システム導入はベンダ任せが危険な理由 ~発注側企業が持つべきプロジェクト管理力~

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「システム開発は専門家であるベンダに任せれば安心」と考えていませんか?
どれほど優秀なベンダに任せても、それだけでシステム導入が成功するとは限りません。導入目的の明確化や業務要件の決定、社内調整や意思決定など、発注側にしか果たせない重要な役割が存在するからです。
任せきりにすることで生じるリスクとは何か。そして、プロジェクトを成功に導くために発注側企業が備えるべき「プロジェクト管理力」とはどのようなものか。ベンダと確かな信頼関係を築き、一つのチームとして成果を出すためのポイントを解説します。

【目次】

    1.はじめに

    「システムのことは分からないので、ベンダに任せています。」

    システム導入プロジェクトに携わっていると、このような言葉を聞くことがあります。
    確かに、システム開発の専門家はベンダです。設計、開発、テストなどを計画どおり進めるためには、ベンダ側のPM(Project Manager:プロジェクトマネージャ)の能力が非常に重要です。
    しかし、優秀なベンダと優秀なPMに任せれば、システム導入は成功するのでしょうか。

    私はそうは考えていません。
    システム導入プロジェクトには、ベンダだけでは決められないことが数多くあります。

    • 「会社として何を実現したいのか。」
    • 「現在の業務をどう変えるのか。」
    • 「A案とB案のどちらを選択す...

    「システム開発は専門家であるベンダに任せれば安心」と考えていませんか?
    どれほど優秀なベンダに任せても、それだけでシステム導入が成功するとは限りません。導入目的の明確化や業務要件の決定、社内調整や意思決定など、発注側にしか果たせない重要な役割が存在するからです。
    任せきりにすることで生じるリスクとは何か。そして、プロジェクトを成功に導くために発注側企業が備えるべき「プロジェクト管理力」とはどのようなものか。ベンダと確かな信頼関係を築き、一つのチームとして成果を出すためのポイントを解説します。

    【目次】

      1.はじめに

      「システムのことは分からないので、ベンダに任せています。」

      システム導入プロジェクトに携わっていると、このような言葉を聞くことがあります。
      確かに、システム開発の専門家はベンダです。設計、開発、テストなどを計画どおり進めるためには、ベンダ側のPM(Project Manager:プロジェクトマネージャ)の能力が非常に重要です。
      しかし、優秀なベンダと優秀なPMに任せれば、システム導入は成功するのでしょうか。

      私はそうは考えていません。
      システム導入プロジェクトには、ベンダだけでは決められないことが数多くあります。

      • 「会社として何を実現したいのか。」
      • 「現在の業務をどう変えるのか。」
      • 「A案とB案のどちらを選択するのか。」
      • 「追加費用を負担してでも、この機能を実装するのか。」

      こうした判断ができるのは、発注側企業です。

      つまり、ベンダ側のプロジェクト管理力だけでなく、発注側にもプロジェクトを管理し、必要な意思決定を行う力が必要なのです。

      2.ベンダと発注側では役割が違う

      まず理解しておきたいのは、ベンダと発注側ではプロジェクトにおける役割が異なることです。
      ベンダには、システムの専門家として、

      • 実現方法を検討する
      • 開発計画を立てる
      • 品質を管理する
      • 課題やリスクを報告する
      • 専門的な選択肢を提示する

      といった役割があります。

      一方、発注側には、

      • システム導入の目的を明確にする
      • 業務要件を決める
      • 社内の意見をまとめる
      • 提示された選択肢を評価する
      • 必要な意思決定をする

      という役割があります。

      ベンダがどれほど優秀でも、
      「御社として、A案とB案のどちらにしますか。」
      という問いに対する答えまで決めることはできません。
      自社の業務をどうするかを決める責任は、発注側にあります。

      連携で実現するシステム統合の成功

      図.連携で実現するシステム統合の成功

       

      3.「専門家だから正しい」と考えない

      発注側でよくあるのが、
      「ベンダがそう言っているから大丈夫だろう。」
      という考え方です。
      もちろん、専門的な技術についてはベンダの知識を尊重する必要があります。
      しかし、分からないことをそのままにしてはいけません。
      例えばベンダから、
      「標準機能では対応できないので追加開発が必要です。」
      と言われたとします。

      ここで、
      「専門家が言うのだから仕方がない。」
      と判断するのではなく、

      • 「なぜ標準機能ではできないのですか。」
      • 「業務を変えれば標準機能で対応できませんか。」
      • 「追加開発した場合、費用や将来の保守にどのような影響がありますか。」

      と確認することが重要です。

      これはベンダを疑うという意味ではありません。
      発注側が内容を理解した上で判断するための確認です。
      分からない専門用語があれば聞けばよいのです。
      システムの専門家でなくても、「なぜですか」と聞くことはできます。

      4.希望があるなら最初に伝える

      発注側にも、もう重要な一つ重要な責任があります。
      それは、自社の希望や制約条件を早い段階で伝えることです。

      プロジェクトが進んでから、
      「実は、この帳票も必要です。」
      「経営層から、この機能を追加してほしいと言われました。」
      「この業務だけは今のやり方を変えられません。」

      と言われることがあります。

      発注側からすると、

      「少し変更するだけ。」

      と思うかもしれません。
      しかし、設計が終わった後で要求を追加すれば、設計変更、プログラム修正、テストのやり直しなどが発生します。
      場合によっては、他の機能やスケジュールにも影響します。
      要件定義段階なら容易に対応できた要求が、開発後半では大きなコストになることもあります。
      もちろん、プロジェクト途中で新しい要求が発生することはあります。
      問題なのは、最初から分かっていた希望を伝えず、後から出すことです。

      発注側は、
      「まだ決まっていないから伝えない。」
      ではなく、
      「現時点では未決定だが、このような希望がある。」
      という情報も早めに共有することが重要です。

       

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      この記事の著者

      井上 敦雄

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