次世代高分子材料設計技術者への伝言(伝えたいこと)


~ カローザスが果たせなかった夢を追い求めて ~


★ 材料設計難易度の高い脂肪族ポリエステルからその真髄を学ぼう!
★ ポリエステルの歴史と次世代の材料設計の旅へご案内します



講師


望月 政嗣 氏 (工学博士、高分子学会フェロー)

【専門】高分子材料科学、
特にバイオプラスチックや生分解性高分子、高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性

 1968年京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て1969年ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て2003年理事、テラマック事業開発部長。この間、山形大学と京都工芸繊維大学客員教授兼務、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務、2007年ユニチカ㈱退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。現在、複数社の非常勤顧問。この間、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。


受講料


48,600円 ( S&T会員受講料 46,170円 )
(まだS&T会員未登録の方は、申込みフォームの通信欄に「会員登録情報希望」と記入してください。詳しい情報を送付します。ご登録いただくと、今回から会員受講料が適用可能です。)


【キャンペーン!2名同時申込みで1名分無料(1名あたり定価半額 の24,300円)】
※2名様ともS&T会員登録をしていただいた場合に限ります。
※同一法人内(グループ会社でも可)による2名同時申込みのみ適用いたします。
※3名様以上のお申込みの場合、上記1名あたりの金額で追加受講できます。
※受講券、請求書は、代表者にご郵送いたします。
※請求書および領収書は1名様ごとに発行可能です。
 (申込みフォームの通信欄に「請求書1名ごと発行」と記入ください。)
※他の割引は併用できません。


得られる知識


◇ 結晶性高分子の一次構造と基本特性や成形加工性との関係
◇ 結晶化に関する理論と実際、さらには結晶化速度向上技術について
◇ 目的・用途別ベストの一次構造の選択に関する分子論的基礎
◇ ポリ乳酸の高性能・高機能化に係る改良添加剤の分子・配合設計技術
◇ 各種脂肪族ポリエステルのブレンドによる高性能・高機能化技術


趣旨


 今からおよそ80年前の高分子化学黎明期の1931年に初めての合成繊維素材としてのナイロン66を発明し、高分子化学の歴史に不滅の金字塔を打ち立てたDuPontのカローザス(W. H. Carothers, 1896-1937)が最初に精力的に取り組んだポリマーはナイロン66のようなポリアミドではなく脂肪族ポリエステルであったことは意外と知られていない。しからば、脂肪族ポリエステルはこのように古くから知られた古典的なポリマーであるにもかかわらず、今日までほとんど実用化されることがなかったのは何故だろうか?その理由は、脂肪族ポリエステルは一般的に熱的・機械的性質のみならず成形加工性にも劣り、それらを実用化するためには極めて高度な高分子材料設計(分子設計/配合設計)技術が求められたためである。
 これまでアカデミアの世界では特定の要素のみを取り上げ、それが高レベルであることが強調される研究報告が目白押しである。しかしながら、技術の世界では要素間の相互作用から免れることはできず、各要素は独立に振る舞うことはできない。例えば、仮に耐熱性を高めることができても、逆に耐衝撃性が低下するようでは有用な技術とは言えない。今やミクロな要素分析的アプローチである「科学」からの脱却と、構成要素間の相互作用から生まれるマクロな世界のダイナミズムである「技術」を重視する視点への転換が求められている。
 本セミナーは “カローザスの果たせなかった夢” 脂肪族ポリエステルの理想の化学構造とその実用化技術を追い求めて産学両分野で1980年代の後半より今日までの約30年間、ポリ乳酸を中心とする脂肪族ポリエステルの基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆けて成し遂げた講師による高分子材料設計(分子設計/配合設計)技術の最前線を旅する物語である。貴方も学術的ロマンと異国情緒の漂う次世代高分子材料設計の旅に出掛けませんか。


プログラム


1.脂肪族ポリエステルの一次構造と性能・機能の発現
  ― それぞれの使用目的・用途に適合した理想の化学構造(一次構造)とは?

 1.1 はじめに…カローザスが果たせなかった夢を追い求めて
 1.2 脂肪族ポリエステルの一次構造による分類
  1) ポリ(α-オキシ酸)…PGA, PLA
  2) ポリ(β-オキシ酸)…PHA(PHB, PHBV, PHBH)
  3) ジオール/ジカルボン酸の重縮合体…PES, PBS, PBAT
 1.3 脂肪族ポリエステルの一次構造と熱的・機械的特性
 1.4 脂肪族ポリエステルの一次構造と成形加工性(後述 2.)
 1.5 脂肪族ポリエステルの一次構造と生分解性/生分解機構

2.熱可塑性プラスチック(特に結晶性高分子)の成形加工性
 ― 熱的・機械的特性がいかに優れていても成形加工性が不良では使い物にならない!
 2.1 成形加工性の物理的意味…溶融体の賦形工程での室温下への冷却・固化過程におけるガラス化又は結晶化
 2.2 成形加工性支配因子
  1) 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力⇔分子量依存性
    ① 高粘度…押出成形(フィルム、シート)、発泡成形、ダイレクト・ブロー成形
    ② 中粘度…繊維、射出成形
    ③ 低粘度…スパンボンド、メルトブローン、薄肉射出成形
  2) 冷却固化過程…Tg又は結晶化速度⇔冷却速度、変形速度依存性
    ① 室温<Tgの場合 ⇒ Tg…室温下への冷却だけでガラス化
    ② Tg<室温の場合 ⇒ 結晶化速度…室温下への冷却過程で結晶化が必須
 2.3 成形加工性改良剤
  1) 溶融粘度、溶融張力調整剤
    ① 増粘剤…エポキシ基含有反応性改質剤、架橋剤(有機過酸化物)
    ② 流動性改良剤、粘度低減剤…ポリグリセリン脂肪酸エステル 
  2) 結晶化促進剤…造核剤、可塑剤又は結晶化速度向上剤、マルチ機能改質剤

3.結晶性高分子の結晶化挙動
  ― 成形品の潜在的な耐熱性や力学的特性、寸法安定性を最大限に引き出すために!
 3.1 成形加工工程における結晶化の分類
  1) Melt Crystallization(メルトから室温下への降温冷却過程における結晶化)
    …押出成形、射出成形、ダイレクト・ブロー成形
  2) Cold Crystallization(室温からの加熱昇温過程における結晶化)
    …真空・圧空成形、発泡成形、インジェクション・ブロー成形
 3.2 等温結晶化
  1) 結晶化速度式G=G0exp(-ED/RT-KTm/RT(Tm-T) の物理的意味
    ①第一項:セグメントの拡散過程…温度と正の相関
    ②第二項:核形成過程…温度と負の相関
  2) 最も結晶化速度の速い結晶化温度Tc(Tg < Tc <Tm)の検出法
  3) 結晶化速度パラメータ…ts, t1/2, te, kの算出法
 3.3 非等温結晶化…冷却速度が結晶化温度や結晶化度に及ぼす影響(前述 2.2 2))
 3.4 結晶化速度に影響を及ぼす因子…ポリ乳酸(PLA)を具体例として
  1) 一次構造…PLAのD体共重合比(%D)が結晶化速度に及ぼす影響
  2) 分子量
  3) 造核剤や結晶化促進剤(架橋剤、可塑剤、マルチ機能改質剤)
 3.5 成形加工後の室温(又は加熱)下での二次結晶化…経時変化(形状、物性)

4.脂肪族ポリエステルの耐熱性、耐衝撃性、耐久性、その他改良技術
  ― 素材固有の欠点を改良するために避けられない添加剤による改良技術
 4.1 耐熱性…荷重たわみ温度(DTUL)又は熱変形温度(HDT)
  1) 非晶性高分子…耐熱性≒Tg
  2) 結晶性高分子…Tg<耐熱性<Tm
    → 結晶性高分子の耐熱性を支配するのは成形加工工程での結晶化速度
  3) 結晶化促進剤…造核剤、可塑剤又は結晶化速度向上剤、マルチ機能改質剤
  4) 透明耐熱性(透明結晶化)…通常の分散型造核剤ではなく溶解型造核剤
 4.2 耐衝撃性…添加改良剤のタイプと作用機序
  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
   タイプ   具体例                            相溶性    TgやTmへの影響
  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    A     可塑剤                                                  良好                   低下
    B         ブロック共重合体、高分子系界面活性剤     不良                   なし​
  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 4.4 難燃性…リン系、ハロゲン系、無機系難燃剤剤
 4.5 他素材とのブレンド又はアロイ化による改質…柔軟化又は剛性化、その他

5.マルチ機能改質剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)
  - 耐熱性と耐衝撃性の同時改良が可能なPGFEに秘められた潜在的可能性とは?
 5.1 基本特性…疎水性高分子系界面活性剤(生分解性の植物由来食品系乳化剤)
 5.2 一次構造の分子設計…重合度、脂肪酸炭素数、エステル化度
 5.3 ポリ乳酸(PLA)に対するマルチ機能改質剤…PLAのTg, Tmは不変
  1) 分散安定剤→固体フィラー分散性向上効果
  2) 流動性改良剤→溶融粘度、混錬・押出しトルク低減効果
  3) 可塑剤・耐衝撃性改良剤→可塑化・耐衝撃性向上効果
  4) 結晶化促進剤→耐熱性(透明耐熱性を含む)と成形加工性改良効果
 5.4 PLA成形品への応用事例(添加量:0.5~1.5 %)
  1) 射出成形…耐熱性と耐衝撃性、成形加工性の同時改良
  2) 真空・圧空成形…耐熱性と耐衝撃性の同時改良、透明耐熱化の可能性

6.ケース・スタディ
  ― 具体的な脂肪族ポリエステル素材・技術の分子論的基礎を究明・考察する!
 6.1 最も歴史の古い生分解性プラスチックであるPHA系が、
   40年後の今日でも未だ本格的に実用化されない核心的理由とは?
 6.2 融点の高いポリマーほど耐熱性が高い?
 6.3 なぜPLAがベストの選択なのか?
 6.4 少量の添加剤で、PLAとしての基本特性を失うことなくPLA固有の欠点である
   耐熱性、耐衝撃性、成形加工性、寸法安定性を同時に改良するためには?
 6.5 PLAに大量の可塑剤と結晶核剤を添加して耐熱性や耐衝撃性を高めても、
   コスト高は言うに及ばず強度、弾性率やTgの大幅低下を招き、それはもはやPLAではない!
 6.6 ステレオコンプレックス型PLAが本格的に実用化されない理由とは?
 6.7 PLAにPBSをブレンドするとPLAの耐熱性が向上する?

 □質疑応答・名刺交換□


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キーワード

高分子・樹脂技術

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