なぜ製造業DXプロジェクトの多くは失敗するのか?

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「多額の予算を投じてDXを進めたのに、現場からは不満の嵐…。」
なぜ、多くの製造業でシステム導入が業務改善につながらず、失敗に終わってしまうのでしょうか?「ベンダーの技術力不足」や「システムの不具合」を疑う前に、直視すべき真実があります。30年以上数々のプロジェクトに携わってきた専門家が解き明かす、DX失敗の真の犯人――。それは開発段階ではなく「最初のあの工程」にありました。自社のDXを「高価な置物」にしないために、いま見直すべき重要ポイントをお伝えします。

【目次】

     

    ~システム導入を成功させる要件定義の進め方~

    製造業DXを成功に導くプロジェクトマネジメント実践講座【1】

    1.はじめに

    • 高額なシステムを導入したのに現場で使われない
    • 予定どおり稼働したが、業務改善につながらない
    • 追加開発が繰り返され、当初予算を大幅に超えてしまった

    製造業のDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトでは、このような話を耳にすることは少なくありません。
    経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」では、既存システムの老朽化や複雑化が企業の競争力低下につながる「2025年の崖」が提唱され、多くの企業がDXへ取り組み始めました。
    しかし、実際にはシステムを導入しただけで成果が出るケースは決して多くありません。
    私は30年以上にわたり、生産管理システムや基幹システムの導入プロジェクトに携わってきました。その経験から言えることは、DXプロジェクトが失敗する最大の原因は、プログラムやシステムの品質ではなく、要件定義にあります。
    本稿では、なぜ要件定義がDXプロジェクトの成否を左右する...

    「多額の予算を投じてDXを進めたのに、現場からは不満の嵐…。」
    なぜ、多くの製造業でシステム導入が業務改善につながらず、失敗に終わってしまうのでしょうか?「ベンダーの技術力不足」や「システムの不具合」を疑う前に、直視すべき真実があります。30年以上数々のプロジェクトに携わってきた専門家が解き明かす、DX失敗の真の犯人――。それは開発段階ではなく「最初のあの工程」にありました。自社のDXを「高価な置物」にしないために、いま見直すべき重要ポイントをお伝えします。

    【目次】

       

      ~システム導入を成功させる要件定義の進め方~

      製造業DXを成功に導くプロジェクトマネジメント実践講座【1】

      1.はじめに

      • 高額なシステムを導入したのに現場で使われない
      • 予定どおり稼働したが、業務改善につながらない
      • 追加開発が繰り返され、当初予算を大幅に超えてしまった

      製造業のDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトでは、このような話を耳にすることは少なくありません。
      経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」では、既存システムの老朽化や複雑化が企業の競争力低下につながる「2025年の崖」が提唱され、多くの企業がDXへ取り組み始めました。
      しかし、実際にはシステムを導入しただけで成果が出るケースは決して多くありません。
      私は30年以上にわたり、生産管理システムや基幹システムの導入プロジェクトに携わってきました。その経験から言えることは、DXプロジェクトが失敗する最大の原因は、プログラムやシステムの品質ではなく、要件定義にあります。
      本稿では、なぜ要件定義がDXプロジェクトの成否を左右するのか、その理由と進め方について解説します。
       

      2.DXプロジェクトが失敗する本当の理由

      DXが失敗すると、多くの人は「ベンダーの技術力が不足していた」「システムの性能が悪かった」と考えがちです。
      しかし、実際にはそれ以前の段階で問題が発生していることがほとんどです。
      例えば、次のような状況はありませんか。

      • 現場ごとに業務のやり方が異なる。
      • 部門ごとにシステムへ求める内容が違う。
      • 「今の業務をそのままシステム化したい」という要望が多い。
      • 現場の担当者が十分にプロジェクトへ参加できていない。

      この状態で開発を始めれば、完成したシステムが期待どおりにならないのは当然です。
      つまり、システムが悪いのではありません。
      「何を作るか」が決まっていないまま開発を始めてしまうことが最大の問題なのです。

       

      3.要件定義とは「システムを決める工程」ではない

      要件定義という言葉を聞くと、多くの人は「画面」「帳票」「機能」を決める工程だと思っています。
      もちろん、それも重要です。
      しかし、本来の要件定義は、それよりも前に考えるべきことがあります。
      それは、
      「このシステムで何を実現したいのか」
      を明確にすることです。

      例えば、生産管理システムを導入する場合でも、

      • 在庫を減らしたい
      • 納期回答を早くしたい
      • 生産計画を見える化したい
      • 属人化を解消したい

      目的によって必要な仕組みは大きく変わります。
      目的が曖昧なままでは、「便利そうだから追加する」という機能が増え続け、システムは複雑になり、導入後も使われなくなります。
      要件定義とは、機能を増やす工程ではなく、本当に必要なものを見極める工程なのです。
       

      4.成功する要件定義で実践している3つのポイント

      4.1 現場業務を理解してからシステムを考える

      要件定義では、まず現場を知ることが重要です。
      現場ではどのような情報を使い、誰が判断し、どこで困っているのか。
      机上でヒアリングするだけでは分かりません。
      実際に工場を歩き、担当者の仕事を観察することで、初めて改善ポイントが見えてきます。 

      4.2 「現状業務」と「あるべき姿」を分けて考える

      現場からは、
      「今の帳票をそのまま画面にしてほしい。」
      という要望がよく出ます。
      しかし、それでは紙が画面に変わるだけです。
      DXとは、業務をデジタル化することではなく、業務そのものを改善することです。
      現状業務を理解した上で、
      「本来あるべき業務はどうあるべきか」
      を議論することが重要です。 

      4.3 業務要件を先に決める

      システム要件より先に、

      • 業務ルール
      • 承認フロー
      • データの持ち方
      • 部門間の役割
        を決めます。

      これらが曖昧なままでは、どんな優秀なベンダーでも良いシステムは作れません。

       

      5.DX成功の鍵は「システム導入」ではなく「業務改革」

      私は数多くのプロジェクトで共通することを経験しました。
      成功した企業ほど、
      「どんなシステムを入れるか」
      ではなく、
      「どんな会社になりたいか」
      を最初に議論しています。
      システムは目的ではありません。
      業務改革を実現するための手段です。
      そのため、要件定義では、
      「この機能は必要か。」
      ではなく、
      「この業務は本当に必要か。」
      という視点を持つことが重要になります。

      6.まとめ

      製造業DXプロジェクトが失敗する最大の原因は、システム開発そのものではなく、要件定義の不足にあります。
      要件定義では、機能一覧を作ることが目的ではありません。
      業務の課題を整理し、目指す姿を関係者全員で共有し、その実現に必要な仕組みを定義することが目的です。
      システムは完成した瞬間から使われるのではありません。
      現場に受け入れられ、業務改善につながって初めて価値を生みます。
      そのためには、開発を急ぐよりも、最初の要件定義に十分な時間をかけることが、結果としてDX成功への最短ルートになります。

      次回は、「現場が使わないシステムはなぜ生まれるのか」をテーマに、業務要件とシステム要件の違いについて詳しく解説します。

       

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      この記事の著者

      井上 敦雄

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