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セミナープログラム
■第1部 10:30-14:15(途中・昼食休憩:12:00-12:45)
鹿児島大学 門脇 秀策 先生
アワビ陸上養殖システムの基本と事例紹介
■講師より
本セミナーでは、アワビ陸上養殖の現状と展望を解説し、陸上養殖システムの特長を中心に、養殖管理技術の基本となるアワビの生理と水質環境、海藻餌飼料を詳説し、事業化のポイントについて導入事例を交えながら紹介します。現在、注目されている初期施設投資が不要な「廃校を利用した半流水式アワビ陸上養殖」、「地下海水とナノ技術によるアワビの陸上速成養殖」、海外での「海洋深層水を利用した海藻とアワビの陸上複合養殖」の具体例を交えながら、「養殖アワビの付加価値を高める6次産業化に向けた商品開発」も紹介します。
■プログラム
1 アワビ陸上養殖の現状と展望
1-1 アワビ類の漁獲量と養殖生産量の現状
1-2 アワビの輸入量と金額
1-3 アワビ陸上養殖の技術的課題と事業化への具体的方策
2 養魚と海藻とアワビとナマコの海面複合エコ養殖
2-1 これからの環境政策
2-2 養殖の方向性
2-3 持続的養殖生産と環境負荷低減への取り組み
3 アワビの半閉鎖式陸上養殖
3-1 「半閉鎖式」とは何か
3-2 陸上養殖システム開発のコンセプト
3-3 陸上養殖システムの特長
3-4 循環式陸上コンテナによるアワビ養殖法と経済性
4 アワビの生理
4-1 水温と殻長成長速度
4-2 呼吸速度(酸素消費量)とアンモニア排泄速度
4-3 好適な水温、溶存酸素濃度、アンモニア濃度、塩分、pH
4-4 陸上養殖アワビの成長曲線、殻長と殻付重量との関係式
5 アワビ陸上養殖システム
5-1 船用冷凍コンテナ, 飼育水槽、空調機、泡沫分離装置
5-2 陸上養殖システムの経済(収支)試算内訳
5-3 半閉鎖循環式陸上コンテナ養殖と垂下式海面カゴ生簀養殖の比較
5-4 陸上養殖システムの今後の課題、コストダウンの指針
5-5 アワビと海藻とナマコの陸上複合エコ養殖システムの実用化研究
6 アワビの海藻餌料とABKELP飼料
6-1 海藻類の餌料価値
6-2 アワビ養殖用餌飼料の産地・単価・栄養成分の比較
7 アワビ陸上養殖の事例紹介 ~現状と今後の可能性~
7-1 廃校を活用した少量流水タンク式養殖 (日本白神水産(株))
7-2 廃校を活用した少量流水バケツ式養殖 (鹿児島水産センター(株))
7-3 地下海水とナノバブル技術による少量流水式養殖 (丸福水産(株)ナノクス)
7-4 甑島深層水と泡沫分離・水温制御・複合養殖による半閉鎖循環式養殖 (中野建設(株))
7-5 ハワイ海洋深層水による紅藻と流水式養殖 (Big Island Abarone Cooporation, USA)
8 養殖アワビの6次産業化の取組み
~付加価値、ふるさと納税食品・雇用拡大に向けて~
8-1 アワビの「煮物」、「燻製」、「干し」
8-2 アワビの「貝殻細工」
8-3 アワビの真珠 利用 ~「半円真珠」~
<質疑応答・名刺交換・個別相談>
■第2部 14:30-17:00 (株)プレスカ 佐藤 順幸 先生
陸上養殖における水処理技術としての泡沫分離および好気脱窒と
アワビ陸上養殖の事業化ポイント
~装置のデモンストレーションつき~
■講師より
「閉鎖循環式陸上養殖」は次世代の養殖技術として注目の高い技術であり、異業種からの参入・検討が増えてきています。アワビは魚類と比べて水質に敏感であり、また生産期間も長いため、採算性において大きな問題を抱えています。しかし、アワビは人気、魅力の点で養殖対象種としてはトップクラスであり、閉鎖循環養殖に適した魚介類の一つであることは間違いありません。本セミナーでは、アワビ養殖の問題を解決するための水処理技術(泡沫分離、好気脱窒)について、導入事例と一部デモンストレーションを交えながら解説し、異業種参入型養殖の事例、収支(コスト)試算例をもとに、アワビ養殖の魅力、現状の課題、事業化を実現するためのポイントを説明します。
■プログラム
1 陸上養殖について
1.1 陸上養殖の概要
1.2 閉鎖循環養殖の魅力と課題
・なぜ閉鎖循環式養殖が注目されるのか
・アワビ養殖で閉鎖循環式にするメリット
・閉鎖循環式養殖の課題
1.3 掛け流し式大規模アワビ養殖:異業種の養殖参入事例
・なぜアワビ養殖事業に参入したのか
・アワビ養殖事業のコンセプト
・顧客のニーズと販売実績
・事業はなぜ継続しなかったのか
1.4 コンテナを使ったアワビ養殖
1.5 循環式クロアワビ養殖プロジェクト(愛知県蒲郡市)
・産官学連携~高校生参加による効果~
・クロアワビ養殖は難しい
・失敗から学んだこと
2 現在注目されている技術のアワビ養殖への導入の可能性
2.1 低塩分飼育
・金魚とトラフグは同居できるか
・何が魅力なのか
・アワビは低塩分海水で飼育できるか
2.2 ファインバブル
・各種ファインバブ発生器
~回転翼剪断型マイクロバブル発生器の実演~
・導入における注意事項~細かいだけが評価基準か?~
・アワビ養殖にメリットはあるか ~ウナギ養殖との比較~
3 閉鎖循環式養殖における水処理システムの重要性
3.1 アワビ養殖で求められる水質と浄化装置
3.2 餌が水質に与える影響
・アワビの餌
・配合飼料と天然飼料による水質変化
・配合飼料のメリットとデメリット
3.3 ベストな水処理システムを構築するには
・経験ではなく設計の重要性
・機器の性能把握
・負荷(酸素消費量、アンモニア排泄量など)の把握
・システムの構築
3.4 水処理システムで泡沫分離装置が注目される理由
~デモを交えながら、20年の経験で得られた知見を紹介~
・水質浄化メカニズムと機能
・性能は気泡供給機で決まる~回転翼剪断式とベンチュリー式を例に~
・導入事例から見える泡沫分離装置の必要性~微粒子除去の重要性~
3.5 ベース技術である生物ろ過槽(硝化)
・硝化の基礎知識
・処理方式とろ材
・設計で重要なこと
・ろ材熟成の重要性と注意点
3.6 アワビ養殖では絶対に必要な脱窒装置
・魚介類にとって硝酸は毒
・硝酸が魚介類に与える影響
・従来型嫌気脱窒のデメリット
・酸素リッチでも硝酸除去が可能な新しい脱窒技術(好気脱窒)
3.7 飼育水槽にも工夫が必要
・何故、アワビ水槽は浅いのか
・籠飼育
4 アワビ陸上養殖を実施していくためのステップ
4.1 初期設備と導入コスト~本設備前の試験設備~
4.2 稚貝の購入・入手方法
・稚貝購入で重要なこと
・民間種苗生産会社
4.3 飼育、管理方法の習得
4.4 販路の確保・出口戦略の構築
~価値を高めるアイデア、どこにどのように売るかなど~
5 アワビ養殖における種苗の重要性
5.1 アワビの成長は種苗の質に左右される
5.2 アワビ種苗の輸送方法
・現状の輸送方法
・アワビ養殖における種苗輸送の重要性
・高性能活魚輸送車による輸送の必要性
5.3 自社生産と種苗会社から購入のメリットとデメリット
6 閉鎖循環式アワビ養殖の採算性
6.1 閉鎖循環式養殖は儲かるか
・コスト試算
・イニシャルコスト、生産原価から見える問題点
6.2 採算のとれる養殖にするためには
・採算性を改善するための有効なポイント
・断熱パネルとエアコンによる水温調節
・廃校舎等の遊休建屋の活用
7 アワビ以外の取り組み
・高級食材ドウマンガニ、ソフトシェルクラブ養殖(静岡県浜松市)
・閉鎖循環式アユ養殖
<質疑応答・名刺交換・個別相談>
セミナー講師
鹿児島大学 名誉教授 水産学博士 門脇 秀策 先生
鹿児島大学大学院修了。水産学博士。1999年教授。2016年4月より鹿児島大学名誉教授。2018年3月より鹿児島大学水産学部特任教員。専門は水産増養殖学、養殖環境保全学。
持続生産可能な環境保全型養殖をめざして、アワビと海藻とナマコの海面および陸上の複合養殖について研究中。 これまでに、日本水産増殖学会評議員、日本水産資源保護協会の環境保全型養殖普及対策検討委員、水産庁の海面養殖業ゼロエミッション推進対策調査事業複合養殖実証試験総合検討会委員、農林水産省技術会議の地球温暖化に伴う水産対策・水産適応の検討会委員、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業評価委員を歴任。
現在、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」評価委員、任意団体海の森づくり推進協会理事、鹿児島県環境影響評価専門委員、鹿児島県魚類養殖協議会委員として活躍中。
(株)プレスカ 専務取締役 佐藤 順幸 先生
東京水産大学(現東京海洋大学)修士課程終了後、水処理メーカーで水質・設備管理、浄化装置(炭酸ガス中和装置、油水分離装置等)及び養殖機器(泡沫分離装置、液体サイクロン等)の研究・開発に従事。2008年に(株)プレスカ設立に参加し、魚介類蓄養・養殖設備に用いられる浄化機器(特に泡沫分離装置)、閉鎖循環式アワビ養殖システム、排水中和システムの設計、技術指導を行っている。
セミナー受講料
1名46,200円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき35,200円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。
※新型コロナウイルスの感染防止の一環として昼食の配布は中止させて頂きます。