ヒューマンエラーを考える

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1. ヒューマンエラーを防ぐための基本

 「ヒューマンエラーを防ぐための基本」とは何でしょうか。私は「5S」こそ基本だと考えます。「5S」とは、「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「躾」のことです。作業や業務を行う環境を「整理」・「整頓」することで、取り違いや、紛失などのミスを防ぐことができ、「清掃」・「清潔」でその環境を維持、管理していきます。そして「躾」で、「ルールや手順など決められたことをを守る。」ということや、「報告・連絡・相談(報・連・相)」を徹底します。こういったことが、「ヒューマンエラーを防ぐための基本」となります。やはり「基本は王道」です。また、「5S」が徹底された職場は、もし、万が一、何か事故や不具合があったとしても、原因を究明し易く、より早く有効な対策を打つことができます。
 

2. ヒューマンエラーを未然に防ぐヒント

 ヒヤリ・ハットの段階で、ヒューマンエラーの要素を潰していくことがポイントですが、では、どのようにすれば良いでしょうか。まず最初は、「職場や、グループ内で発生したヒヤリ・ハットの情報をメンバー間で共有する。」ということがポイントです。「ヒヤリ・ハット」情報を共有化し、メンバー間で注意を促すことで、「ヒヤリ・ハット」についての意識を高めるということに繋がります。そのためには、「どうすればメンバー間でヒヤリ・ハットの情報を出し合えるようにすることができるか?」、「どのような方法でヒヤリ・ハット情報を共有化するか?」という課題が出てきます。まずは「ヒヤリ・ハット」情報を出し合える環境作りや、「ヒヤリ・ハット」に対するメンバーへの意識付けなど、リーダー、管理監督者の役割が重要となります。
 
 では、ヒューマンエラーを未然に防ぐためにはどのようにしたら良いでしょうか、そのためのヒントはいくつかあると思います。例えば、その一つが「ハインリッヒの法則」です。「ハインリッヒの法則」とは「1:29:300の法則」とも呼ばれ、「1件の重大事故・災害の背後には、29件の軽微な事故・災害があり、更にその背後には300件ものヒヤリ・ハットが存在する。」というものです。即ち、「軽微な事故・災害以上」の事故や災害を防ぐためには、「ヒヤリ・ハットの段階でそういったヒューマンエラーの要素を潰していく。」ということがポイントとなります。そのために、如何にして「ヒヤリハットの段階で潰す活動」を行うか、ということが重要となってきます。
 

3. ヒューマンエラーと区別して考えること

 人起因による事故や不具合などの事象が発生し、原因を追究する上で、区別して考えなければ...
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1. ヒューマンエラーを防ぐための基本

 「ヒューマンエラーを防ぐための基本」とは何でしょうか。私は「5S」こそ基本だと考えます。「5S」とは、「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「躾」のことです。作業や業務を行う環境を「整理」・「整頓」することで、取り違いや、紛失などのミスを防ぐことができ、「清掃」・「清潔」でその環境を維持、管理していきます。そして「躾」で、「ルールや手順など決められたことをを守る。」ということや、「報告・連絡・相談(報・連・相)」を徹底します。こういったことが、「ヒューマンエラーを防ぐための基本」となります。やはり「基本は王道」です。また、「5S」が徹底された職場は、もし、万が一、何か事故や不具合があったとしても、原因を究明し易く、より早く有効な対策を打つことができます。
 

2. ヒューマンエラーを未然に防ぐヒント

 ヒヤリ・ハットの段階で、ヒューマンエラーの要素を潰していくことがポイントですが、では、どのようにすれば良いでしょうか。まず最初は、「職場や、グループ内で発生したヒヤリ・ハットの情報をメンバー間で共有する。」ということがポイントです。「ヒヤリ・ハット」情報を共有化し、メンバー間で注意を促すことで、「ヒヤリ・ハット」についての意識を高めるということに繋がります。そのためには、「どうすればメンバー間でヒヤリ・ハットの情報を出し合えるようにすることができるか?」、「どのような方法でヒヤリ・ハット情報を共有化するか?」という課題が出てきます。まずは「ヒヤリ・ハット」情報を出し合える環境作りや、「ヒヤリ・ハット」に対するメンバーへの意識付けなど、リーダー、管理監督者の役割が重要となります。
 
 では、ヒューマンエラーを未然に防ぐためにはどのようにしたら良いでしょうか、そのためのヒントはいくつかあると思います。例えば、その一つが「ハインリッヒの法則」です。「ハインリッヒの法則」とは「1:29:300の法則」とも呼ばれ、「1件の重大事故・災害の背後には、29件の軽微な事故・災害があり、更にその背後には300件ものヒヤリ・ハットが存在する。」というものです。即ち、「軽微な事故・災害以上」の事故や災害を防ぐためには、「ヒヤリ・ハットの段階でそういったヒューマンエラーの要素を潰していく。」ということがポイントとなります。そのために、如何にして「ヒヤリハットの段階で潰す活動」を行うか、ということが重要となってきます。
 

3. ヒューマンエラーと区別して考えること

 人起因による事故や不具合などの事象が発生し、原因を追究する上で、区別して考えなければならないことがあります。それは、その事象が「故意」によって引き起こされたものかどうかです。「故意」と「ヒューマンエラー」は別物です。原因を追及する上で、それが「故意」によって発生したものなのかどうかを明確に区別する必要があります。なぜなら、「故意」によって引き起こされた事象の場合は、「ヒューマンエラー」とは違った対策が必要となるからです。もし、その区別を曖昧にして、ヒューマンエラーと混同した対策が策定、実施されたとしても、根本的な対策となっていないため、同様の事象が再発する可能性があります。「根本原因の追究」は、そういった意味においても非常に重要です。
  

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この記事の著者

伊藤 良太

ISO、IATFなどマネジメントシステムの構築・改善及びヒューマンエラー防止・対策のコンサルタント

ISO、IATFなどマネジメントシステムの構築・改善及びヒューマンエラー防止・対策のコンサルタント


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