自動化の限界を超える設計思考、次の10年の常識をつくるのは、いま挑戦する設計者である

更新日

投稿日

自動化の限界を越える設計思考  ― 次の10年の常識をつくるのは、いま挑戦する設計者である ―

 

工場では今も多くの自動化設備が動いています。ロボットが部品を組み付け、自動搬送装置が製品を運び、カメラが外観を検査する光景は、もはや珍しいものではありません。


その一方で、どれほど自動化が進んでも、最後だけは人が担当している工程があります。「ここだけは人でなければ無理なんです。」製造現場を訪問すると、この言葉を耳にすることが少なくありません。


私もこれまで数多くの自動化案件に携わってきましたが、そのような工程に何度も出会ってきました。


半導体や電子部品の量産設備では、髪の毛より小さな部品を高速で扱い、1日に数億個もの製品を安定して生産するために、人の感覚や熟練技能に頼っていた工程を自動化するテーマにも数多く取り組んできました。

  • 部品の向きが少しずつ違う。
  • 材料の硬さが毎回わずかに変化する。
  • キズなのか模様なのか、人なら一瞬で分かるのに画像処理では判断できない。

 

自動化の限界を越える設計思考  ― 次の10年の常識をつくるのは、いま挑戦する設計者である ―

 


図面を見るだけでは分からない、現場ならではの難しさがあります。しかし、興味深いことがあります。


10年前に「絶対に自動化できない」と言われていた工程が、現在ではごく普通に自動化されている例が数多くあるのです。

  • AIの進歩もあります。
  • 画像処理も進化しま...

自動化の限界を越える設計思考  ― 次の10年の常識をつくるのは、いま挑戦する設計者である ―

 

工場では今も多くの自動化設備が動いています。ロボットが部品を組み付け、自動搬送装置が製品を運び、カメラが外観を検査する光景は、もはや珍しいものではありません。


その一方で、どれほど自動化が進んでも、最後だけは人が担当している工程があります。「ここだけは人でなければ無理なんです。」製造現場を訪問すると、この言葉を耳にすることが少なくありません。


私もこれまで数多くの自動化案件に携わってきましたが、そのような工程に何度も出会ってきました。


半導体や電子部品の量産設備では、髪の毛より小さな部品を高速で扱い、1日に数億個もの製品を安定して生産するために、人の感覚や熟練技能に頼っていた工程を自動化するテーマにも数多く取り組んできました。

  • 部品の向きが少しずつ違う。
  • 材料の硬さが毎回わずかに変化する。
  • キズなのか模様なのか、人なら一瞬で分かるのに画像処理では判断できない。

 

自動化の限界を越える設計思考  ― 次の10年の常識をつくるのは、いま挑戦する設計者である ―

 


図面を見るだけでは分からない、現場ならではの難しさがあります。しかし、興味深いことがあります。


10年前に「絶対に自動化できない」と言われていた工程が、現在ではごく普通に自動化されている例が数多くあるのです。

  • AIの進歩もあります。
  • 画像処理も進化しました。
  • センサーの性能も向上しました。


もちろん、それらの技術進歩は大きな要因です。しかし、それだけではありません。本当に自動化を成功させている現場では、設備を工夫する前に、作業そのものを見直しています。

  • 「人は何を見ているのか。」
  • 「なぜここで手を添えるのか。」
  • 「何を基準に良い・悪いを判断しているのか。」


こうしたことを一つひとつ整理していくと、「人にしかできない」と思われていた作業の多くは、実は人が特別なことをしているのではなく、ばらつきを吸収し、判断し、調整していることが分かってきます。つまり、自動化とは人をロボットに置き換えることではありません。人が担っている役割を理解し、それを設備や工程に置き換えていく設計なのです。


私はこれまで、簡単な自動化だけでなく、多くの技術者が「これは難しい」と頭を抱えるテーマにも取り組んできました。思うように動かなかった設備もあります。何度設計をやり直しても結果が出なかったこともあります。


しかし、そのたびに感じたのは、自動化を決めるのはロボットの性能ではなく、設計者の考え方だということでした。部品の形状をほんの少し変更しただけで、長年実現できなかった自動化が成功したこともあります。検査方法を変えたことで、設備が驚くほどシンプルになったこともあります。


設備を複雑にするより、製品や工程を見直したほうが早く解決することは決して珍しくありません。

 

自動化の限界を越える設計思考  ― 次の10年の常識をつくるのは、いま挑戦する設計者である ―

 


本連載では、そのような「難しい自動化」に焦点を当てます。最新の設備を紹介する連載ではありません。設計者は何を考え、どこに着目し、どのように問題を整理して自動化を実現していくのか、その思考の過程をできるだけ分かりやすくお伝えします。


これから20回にわたり、半導体、電子部品、精密組立、検査、搬送など、私が実際に経験してきた高難度の自動化事例を交えながら、自動化設計の本質について考えていきます。成功した事例だけではありません。試行錯誤を繰り返し、失敗から学び、発想を転換することで突破口を見いだした経験も含め、現場で本当に役立つ設計思考をお伝えしたいと思います。


今は難しいと思われているテーマも、数年後には当たり前になっているかもしれません。その「次の当たり前」をつくるのは、現場で挑戦を続ける設計者です。


この連載が、その挑戦のヒントになれば幸いです。この後は、「なぜ自動化できないのか」「どう考えれば突破できるのか」、自動化設計の本質について、実例を交えながら一緒に考えていきましょう。

 

次回は、『第1回 中国製造2025の真実、日本企業はなぜ中国との向き合い方を変え始めたのか』が、テーマです。

 

本記事を執筆した専門家「森内 眞」が講師のセミナー 一覧

 【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

森内 眞

ものづくりにおいて解決できない課題はありません。真摯に課題に取り組むことで必ず解決の糸口は見えてきます。 技術士としての専門知識、技術、経験、独自のネットワークを用いてお客様の課題解決に貢献いたします。

ものづくりにおいて解決できない課題はありません。真摯に課題に取り組むことで必ず解決の糸口は見えてきます。 技術士としての専門知識、技術、経験、独自のネット...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
設計部門の仕組み構築 【連載記事紹介】おすすめセミナーのご紹介 

     設計部門の仕組み構築の連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆設計部門と製造部門 製造部門における設...

     設計部門の仕組み構築の連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆設計部門と製造部門 製造部門における設...


類似-4 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その103)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。今回は、引き続き「類似」について考えてみたいと思います...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。今回は、引き続き「類似」について考えてみたいと思います...


リーン製品開発が開発チームの行動様式を変える

   今回は、リーン生産方式とリーン製品開発について解説します。リーンとは何でしょうか。リーンとは、英語のleanのことで「やせた」、「細...

   今回は、リーン生産方式とリーン製品開発について解説します。リーンとは何でしょうか。リーンとは、英語のleanのことで「やせた」、「細...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
コーポレート研究の課題とは

1. コーポレート研究への期待  近年、ものづくり企業においてコーポレート研究に対する期待が高まっています。そのなかで、新たにコーポレート研究組織を...

1. コーポレート研究への期待  近年、ものづくり企業においてコーポレート研究に対する期待が高まっています。そのなかで、新たにコーポレート研究組織を...


システム設計8 プロジェクト管理の仕組み (その40)

 前回のシステム設計7に続いて解説します。    システム要件の一つひとつについて、サブシステム構成における振る舞いを記述し、各々のサブシス...

 前回のシステム設計7に続いて解説します。    システム要件の一つひとつについて、サブシステム構成における振る舞いを記述し、各々のサブシス...


研究開発部門にスパークを起こすとは

◆市場を継続的に長く、広く、深く知る  企業の研究開発部門は、「金ばかり使って、良い技術が全然出てこない」と非難されることが多いようです。企業にとっての...

◆市場を継続的に長く、広く、深く知る  企業の研究開発部門は、「金ばかり使って、良い技術が全然出てこない」と非難されることが多いようです。企業にとっての...