モノづくりマネジメント便覧(2)-戦略・知識-

監 修:藤川 裕晃(東京理科大学経営学部 教授)

構成

くるみ製本(A4・約480頁)

分野

生産マネジメント > 生産マネジメント総合
生産マネジメント > トヨタ生産方式
生産マネジメント > IE

価格

30,300円 (税抜 27,545円) 1点 在庫あり

商品説明

モノづくりの基本をすべて網羅。各事業所に1冊常備,必携書

豊かさと幸せをもたらすモノづくりの知恵のライブラリーです。

 

発刊にあたって

日本の製造業は競争力を失いつつあるように見える。韓国,中国,インドなどの製品に比べて,品質が同じであるにもかかわらず,価格が30%ほど高い。
競争力低下の原因はいろいろある。金型技術など無形財産の流出,外国人労働者に対する閉鎖性,品質過剰な国民性などがあげられる。いずれもあたっているが,それらの奥に,生産に対するあいまいさにあると筆者は考える。逆の面からいえば日本の生産会社はIE(Industrial Engineering)の使用が不十分であるとみている。作業の開始と終了,作業者と機械との関係,指示と報告などが職場の人間関係に流されている,ムダを見逃している,と。
2011年3月,東北・関東に巨大な地震が起きた。地震後の対応を見て,上記の考えに修正が必要であることを知った。あいまいであるがゆえに生産現場はいちはやく生産を開始したのである。
その様子を観察するとこうである。「できるところから」「できる作業者が」仕事を再開している。そう,これは日本人の強さである。あいまいさは,反面,自主性でもある。
しかし,限界もあった。電気,ガソリン,原材料など外部調達品の不安定である。いずれの工場も自社で電気,ガソリン,原材料などを作ることはできない。制約を受けざるを得ない。
日本の製造業の課題は,巨大地震を乗り越えて,かなり明確になった。大雑把ないい方をすると,ある種のあいまいさを育て,同時にある面で厳密性をとりいれていくことである。
本書は2011年3月前に取り掛かっていたが,当初から制作の方針として「人間」を軸にしてきた。そのうえで生産管理の分野で蓄積された技術を網羅した。巨大地震後の復旧・復興における生産会社の取り組みと照合し今後のものづくりに耐えうると確信した。
冒頭,日本の製造業が競争力を失いつつあると書いたが,実は,新しい側面も芽生えつつある。大量生産は競争力を失いつつあるが,「個品」は依然として日本の競争力が強い。ものまねの製品でなく,日本人のものづくりが始まるであろう。豊かさだけをもたらす製品ではなく,豊かさと幸せをもたらすものづくりが来るであろう。その道のりで有益な知恵は本書に示していることだと確信する。
執筆者を代表して 左近祥夫

内容紹介

第2編 戦 略

1 生産戦略
 1 生産戦略
1.1 経営戦略
1.2 生産方式の類型
1.3 生産方式の選択
1.4 事例:A社の設計生産拠点構築
 2 立地戦略
2.1 企業環境と生産拠点戦略
2.2 日系製造業の工場立地戦略
2.3 今後の日本製造業の戦略

2 情報戦略
 1 企業情報システム
1.1 企業情報システムとは
1.2 企業情報システムの構成
 2 生産情報システム
2.1 生産情報システム概要
2.2 受注/出荷管理システムの概要
2.3 生産計画システム
2.4 調達管理システム
2.5 製造管理システム
2.6 在庫管理システム
2.7 原価管理システム
 3 生産情報システム構築の際のポイント
3.1 生産部品表の作成
3.2 生産計画の立案(見込生産の企業の場合)
3.3 手配、進捗管理

3 マーケティング
 1 はじめに
 2 競争戦略
2.1 アンドルーズの企業戦略アプローチとSWOT分析
2.2 戦略的ポジショニング
2.3 リソース・ベースト・ビュー
2.4 戦略的ポジショニング VS. RBV
2.5 戦略の5つのPと創発戦略
2.6 戦略ドメイン
2.7 経営戦略の指針
2.8 事例
 3 戦略的マーケティング
3.1 マーケティングの概要
3.2 環境分析と市場機会の発見
3.3 セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP:標的市場の決定)
3.4 ターゲティング
3.5 ポジショニング
3.6 事例
 4 ブランド戦略
4.1 なぜブランドか
4.2 ブランドの機能
4.3 ブランドのメリット
4.4 強いブランドを構築するためのステップ
4.5 中堅、中小企業でも重要となるブランド戦略
4.6 事例

4 商品戦略と開発
 1 市場調査
1.1 市場データの収集
1.2 市場データの測定尺度
1.3 市場調査のプロセスと分析
1.4 事例
 2 商品企画
2.1 標的市場の特定
2.2 商品企画の策定
2.3 事例
 3 新商品開発
3.1 商品ポジショニング
3.2 商品設計の技法
3.3 環境適合設計
3.4 事例

5 技術・特許戦略
 技術・特許戦略とは
 1 技術戦略
1.1 イノベーションと企業経営
1.2 技術戦略
1.3 事例
 2 特許戦略
2.1 特許出願動向
2.2 特許プロセス
2.3 知的財産取引
2.4 事例
 3 標準化
3.1 情報源
3.2 規格
3.3 事例

6 環境経営
 環境経営とは
 1 化石エネルギーと新エネルギー
1.1 エネルギー消費と産業
1.2 新エネルギー動向
1.3 事例
 2 規制と法規
2.1 化学物質規制
2.2 温暖化規制
2.3 廃棄物とリサイクル規制
2.4 事例
 3 環境経営
3.1 環境経営とイノベーション
3.2 環境経営施策の実際
3.3 事例
 4 規格の導入
4.1 環境規格
4.2 事例

7 トヨタ生産システム
 1 トヨタ生産システムとトヨタウェイ
1.1 トヨタ生産システムとは
1.2 トヨタウェイにみるトヨタ生産システムの進め方
 2 流れ生産と後工程引取り
2.1 流れ生産
2.2 タクトタイムと少人化生産
2.3 後工程引取りとかんばん
 3 トヨタ生産システムを支えるツール
3.1 アンドン
3.2 かんばん
3.3 標準作業票
3.4 ポカヨケ
 4 トヨタ生産システムの導入
4.1 現場改善の環境づくり
4.2 トヨタ生産システムの導入前に
4.3 部品生産工場への導入事例
4.4 異業種への導入事例

8 リスクへの対応
 1 リスクマネジメント
1.1 身の周りのリスクマネジメント
1.2 リスクマネジメントとは何か
1.3 リスクマネジメントで大切なのはリスク低減
1.4 リスクへの対応と残留リスク
1.5 結局リスクマネジメンは将来の不確かなことに対して手を打つこと
 2 内部統制
2.1 会社法の内部統制(コーポレートガバナンス)
2.2 J-SOX法の内部統制
 3 ISOシリーズ
3.1 ISOとは
3.2 ISO9001(品質ISO)の概要
3.3 ISO14001(環境ISO)
3.4 ISO22000(食品安全ISO)
3.5 生産管理の現場でISOを生かすには
 4 CSR(企業の社会的責任)
4.1 CSRのトリプルボトムライン「経済」「環境」「社会」
4.2 トリプルボトムラインのまず第一は「経済」
4.3 トリプルボトムラインの二つ目は「環境」
4.4 トリプルボトムラインの三つ目は「社会」
4.5 生産現場ではまずCSR調達
4.6 メンタルヘルスが大切
4.7 パワーハラスメント

9 TOCとSCM
 1 TOC(制約理論)
1.1 制約理論とは何か
1.2 制約理論による生産性改善
1.3 簡素化されたDBR S-DBR(Simplified DBR)
1.4 伝統的DBRドラム・バッファ・ロープ
1.5 適用事例
 2 SCM(サプライチェーンマネジメント)
2.1 サプライチェーンとサプライチェーンマネジメント
2.2 SCMの実現
2.3 中小企業のSCM


第3編 知 識


1 インダストリアル・エンジニアリング
 1 IE(Industrial Engineering)の定義と応用
A.IEの定義
B.IEの応用
 2 方法研究
A.方法研究の意義と目的
B.工程系列の分析手法
C.作業系列の分析手法
D.動作系列の分析手法
E.動作経済の原則
 3 作業測定
A.作業測定とは
B.作業測定の目的
C.作業測定の手法
D.標準時間
E.稼働分析
 4 レイアウトと運搬
A.レイアウトの考え方と計画
B.経路分析と流れ分析
C.P-Q分析とレイアウトのタイプ
D.ものの流れ分析
E.アクティビティの分析
F.レイアウトの評価と改善ポイント
G.運搬の分析
H.運搬改善の考え方とポイント

2 統計的手法
 1 統計的手法の概要
A.データの種類と分布
B.期待値と分散
C.計数値の分布
D.計量値の分布
 2 データの要約
A.統計量による要約
B.グラフによる表現
 3 検定と推定
A.検定と推定の考え方
B.母平均に関する検定と推定(σ未知)
C.母平均の差に関する検定と推定
D.母分散に関する検定と推定
E.母分散の比に関する検定と推定
F.母比率に関する検定と推定
G.母比率の差に関する検定と推定
H.母欠点数に関する検定と推定
I.分割表による検定
 4 分散分析
A.一元配置とは
B.実験データの解析
C.二元配置とは
D.実験データの解析
 5 相関分析
A.散布図とは
B.散布図の見方
C.相関分析
D.母相関係数の検定と推定
 6 回帰分析
A.回帰分析とは
B.回帰係数の検定
C.母平均の区間推定
D.個々のデータの予測区間
 7 多変量解析
A.重回帰分析
B.数量化I類
C.判別分析
D.数量化II類
E.主成分分析

3 OR的手法
 1 OR的手法の概要
 2 線形計画法
A.数理計画法とは
B.線形計画法とは
C.図的解法
D.シンプレックス法
 3 スケジューリング
A.PERT
 4 待ち行列
A.待ち行列とは
B.待ち行列での指標
C.各待ち行列の指標

4 ものづくりに関係する法規
 1 契約に関する法規
1.1 契約とは
1.2 契約に関する法律
1.3 契約行為
1.4 売買契約
1.5 請負契約
1.6 製作物供給契約
1.7 委任契約
1.8 賃貸借契約
1.9 使用貸借契約
1.10 下請法
 2 知的財産権に関する法規
2.1 知的財産権とは
2.2 知的財産権に関する法律
2.3 特許法
2.4 実用新案法
2.5 意匠法
2.6 商標法
2.7 著作権法
2.8 不正競争防止法
 3 製造物責任法
3.1 製造物責任とは
3.2 製造物とは
3.3 欠陥とは
3.4 製造業者とは
3.5 損害賠償
 4 労務に関する法規
4.1 労働法とは
4.2 労働協約
4.3 就業規則
4.4 労働契約
4.5 募集と採用
4.6 賃金
4.7 労働時間
4.8 法定休暇
4.9 配置転換・出向
4.10 退職・解雇・懲戒処分
4.11 労働安全衛生法
4.12 男女雇用機会均等法
4.13 育児・介護休業法
4.14 パート労働法
4.15 障害者雇用促進法

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