の場合、要求品質を満たしていても買ってくれないという悲劇が訪れます。競合他社より、要求品質以上の顧客要求を発掘することが必要になります。
 
 商品企画七つ道具は、徹底的な顧客主義ですので、顧客の現場によって、価値創造のヒントが隠れています。この価値を製品化していくことが真の差別化になります。
 

6. 生産財なので使えない

 
 これも良く聞く不満です。商品企画七つ道具は消費財向けと言われます。生産財の場合は顧客要望の実現で製品開発が成り立ちます。しかし、これで問題はないのでしょうか。請負元のニーズだけではなく、エンドユーザーまでの顧客価値創造となると、協業体制で開発が進みます。顧客の満足度対策から問題点を把握し、共創していくのが理想です。
 

7. 商品企画七つ道具は顧客満足向上のための手法です。

 
 最後に、声高に言いますが、現在の商品、製品「企画」、「開発」に全く問題がなければ、今までの方法で構いません。特に商品企画七つ道具を使う必要もないです。少しでも問題があり、改善したいと思っているのでしたら、道具である商品企画七つ道具の1手法でも活用して結果を生み出して欲しいと願うばかりです。
 
【参考文献】
神田範明著:『神田教授の商品企画ゼミナール』、日科技連出版社、(2013)
 

【関連解説:商品企画七つ道具】

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この記事の著者

石川 朋雄

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。

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