スケールアップ・ダウン検討と失敗例/解決(対処)法と実験計画法による効率的なデータ収集

スケールアップを前提とした実験計画の考え方
実際に経験した事例(失敗例)を参考に…
各開発段階での注意点、スケールアップ製造時に遭遇した
問題点の対処、解決法を解説します!


【ここがポイント】
◎スケールアップの考え方、ポイント、着目点と実験計画法
◎医薬品原薬の開発段階に応じた変更管理の考え方
◎スケールアップ前後の同等性の考え方
◎スケールアップ・ダウン実験の考え方、進め方
 
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セミナー趣旨

 実験計画法は「実験の計画」と実験により得られたデータの「解析方法」の二つから構成される。実験の計画とは「目的に応じてどのような実験を行えばよいか?」あるいは「どうすればデータを効率的に集めることができるか?」と言える。原薬、中間体、化学品のスケールアップ製造は開発過程で絶対に避けられない部分であり、開発初期では合成プロセス、出発原料の変更のような大幅な変更も可能であるが、開発が進むにつれ変更は困難となり、逆に設定したパラメータの不足、不都合部分が明らかになってくる。
 本セミナーでは実際に経験した事例(失敗例)を参考に各開発段階で行う実験の注意点、実際のスケールアップ製造で遭遇した問題点をどのように対処、解決したかを説明し、更にそこから得られた知見をもとに効率的な実験計画の立て方、必要なデータの集め方を説明する。

セミナープログラム

1.医薬品(原薬)の開発とスケールアップ(基本的な考え方)
2.スケールとスケールアップの相違点
  ・小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法
3.合成法、合成ルートの設定、考え方、注意点(ICH M7、化審法、その他)
4.スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方と原料、中間体の評価項目(安全性、安定性、結晶多形、溶媒和他)とその対応策
5.実験計画法による効率的なデータ収集
 (1)スケールアップを前提とした実験計画の考え方
 (2)スケールアップ前提の実験計画の考え方、データの取得法、活用法(事例を参考に)
  ・事例1:プロセスの短縮(7日近くかかるプロセス(反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥)を2日に短縮。)
  ・事例2:過酸化水素水による酸化反応(危険性回避)
  ・事例3:結晶多形のスクリーニング
6.スケールアップでの問題点(実際の経験から)と対応策
 (1)開発初期(実験室~10Lスケール)の事例   ●転位反応:1gから10gにスケールアップしたら転位反応が原因で目的物が得られなくなった。(反応機構の理解)
  ●アスコルビン酸硫酸エステル誘導体の製造:1gスケールでは目的物が合成できたが、10gスケールでは合成不可の結果となった。(中間体の安定性)
  ●カラム分離工程の回避:前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。(結晶性誘導体)
  ●ピリジン・無水硫酸錯体(硫酸エステル化剤)の合成:吸湿性が原因で目的物が得られないと判断したが、逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法を見出した。(目的物の物性の理解)
  ●ペントキシフィリン中間体の製法検討:文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。(反応の理解)
  ●抗生物質の側鎖の製造:新合成法を考案し、特許出願までしたが、中間体に安全性の問題あることがわかり、検討中止。(安定性は変えられない)
  ●五塩化リンによるクロル化プロセス:溶媒を変更したら反応が進まなくなった。(結晶多形の影響?)
  ●アルキルホルムイミデート類の合成:青酸ガスを使用しなければならない。(反応の理解)
  ●エステルの選択(アミノチアゾール誘導体):メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして相違点(物性)を確認、合理的な合成法に至った。
  ●その他
 (2)パイロット試作(200~500Lスケール)での事例   ●ジクロルアセトニトリルの製造:設備の性能を安易に考えて刺激性のミストが噴出した。(反応の理解)
  ●アミノチアジアゾール誘導体の製造:設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。(反応後の安定性確認)
  ●塩酸ペンタゾシンの中間体の製造:スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。(中間体の物性は変えられない)
  ●アミノチアゾール酢酸誘導体の製造:再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。(必ず原因がある)
  ●臭素化プロセスのスケールアップ:パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、大きなトラブルに陥りそうになった。対処法を検討した結果、合理的かつ安全なプロセス開発に至った。
  ●撹拌速度の影響:アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応。(不均一反応の考え方)
  ●結晶多形の同等性:外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。(規格設定の重要性)
  ●その他
 (3)パイロットから商用生産(2000Lスケール以上)での事例   ●微量の添加剤の影響:2工程先の抽出・分液工程で問題(エマルジョン)発生。(微量の添加剤の影響、原料のロット管理)
  ●PhaseIII試験後の製法変更:爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できずPhaseIII試験が終わってしまった。(反応の仕組みの理解)
  ●目標規格の原料が手に入らない:商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。(原料調査の重要性)
  ●設備変更して反応の本来の姿がわかった:パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。(原料中の強熱残分の影響)
  ●アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ:パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。(安定型と準安定型)
  ●キャンペーン生産:スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。(種晶の影響)
  ●溶媒回収できる条件でプロセスを設計:溶媒回収しないと採算が合わなくなった。(発想の転換)
  ●残留溶媒の規格:商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。(溶媒和物)
  ●出発原料の製法に伴う問題(製法に伴う異性体混入の可能性)
 (4)商用生産開始後の事例   ●収量低下の逸脱:原料の溶解時間の影響(原料と溶媒の相互作用)
  ●技術移転:季節の影響まで考えていなかった。(湿度の影響)
  ●原料の純度をアップ:高純度の原料に切り替えた途端に逸脱(不純物除去の仕組み)
  ●乾燥時間の管理:順調に商用生産がスタートしたが、突然製品の乾燥時間が2倍(10時間→20時間)になった。(水和物の考え方)
  ●その他
  □質疑応答・名刺交換□

セミナー講師

(株)三和ケミファ 医薬品事業部 統括本部長 薬学博士  丸橋 和夫 氏 
元 大鵬薬品工業(株) 合成技術研究所 所長
兼任
提携先(中国:2社)の技術、GMPの指導も兼務
主な経歴
1979.和光純薬工業株式会社入社、東京研究所主席研究員を経て、1991.大鵬薬品工業株式会社入社、工業化技術研究所所長、合成技術研究所所長を経て、2007.三菱商事株式会社入社、先端化学品本部技術顧問(兼)常熟力菱精細化工有限公司(中国、常熟市)研開部本部長を経て、2008.株式会社エースジャパン入社、常務取締役山形工場長を経て、2015.株式会社三和ケミファ入社、現在に至る。
1982.薬学博士(岐阜薬科大学)
主な研究・業務
有機合成化学、プロセス化学、医薬品化学、一貫して医薬品原薬、中間体の商用化を目的としたプロセス検討~商用生産を担当。この間、治験薬品質管理者(原薬)、医薬品製造管理者を兼務し、品質保証業務も経験。
業界での関連活動
米国化学会、日本薬学会、日本PDA製薬学会 会員

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医薬品技術   実験計画法一般   化学反応・プロセス

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