激動する米国の再エネ事情とテスラのバッテリー戦略最前線

カリフォルニア州、ハワイ州のエネルギー貯蔵施策と
定置型蓄電ビジネス

セミナー趣旨

 講演者は長年米国シリコンバレーに在住し、米国のエネルギー政策やビジネスの変遷をつぶさに見てきた。
1998年から本格化した電力自由化、2000年のカリフォルニア州電力危機とその後の反動、2010年頃からの再生可能エネルギー発電の急激な進展とそのマイナス面の顕在化、マイナス面を補うために2015年頃より始まったエネルギー貯蔵やエネルギーマネージメントシステムの進展、山火事をトリガーに始まった第二次カリフォルニア州電力危機・・・これらは、ダイナミックなスクラップアンドビルドというよりはカオスの様相である。それらの裏では、連邦政府と州政府の駆け引き、4年か8年に一度起こる政権交代による連邦レベルの政策のスイング、補助金の奪い合い、幾多のベンチャー企業の起業と破産が繰り返されている。
 米国にとって「エネルギー政策」は「国家安全保障上の問題」であり、また「雇用創出」でもある。また、政策とビジネスは表裏一体であり、化石燃料側と再生可能エネルギー側はお互い相手を非難しながらしのぎを削るという状況が続くが、日本の国家予算に相当するお金を動かすペンションファンド等の動きが、ESGの動きと連動してここ数年で大きく変わった。残念ながら日本メーカーはこれらのエネルギービジネスにおいて周回遅れの様相を呈しており、これらの施策の意義やビジネスインパクトはおろか、そもそも米国のエネルギー事情がどういう方向に進もうとしているかさえ把握できていない。
 このセミナーでは、上記の再生可能エネルギー増加に伴う問題の解決策としてここ数年大きな注目を集めている「定置型エネルギー貯蔵(バッテリー)」に焦点を当てる。特に、テスラ社の戦略や、ハワイ州とカリフォルニア州の施策を細かく見ていく。例えば、ハワイ州では、エネルギー貯蔵がその役割を増やしており、カウアイ島での「太陽光発電+4時間のバッテリー」の組み合わせで、電力会社との売電価格が$0.08/kWhとなるなど、石油火力発電よりも安くなっている。
 これらの実例を交えながら、
(1)エネルギー貯蔵システムのコストトレンドはどうなっているのか 
(2)カリフォルニア州やハワイ州が進めているエネルギー貯蔵はこれらの課題に答えられるのか 
(3)定置型蓄電ビジネスは利益が出るのか 
(4)定置型蓄電を用いたアンシラリーサービスマーケットは利益が見込めるのか 
(5)米国ではどのような蓄電関連のベンチャー企業が出て来ているのか 
(6)テスラのバッテリーに関する戦略と定置型エネルギー貯蔵装置の今後の動向は? 
(7)日本の会社はこの波に乗るためには何をすればいいのか、等を細かく解説する。
4時間という長いようで短い時間であるが、上記の内容について質疑応答を入れながら内容の濃いセミナーにしたい。

セミナープログラム

1.激変した米国のエネルギー貯蔵ビジネス
 (1)その背景は
 (2)プレイヤーが出揃いつつあるが、退場する会社も多い
 (3)2030年ごろに激しくなる過剰発電をどうやって抑え込むか
 (4)「お試しモード」だったエネルギー貯蔵装置導入が、いよいよ「定番ビジネス」となって根付く
 (5)災害の多発 (カリフォルニア州の山火事と計画停電、ハリケーン、ブリザード)
 (6)ライバルは、自家発電装置

2.電力会社向けの大型のエネルギー貯蔵施設
 (1)大型はカリフォルニア州が多いが、他の州でも追随
 (2)再エネ発電施設との併設と、それぞれで設置するケースに分かれるがその分岐点
 (3)Fluenceがアリゾナで起こした発火事故の影響
 (4)寡占状態が続くのか?
 (5)経済モデルは

3.ビジネス向けのエネルギー貯蔵施設
 (1)TESLAとSTEMで2/3を占め、残りの1/3を20社がひしめき合う状況は今後も続くのか?
 (2)デベロッパーとファイナンススキームと顧客のエコノミックス
 (3)マイクログリッド化は容易では無い
 (4)ハワイの商業むけマイクログリッドの例 
  -「Maui Brewing Company」 マウイ島
  -「Kahauiki Village」 オアフ島
 (5)マイクログリッドの経済性

4.家庭向けのバッテリー
 (1)カリフォルニア州では、LG Chemicalが首位を維持
 (2)テスラは、2番手に落ちる
 (3)計画停電の影響
 (4)プレイヤーの激しい入れ替わり

5.追い詰められるエネルギー貯蔵会社
 (1)EnSyncは経営破綻
 (2)STEMも方向転換
 (3)AMSは、大口のパートナーを見つけて、とりあえずは一息つく
 (4)20社のエネルギー貯蔵関連会社を俯瞰してわかること
 (5)ブームは終わったのか

6.デベロッパーにとって、ファイナンスモデルが鍵となる
 (1)去年から資金調達の流れが変わった
 (2)ペンションファンドの動向が鍵

7.ハワイでの再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵はユニークな進化を
 (1)Phase1で決定した7件の内訳
 (2)Phase2の特徴は何か?
 (3)カウアイ島で稼働を始めたAESのソーラー+バッテリー施設でのユニークなバッテリーの使われ方

8.テスラのエネルギービジネスの状況
 (1)テスラのエネルギービジネスの現場
 (2)メガファクトリーとモデル3の動向
 (3)SolarCityのルーフトップソーラービジネスはジリ貧が続くが、今後どうなっていくのか?
 (4)家庭向けのバッテリーのトップシェアはLG Chemに奪われたが、奪回は可能か?

9.テスラよ、どこに行く
 (1)Q2とQ3の決算報告から読めることは?
 (2)イーロンマスクは何を考えているのか?
 (3)ギガファクトリーがあと10箇所必要だが、誰がお金を出すのか?
 (4)カリフォルニア州がいつガソリン車の販売を禁止するか?
 (5)テスラにとって、エネルギービジネスとEVビジネスは車輪の両輪か、それとも…

10.バッテリーの革新技術(シリコンバレーのスタートアップ)
 (1)エネルギー関連へのVC出資のトップは?
 (2)まだまだ続く、エネルギー貯蔵関連のスタートアップ
 (3)素材系のスタートアップがユニコーンへ
 (4)全固体電池はどうなるのか
11.バッテリーの革新技術(シリコンバレーのスタートアップ)
12.質疑応答/名刺交換

セミナー講師

クリーンエネルギー研究所  代表  阪口 幸雄(さかぐち ゆきお) 氏  
略歴
シリコンバレー在住の著名コンサルタント。米国のクリーンエネルギーと、日本のビジネスへの影響にフォーカスしたコンサルタント会社の代表をつとめる。シリコンバレーを中心に、エネルギー問題の定点観測を長期間行い、今後の動向と日本企業の対応についてのきわめて明解なビジョンを持つ。専門分野は、エネルギー貯蔵、発送電分離、デマンドレスポンス、分散電源、太陽光発電、水素発電、電気自動車、等。
日本の大手エネルギー企業、日本政府機関、大学等のアドバイザーを多数務める。
シリコンバレーに20年以上在住。日立(日本と米国)にて17年間最先端の半導体の開発に携わったあと、そのビジネス経験や物性の知識を活用すべくエネルギー分野に。

セミナー受講料

1名につき 41,800円(税込)
同一のお申込フォームよりお申込の場合、2人目以降 38,500円(税込)


※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


13:00

受講料

41,800円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

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開催場所

東京都

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【港区】AP品川

【JR・京急】品川駅

主催者

キーワード

環境負荷抑制技術   電気・電子技術一般   電気化学

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