FMEAの目的と本質 (その3)

4.FMEAの実施手順

 前回のその2に続いて解説します。
 

(6)故障モードの影響

 
FMEA
故障モードを列挙した後、それぞれの故障モードについてその影響を考えます。もちろん、ひとつの故障モードが複数の影響をもたらすこともあります。また、ある部品を考えている場合でも、この部品の中で起こる故障モードの影響が、その部品を組み込む装置で出ることも考慮しなければなりません。
 
 例えば自動車のエンジンの部品で、「 自動車のボディに取り付けるための部品が緩んだ 」という故障モードの影響を考えるとします。エンジンという部品にはほとんどなんの影響もないかもしれませんが、エンジンが振動し自動車全体では大きな影響をもたらすかもしれません。
 
 故障モードの影響の評価は、FMEAの結果に特に大きく影響するので、故障モードの影響を正しく、また漏れなく考えあげることは特に重要です。
 

(7)想定される故障モードの原因の記述

 各故障モードごとに考えられる原因を記述します。記述は簡単にするべきですが、対策に直接結びつくように書きます。例えば、磨耗という故障モードの原因を考えるとき、「擦れる為」というのは原因とはいえますが、FMEAの成果を有効に活用するためには「振動による○○との磨耗」のように書きます。このように書けば何を対象に対策するのか明確だからです。
 

(8)影響の厳しさ・頻度・検出可能性の評価

 影響の厳しさ・頻度・検出可能性という3つの指標で各故障モードに点数をつけて評価を行います。点数は、1から10の10段階で行う例が多いですが、4段階・5段階にすることもあります。それぞれの指標の点数は少ないほど好ましい評価です(相対評価法)。評価は、現状の信頼性設計が十分かどうかの観点で行います。
 
 「影響の厳しさ」という指標は、故障モードが発生した場合の被害の大きさです。例えば、影響が全くない場合は1、人命に影響がある場合は10などとします。
 
 「頻度」は故障モードの起こりやすさです。これは過去の事例から類推します。事実上、起こりえない場合1、故障モードが発生することが常態になっている場合を10などとします。
 
 「検出可能性」は、設計FMEAの場合は設計期間中に故障モードを発見できるかどうかという指標です。例えば、あるボルトが折れるという故障モードを考えた場合、各種の試験でこのボルトを折れているかどうか確認することになっておらず、さらに試験中に折れても全く分からないという場合、検出可能性は全くないことになります(10段階なら10点)。
 
 なお、各指標の評価水準はあらかじめ決めておき、常にその評価水準を使用します。顧客から評価水準をあらかじめ示される場合もあります。例えば、アメリカの自動車会社の場合、供給者は、AIAGのFMEAマニュアルにある評価水準を使用するように求められます。
 

(9)危険優先指数(RPN)の計算と対策の要請

 危険優先指数とは、上記の影響の厳しさ・頻度・検出可能性の3つの指標の評価点を全て掛け合わせたものです。10段階で評価すれば、1000点が最高点となり、1点が最低点です。
 
 全ての故障モードに対して対策をすることができれば理想的ではありますが、全く実際的ではありません。FMEA班は、RPNの高いものを選んで対策を担当部署に要請します。もちろん具体的な対策案を示す場合もあります。RPNが何点以上を対策の対象にするかということは任意に決めます(例えば200点以上、100点以上など)
 
 また、RPNで並べると、影響の厳しさが大変高くても、頻度や検出可能性が低い場合、優先度が低くなります。つまり、どんなに頻度が低くても、検出が容易だとしても、絶対に起こるべきではないという種類の故障モードが見逃されてしまうことになります。
 
 そこでRPNの値によらず、影響の厳しさの高いものは対策の対象とします。あるいは、3つの指標の評価を掛け合わせずに、影響の厳しさ・頻度・検出可能性の順に評価点を並べて3桁の数字(10段階評価でも頻度や検出可能性が10点ということは実際にはあまりない)にし、影響の厳しさが大きいものの優先度が高くなるようにする方法もあります。
 

セミナー「トラブル再発完全防止のカンタンFMEA」

10:00 ~ 17:00 

【千代田区一番町】 新技術開発センター研修室

42,000円

(10)フォローアップ

 FMEAの結果に基づいて、対策を行います。対策は、それぞれの固有技術に基づいて実施されます。対策の結果、致命度が下がったかどうか、また、対策によって新たな問題が発生していないかを再検証します。
 
 次回、その4では、絶対評価FMEAからです。
 

この記事の著者

濱田 金男

製造業の現場ですぐ使える独自の品質改善技法の開発と普及活動を行っています。 「ヒューマンエラー防止対策」「簡易FMEA/FTA」「しくみを対策するなぜなぜ2段階法」

1972年OKI高崎事業所入社、設計、製造、品質部門を経験、多くの品質問題に かかわり、失敗経験も豊富、 2014年独立「中小企業」で実務ですぐ使える技法とツール開に取り組む! ●事後対策主体の品質管理から脱却 発生した問題の原因解析…

無料会員登録でさらにあなたに特化した情報を手に入れましょう。

①「FMEA」の関連記事が掲載されたらメールでお知らせ

②専門家「濱田 金男」先生に記事内容について直接質問が可能

③他にも数々の特典があります。

すでに会員の方はこちらからログイン