医薬品・医療機器分野の品質保証に必要な統計の基礎と応用<全4回>

統計の基礎から、分析法バリデーションへの応用、サンプリング試験(ロットの合否判定方法)への応用、プロセスバリデーションと年次照査(APR)への応用と全4回に分けて解説。ご自身の業務に合わせて選んで受講可能です!

日時

第1回  2月6日(月)13:00-16:30
統計の基礎(共通講座)
第2回  2月13日(月)13:00-16:30
分析法バリデーションへの応用
第3回  2月20日(月)13:00-16:30
サンプリング試験(ロットの合否判定方法)への応用
第4回  2月27日(月)13:00-16:30
プロセスバリデーションと年次照査(APR)への応用

セミナー趣旨

  医薬品や医療機器の品質は外観からでは判断できないため、我々には使用者(医療関係者や患者)に具体的な安心感を与える義務(説明責任)があります。ここで言う具体的な安心感とはエビデンスに基づいた科学的根拠のことです。そのためには統計の基礎はもとより、検定、推定、サンプリング理論、実験計画法と幅広い力量が必要です。これを隈なく学びたいと言う方も、一部分だけで十分と言う方もいると思います。そこで、本講座では共通基礎といくつかの応用講座として取捨選択できるようにしました。統計は具体的なデータを用いて絵や グラフを使いながら勉強していくと意外と分かりやすいものです。全ての講座に計算のデモや演習を組み込んでありますので、統計初心者の方も安心してご参加下さい。皆様が日常的に直面している問題解決に 少しでもお役に立てれば幸いです。なお、演習にはExcelのアドインツールである「分析ツール」を使いますので、事前にインストールしておいてください。

セミナープログラム

第1回 2月6日(月)13:00-16:30  統計の基礎(共通講座)

■はじめに
※本講座は統計に関する予備知識は不要です。
  科学技術とは言葉を変えればデータサイエンスです。観察や実験から得られたデータを解析して、根底にある普遍的な法則や因果関係を解明していく、このことの積み重ねが科学技術の進歩の歴史と言っても過言ではありません。ですので、どのような分野で仕事をするにしても、ここで学ぶ内容は将来の飛躍のための大きな武器になります。取り上げるトピックとしては基礎的・入門的な内容ばかりですが、かなり深掘りしていきます。受講者層としては統計の初心者を想定していますが、学習すればするほど出てくる素朴な疑問、そのような疑問にも答えるコースでもあります。難しいことは簡単に、簡単なことはより深く、の精神で講義を進めていきます。新入社員教育や中堅社員のブラッシュアップ教育にも最適です。

■講演項目
1 基礎の基礎を徹底理解する
 1.1 全体像を把握するには「ヒストグラム」が一番
 1.2 「標準偏差」とは、ばらつきの数値化のこと
 1.3 集団の中での相対的な場所は「規準化」で表現すべし
 1.4 規準化を誰にでもわかる表現に変換する方法(正規分布表)
2 信頼区間を深掘りする
 2.1 意外に深い「平均値」の本当の意味合い
 2.2 平均値のばらつきが「標準誤差」と呼ばれる理由
 2.3 推定に保険をかける(t分布表)
 2.4 95%信頼区間は「真の値を95%の確率で含む範囲」と言うけれど
 2.5 モンテカルロ・シミュレーションで検証する
3 相関と回帰を深掘りする
 3.1 対応のある2変数間の関連の強さ(相関係数)
 3.2 対応のある2変数の関連を数式で表現する(回帰分析)
 3.3 相関係数と回帰分析だけで十分か?(回帰診断)
4 二値データ(良品・不良品)の取り扱い
 4.1 分布は非対称
 4.2 不良率の標準偏差
 4.3 不良率の信頼区間
5 Q&A


第2回 2月13日(月)13:00-16:30  分析法バリデーションへの応用

■はじめに
※本講座は「統計の基礎(共通講座)」程度の予備知識を前提としています。
  極論に聞こえるかもしれませんが、分析法バリデーションのための特別な統計手法が存在しているわけではあありません。ですので、ここでは統計の一般論が分析法バリデーションにどのように応用されているかをについて解説していきます。受講に際して重要なのは、分析の現場でどのような誤差が発生しうるのかを理解していると言うことです。少なくともイメージできることは必要です。これがないと分析法バリデーションは理解できませんので、講義はここから始めます。もし統計の基礎に自信がなければ「統計の基礎(共通講座)」の受講をお勧めします。本コースでは、分析法バリデーションのための正しい実験を遂行できること、自分で計算ができること、その上で理論的な合理性を説明できることを目標にしています。
  なお、本コースは本質的には測定の誤差論に帰着しますので、試験室で測定の管理を行っている方にも役立つ内容になっています。

■講演項目
1 併行精度
 1.1 併行精度とは「ばらつき」のことである
 1.2 併行精度を求める実験の注意点
 1.3 併行精度を評価する方法
 1.4 標準偏差の信頼区間を記載せよと言うけれど、具体的な計算方法は?
 1.5 併行精度はついでに求めた方が良い(頑健性が高くなる)
2 真度
 2.1 真度とは「かたより」のことである
 2.2 真度を求める実験の注意点
 2.3 真度を評価する方法
 2.4 真度の信頼区間とは
 2.5 真度を複数の濃度で評価する (結果のまとめ方)
3 室内再現精度
 3.1 室内再現精度とは「ばらつき」のことである
 3.2 室内再現精度を求める実験の注意点
 3.3 室内再現精度を評価する典型的な方法(一元配置分散分析)
 3.4 分散分析表から併行精度を(信頼区間も!)求める
 3.5 分散分析表から室内再現精度を(信頼区間も!)求める
4 直線性
 4.1 相関係数では直線性はわからない
 4.2 直線性の評価は回帰分析(妥当性の評価と結果の解釈)
 4.3 直線性を求める実験の注意点
 4.4 頭打ちが見られた場合の対応
 4.5 変数変換について
 4.6 検出限界(3.3σ/Sの意味合い)
5 Q&A


第3回 2月20日(月)13:00-16:30  サンプリング試験(ロットの合否判定方法)への応用

■はじめに
※本講座は「統計の基礎(共通講座)」程度の予備知識を前提としています。
  ロットからサンプルを採取し合否判定をすることは多くの会社で日常的に行われています。しかし、試験サンプルが規格に入っていたら、サンプリングしなかったその他大勢(即ち、出荷するロット全体)も規格に入っていると言えるのでしょうか?試験結果が規格ギリギリだったらちょっと(と言うか大いに)不安ですよね。その不安を見える化し解消できるツールが「抜取検査」です。一見難解そうな「抜取検査」ですが、JISでは完全にマニュアル化されているので簡単に設計・運用ができるようになっています。しかし、これをブラックボックスにしてしまうと誤用があっても気がつきません。実際、AQLを用いた検査を出荷試験に用いる誤用がしばしば見受けられます。これは大問題です。ですので、本コースでは絵解きによる説明とExcelを使ってのシミュレーションで、本質を直感的に理解できるように工夫しています。また、サンプリング試験の本丸であるJIS Z9002/9003について自分でもOC曲線が描けるよう徹底解説します。

■講演項目
1 問題提起と現状認識
 1.1 「規格」とは何に対する判断基準なのか
 1.2 「サンプルの試験結果が規格に入ったら合格」は極めてリスキー
 1.3 合否判定の再現性
2 サンプリング試験概要
 2.1 サンプリング試験の本質(母集団の評価が目的)
 2.2 完全な保証は無理(リスクを受容する:生産者危険と消費者危険)
 2.3 検査性能の見える化「検査特性曲線(OC曲線)の作り方」
3 サンプリング試験各論
 3.1 JIS Z9015-1 AQL指標型抜取検査は出荷試験に使えない
 3.2 AQLは不良率の保証レベルではない
 3.3 AQL「切り替えルール」の素晴らしい性能(シミュレーションで検証)
 3.4 JIS Z-9015-2 LQ指標型抜取検査の使い方
 3.5 サンプルの不良率からロットの不良率を判定する(JIS Z9002)
 3.6 サンプルの平均値からロットの平均値を判定する(JIS Z9003)
 3.7 サンプルの平均値からロットの不良率を判定する(JIS Z9003)
4  特論
 4.1 溶出試験の合否判定への応用
 4.2 サンプリング検査に関する品質保証哲学
5  Q&A


第4回 2月27日(月)13:00-16:30  プロセスバリデーションと年次照査(APR)への応用

■はじめに
※本講座は「統計の基礎(共通講座)」程度の予備知識を前提としています。
  GMP/GQPを効果的に進めるには製造工程の理解が不可欠です。実際PIC/Sガイドラインでも、プロセスバリデーションの目的は工程の理解にあると明言しています。これはメカニズムの定性的な理解に止まらず、因果関係を定量的に理解することを意味しています。しかしPVはたった3ロット、運転免許で言えば仮免に過ぎません。工程の本当の姿(実力)は定常生産品で評価すべきです。これがAnnual Product Reviewの大きな目的です。
  ところが多くのレポートは単にデータを羅列したものか、せいぜい折れ線グラフ止まりです。観察されたデータが規格に入っていれば「問題なし」で終了。本コースでは、実際にデータを用いて統計的方法の具体的な適用方法、考察のポイントなどを解説していきます。

■講演項目
1 潜在的な規格外れを考察する
 1.1 工程能力指数とは
 1.2 分析精度が悪いと規格外れのリスクが増える!
 1.3 規格の妥当性は工程能力指数で評価
2 トレンド評価の基本
 2.1 トレンドを視覚的に把握する最強ツール(管理図)
 2.2 計量データはXbar-R管理図で(管理限界線の計算方法)
 2.3 管理図を上手く使うポイントは群分けにあり
 2.4 平均値の管理外れが多発した場合の対処(Xba-Rs-R管理図)
3 製品品質のばらつきの構造を理解する
 3.1 ばらつきは階層構造
 3.2 枝分かれ分散分析の考え方
 3.3 枝分かれ分散分析の結果の解釈
4 プロセスバリデーションへの応用
 4.1 PIC/Sガイドラインが求めていること
 4.2 プロセスバリデーション結果のまとめ
5 トレンド評価各論
 5.1 定量
 5.2 類縁物質(n=1の場合)
 5.3 製剤均一性試験
 5.4 溶出試験
 5.5 逸脱、製品情報(パレート図と層別)
6 特論
 6.1 製剤均一性試験におけるLarge N
 6.2 溶出試験の工程能力指数
7 Q&A

セミナー講師

 福田 晃久 先生スタット・イメージング・ラボ 代表

○ご経歴
1979年 上智大学理工学部 化学科卒(工業物理化学研究室)
1979年 日本グラクソ株式会社(現GSK)入社、今市工場品質管理部配属
1987年 日本科学技術連盟 品質管理ベーシックコースを主席で修了
1988年 日本規格協会 実験計画法セミナー(品質工学)を次席で修了
1991年 日本グラクソ株式会社(現GSK)開発本部 メディカルデータサイエンス部 課長
2001年 グラクソスミスクライン株式会社 製剤研究センター 課長
2003年 ノボ ノルディスクファーマ株式会社 郡山工場 品質管理部/品質保証部 部長
2013年 共和薬品工業株式会社 信頼性保証室 品質保証部/三田品質保証部/品質保証推進部 部長
2019年 スタット・イメージング・ラボ 代表
○過去関連テーマでのご講演など
品質強化のためのGQP・GMPセミナー(2008年 日科技連)
溶出試験判定法2の統計的考察(May 2019, PharmTech Japan)
溶出試験判定法1の統計的考察(June 2019, PharmTech Japan)

セミナー受講料

*日程変更等ございました場合は、ご容赦下さい。

*全4回申込の方へ(不測の事態により、全回開催できない場合、以下規定に基づき、返金致します。)
 全4回中、2回未満の実施の場合: 75%返金
 全4回中、3回未満の実施の場合: 50%返金
 全4回中、4回未満の実施の場合: 25%返金

参加形態 区分 見逃し配信なし価格(税込)
(1社2名以上同時申込価格)
見逃し配信あり価格(税込)
(1社2名以上同時申込価格)
1講座のみの参加 1回、2回、3回、
4回・・・
41,800円(30,800円) 47,300円(36,300円)
2講座の参加 1・2回、1・3回、1・4回、
2・3回、2・4回、3・4回・・・
61,600円(50,600円) 70,400円(59,400円)
3講座の参加 1・2・3回、2・3・4回、
1・3・4回、・・・
75,900円(64,900円) 86,900円(75,900円)
全講座(4講座)の参加 1・2・3・4回
   
88,000円(77,000円) 101,200円(90,200円)

※参加形態(第○・○回参加)を申込備考欄に記載下さい。
※各回、別の方が受講いただくことも可能です。
※1社2名以上同時申込は、同時申込、同形態(講座数、参加日)でのお申込にのみ有効です

学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。

受講について

※本講座は、お手許のPCやタブレット等で受講できるオンラインセミナーです。

配布資料・講師への質問等について

  • 配布資料は、印刷物を郵送で送付致します。
    お申込の際はお受け取り可能な住所をご記入ください。
    お申込みは4営業日前までを推奨します。
    それ以降でもお申込みはお受けしておりますが(開催1営業日前の12:00まで)、
    テキスト到着がセミナー後になる可能性がございます。
  • 当日、可能な範囲で質疑応答も対応致します。
    (全ての質問にお答えできない可能性もございますので、予めご容赦ください。)
  • 本講座で使用する資料や配信動画は著作物であり、
    無断での録音・録画・複写・転載・配布・上映・販売等を禁止致します。

下記ご確認の上、お申込み下さい

  • PCもしくはタブレット・スマートフォンとネットワーク環境をご準備下さい。
  • ご受講にあたり、環境の確認をお願いしております(20Mbbs以上の回線をご用意下さい)。
    各ご利用ツール別の動作確認の上、お申し込み下さい。
  • 開催が近くなりましたら、当日の流れ及び視聴用のURL等をメールにてご連絡致します。

Zoomを使用したオンラインセミナーとなります

  • ご受講にあたり、環境の確認をお願いしております。
    お手数ですが下記公式サイトからZoomが問題なく使えるかどうか、ご確認下さい。
    確認はこちら
    ※Skype/Teams/LINEなど別のミーティングアプリが起動していると、Zoomでカメラ・マイクが使えない事があります。お手数ですがこれらのツールはいったん閉じてお試し下さい。
  • Zoomアプリのインストール、Zoomへのサインアップをせずブラウザからの参加も可能です。
    ※一部のブラウザは音声(音声参加ができない)が聞こえない場合があります。
     必ずテストサイトからチェック下さい。
     対応ブラウザーについて(公式) ;
     「コンピューターのオーディオに参加」に対応してないものは音声が聞こえません。

申込み時に(見逃し視聴有り)を選択された方は、見逃し視聴が可能です

  • 開催5営業日以内に録画動画の配信を行います(一部、編集加工します)。
  • 視聴可能期間は配信開始から1週間です。
    セミナーを復習したい方、当日の受講が難しい方、期間内であれば動画を何度も視聴できます。
    尚、閲覧用のURLはメールにてご連絡致します。
    ※万一、見逃し視聴の提供ができなくなった場合、
    (見逃し視聴有り)の方の受講料は(見逃し視聴無し)の受講料に準じますので、ご了承下さい。
    こちらから問題なく視聴できるかご確認下さい(テスト視聴動画へ)パスワード「123456」

申込締日:2023/02/26

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


13:00

受講料

88,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

医薬品技術   医療機器・医療材料技術   SQC一般

申込締日:2023/02/26

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


13:00

受講料

88,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

医薬品技術   医療機器・医療材料技術   SQC一般

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