プロジェクト管理:プロジェクトを可視化する重要性(その3)

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3.マネジメントできる姿に変更

 
 ここまでで、見える化により現状が把握でき、どのようなマネジメントが必要なのかが見えてきました。最後の一歩は、マネジメントに結びつける仕組みです。同時並行に進行している開発作業の実態を見える化し、さらに、技術要素軸での技術者の過不足という視点を与えることで問題への対応方法を議論できるようにします。これでマネジメントに活かせる指標、メトリクスとなるわけです。メトリクスにするための基本は、実態を把握でき、マネジメントできるようにするための見える化です。
 

4.モデル化できれば精度が高まる

 
 次にメトリクスの評価基準的な側面を紹介します。プロジェクトに共通するパターンを抽出し、見積もり基準を与えるメトリクスです。このプロジェクトの共通パターンを「基準モデル」と呼びます。基準モデルを作ることはプロジェクトをモデル化することです。
 
      プロジェクトマネジメント
    図4.プロジェクトの開発工程別工数の比率
 
 図4は通信関連機器メーカーにおける、いくつかの開発プロジェクトの開発工程別工数比率です。このメーカーでは国内向け汎用機、海外向け汎用機、国内向け特注機の大きく分けて三つのカテゴリーの製品を開発しています。
 
 図4を見ると、カテゴリーごとに開発工程別工数比率に共通の傾向があることが分かります。例えば、国内向け汎用機カテゴリーのプロジェクトは、設計が全体の30%程度の工数、評価が全体の35%程度、プロジェクト管理関連が15%程度という共通の特徴を持っています。個々のプロジェクト関係者は、開発メンバーの特殊性や仕様・技術の独自性を強調するにもかかわらずです。
 
 海外向け汎用機カテゴリーのプロジェクトにも共通の傾向が見て取れます。特徴的なのは、プロジェクト管理関連が全体の40%程度と、他のカテゴリーと比較すると多いことです。そして,国内向け特注機カテゴリーの場合は、設計が全体の60%程度と、非常に多くの時間を占めるのが共通の特徴です。同じカテゴリーに属しているプロジェクトは工数の使い方に共通の傾向を持っていることが分かるでしょう。
 
 ミクロ的には、個々のプロジェクトはメンバーの経験年数やスキル、技術開発の難易度など、固有の事情を抱えているのだが、マクロ的に見た場合は共通のパターンが存在するのです。マクロ的に見...
 

3.マネジメントできる姿に変更

 
 ここまでで、見える化により現状が把握でき、どのようなマネジメントが必要なのかが見えてきました。最後の一歩は、マネジメントに結びつける仕組みです。同時並行に進行している開発作業の実態を見える化し、さらに、技術要素軸での技術者の過不足という視点を与えることで問題への対応方法を議論できるようにします。これでマネジメントに活かせる指標、メトリクスとなるわけです。メトリクスにするための基本は、実態を把握でき、マネジメントできるようにするための見える化です。
 

4.モデル化できれば精度が高まる

 
 次にメトリクスの評価基準的な側面を紹介します。プロジェクトに共通するパターンを抽出し、見積もり基準を与えるメトリクスです。このプロジェクトの共通パターンを「基準モデル」と呼びます。基準モデルを作ることはプロジェクトをモデル化することです。
 
      プロジェクトマネジメント
    図4.プロジェクトの開発工程別工数の比率
 
 図4は通信関連機器メーカーにおける、いくつかの開発プロジェクトの開発工程別工数比率です。このメーカーでは国内向け汎用機、海外向け汎用機、国内向け特注機の大きく分けて三つのカテゴリーの製品を開発しています。
 
 図4を見ると、カテゴリーごとに開発工程別工数比率に共通の傾向があることが分かります。例えば、国内向け汎用機カテゴリーのプロジェクトは、設計が全体の30%程度の工数、評価が全体の35%程度、プロジェクト管理関連が15%程度という共通の特徴を持っています。個々のプロジェクト関係者は、開発メンバーの特殊性や仕様・技術の独自性を強調するにもかかわらずです。
 
 海外向け汎用機カテゴリーのプロジェクトにも共通の傾向が見て取れます。特徴的なのは、プロジェクト管理関連が全体の40%程度と、他のカテゴリーと比較すると多いことです。そして,国内向け特注機カテゴリーの場合は、設計が全体の60%程度と、非常に多くの時間を占めるのが共通の特徴です。同じカテゴリーに属しているプロジェクトは工数の使い方に共通の傾向を持っていることが分かるでしょう。
 
 ミクロ的には、個々のプロジェクトはメンバーの経験年数やスキル、技術開発の難易度など、固有の事情を抱えているのだが、マクロ的に見た場合は共通のパターンが存在するのです。マクロ的に見れば、メンバーのトータルのスキルや開発スタイルなどは大幅に変わることがないからです。
 
 従って、新しいプロジェクトもこのパターンを踏襲した開発作業となる可能性が高いでしょう。つまり、基準モデルを作ることができれば、かなり精度の高い見積もりができるのです。
 
 以上述べたように、データを加工して、見積もりに利用する共通パターンとした基準モデルも、メトリクスの一つです。
 
 

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この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

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