成形加工メーカー プラスチック製品の成形パートナーの選び方(その1)

投稿日

1. プラスチック製品の成形パートナー探し

 
 プラスチック製品を立ち上げる際、成形パートナー(成形加工メーカー)選びは極めて重要です。よい成形パートナーに巡り合えれば、想定以上によい製品に仕上ります。一方、合わない成形パートナーにしか出会えなければ、要求事項を満足できないだけではなく、トラブルが続出することになるのです。
 
 成形加工メーカーは国内だけでも1万社以上存在し、プラスチックに馴染みのない技術者や商品企画者にとっては、どうやって選べばよいか悩むケースもあると思います。今回は、プラスチック製品の成形パートナー探しについて解説します。
 
 

2. 成形加工メーカーの強み(1)

 
 数ある成形加工メーカーの中には、他では対応できない特殊な技術やノウハウを持っている企業もあります。そのような技術が必要な場合、成形パートナー探しに苦労することはないでしょう。他に選択肢がないからです。
 
 しかし、一般的なプラスチック製品の場合、そのような独自のノウハウが必要なことは少ないでしょう。一見するとほとんど同じように見える成形加工メーカーの中から、自社にとって最適な成形パートナーを探し出さなければならないのです。
 
 成形パートナー探しをするうえで重要なことは、それぞれの成形加工メーカーの強みは、細かく分かれているということを理解することです。「プラスチックのことなら何でもお任せください」といった看板を出している成形加工メーカーも多いのですが、実際にはそんなことはないのです。
 
 よい成形パートナーを見つけるということは、自社製品に必要な強みを持っている企業を見つけるということです。成形加工メーカーの強みについて、図1のように分類を行いました。
 
生産マネジメント図1. 成形加工メーカーの強み(1)
 

① 数量

 
 成形加工メーカーは少量生産か大量生産のどちらかに強みがあるケースがほとんどです。大量生産できることが優れているというわけではありません。大量生産と少量生産では必要な設備やノウハウが異なるだけです。表1はロット数(成形1回の生産数)と成形法の代表例を示しています。
 
表1. ロット数と成形法の例
生産マネジメント
 
 また、プラスチック製品を金型で生産する場合は、ロット数だけではなく、総生産数も重要です。同じロット数でも総生産数の違いによって、1個当たりの金型費用が異なります。ロット数が多くても総生産数が少ない場合、少量生産の成形法を使った方がトータル費用を抑えられるでしょう。
 
 ロット数が数十個程度までは、金型を使用しないか、安価な金型で成形できる方法を選択するのです。ロット数が数百個を超えれば金型を使った成形法を使うことができます。数千個を超えるようであれば、一つの金型で複数の製品を成形したり、成形の高速化やラインの自動化をしたりすることに...

1. プラスチック製品の成形パートナー探し

 
 プラスチック製品を立ち上げる際、成形パートナー(成形加工メーカー)選びは極めて重要です。よい成形パートナーに巡り合えれば、想定以上によい製品に仕上ります。一方、合わない成形パートナーにしか出会えなければ、要求事項を満足できないだけではなく、トラブルが続出することになるのです。
 
 成形加工メーカーは国内だけでも1万社以上存在し、プラスチックに馴染みのない技術者や商品企画者にとっては、どうやって選べばよいか悩むケースもあると思います。今回は、プラスチック製品の成形パートナー探しについて解説します。
 
 

2. 成形加工メーカーの強み(1)

 
 数ある成形加工メーカーの中には、他では対応できない特殊な技術やノウハウを持っている企業もあります。そのような技術が必要な場合、成形パートナー探しに苦労することはないでしょう。他に選択肢がないからです。
 
 しかし、一般的なプラスチック製品の場合、そのような独自のノウハウが必要なことは少ないでしょう。一見するとほとんど同じように見える成形加工メーカーの中から、自社にとって最適な成形パートナーを探し出さなければならないのです。
 
 成形パートナー探しをするうえで重要なことは、それぞれの成形加工メーカーの強みは、細かく分かれているということを理解することです。「プラスチックのことなら何でもお任せください」といった看板を出している成形加工メーカーも多いのですが、実際にはそんなことはないのです。
 
 よい成形パートナーを見つけるということは、自社製品に必要な強みを持っている企業を見つけるということです。成形加工メーカーの強みについて、図1のように分類を行いました。
 
生産マネジメント図1. 成形加工メーカーの強み(1)
 

① 数量

 
 成形加工メーカーは少量生産か大量生産のどちらかに強みがあるケースがほとんどです。大量生産できることが優れているというわけではありません。大量生産と少量生産では必要な設備やノウハウが異なるだけです。表1はロット数(成形1回の生産数)と成形法の代表例を示しています。
 
表1. ロット数と成形法の例
生産マネジメント
 
 また、プラスチック製品を金型で生産する場合は、ロット数だけではなく、総生産数も重要です。同じロット数でも総生産数の違いによって、1個当たりの金型費用が異なります。ロット数が多くても総生産数が少ない場合、少量生産の成形法を使った方がトータル費用を抑えられるでしょう。
 
 ロット数が数十個程度までは、金型を使用しないか、安価な金型で成形できる方法を選択するのです。ロット数が数百個を超えれば金型を使った成形法を使うことができます。数千個を超えるようであれば、一つの金型で複数の製品を成形したり、成形の高速化やラインの自動化をしたりすることによって製品単価を下げることができます。多くの成形加工メーカーはこのうちのどこか一つに強みを持っているはずです。
 
表2. 総生産数と1個当たりの金型費用
生産マネジメント
 
 新製品を開発する場合、ロット数や総生産数を正確に見積ることが難しいものも事実です。しかし、それらをある程度明確にしない限り、最適な成形法やよりよい成形パートナーを見つけ出すことは困難です。次回も、成形加工メーカーの絞り込みの解説を続けます。
 
  

   続きを読むには・・・


この記事の著者

田口 宏之

中小製造業の製品設計の仕組み作りをお手伝いします!これからの時代、製品設計力強化が中小製造業の勝ち残る数少ない選択肢の一つです。

中小製造業の製品設計の仕組み作りをお手伝いします!これからの時代、製品設計力強化が中小製造業の勝ち残る数少ない選択肢の一つです。


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
多品種少量、部品加工工場の生産効率化の検討

 前回の中小企業の生産管理システムとトヨタ生産方式に続いて解説します。 ◆関連解説『トヨタ生産方式とは』    自動車部品などの製造工場で...

 前回の中小企業の生産管理システムとトヨタ生産方式に続いて解説します。 ◆関連解説『トヨタ生産方式とは』    自動車部品などの製造工場で...


外部の刺激を利用する 現場改善:発想の転換(その8)

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として、現場改善:発想の転換をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(...

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として、現場改善:発想の転換をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(...


実行力 儲かるメーカー改善の急所101項(その25)

2.モノづくり〈現場改善の基本〉 ◆ 実行力  現場で実に良い改善のアイデアが出て、「さあやろう!」という時に、間髪を入れずに「それっぽっちの効果...

2.モノづくり〈現場改善の基本〉 ◆ 実行力  現場で実に良い改善のアイデアが出て、「さあやろう!」という時に、間髪を入れずに「それっぽっちの効果...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
金型メーカーのトライ担当者に要求されるようなスキルとは 伸びる金型メーカーの秘訣 (その42)

 今回紹介するプレスメーカーは、K株式会社です。筆者は、定期的に同社の技術者教育を担当させていただいており、今回はトライと金型保全担当者の集合教育と個...

 今回紹介するプレスメーカーは、K株式会社です。筆者は、定期的に同社の技術者教育を担当させていただいており、今回はトライと金型保全担当者の集合教育と個...


多様なハード技術を持つ会社とIoT対応

        今回は、次のような、ハード系の単品装置で成り立ってきた電機メーカーを事例として、多様なハード技術を持つ会社とIoT対応について考えま...

        今回は、次のような、ハード系の単品装置で成り立ってきた電機メーカーを事例として、多様なハード技術を持つ会社とIoT対応について考えま...


3つの質問で経営と現場をつなぐ

        中小ものづくり経営者様より、よく頂戴するお題に「現場リーダーの育成」があります。経営者が笛吹...

        中小ものづくり経営者様より、よく頂戴するお題に「現場リーダーの育成」があります。経営者が笛吹...