書評検索結果

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「XCNクロスチェック付きなぜなぜ分析」鶴田明三著

投稿日 2017/07/20

エアバッグのリコールで経営が立ち行かなくなったタカタなど、市場品質問題は突然企業に降りかかります。本書では、多数提案されている未然防止の方法を、筆者が三菱電機在職中に統合考案した仕組みが示されます。

端的に言えば、機能展開となぜなぜ分析、外乱のリストを組み合せたもので、個々の手法自体は広く使われています。しかし品質工学のパラメータ設計をしようにも、基本機能や誤差因子をどう選択すればよいのか、初心者には難しい作業です。

本書で示された手順とノウハウに留意しながら進めることで、一定レベル以上の成果が期待されます。しかもこの方法に準拠した表計算シートが付録に付いていますから、一度試してみない手はありません。。

設計のフロントローディング化に悩む、技術・品質部課長さんにおススメの一冊です。

「機能性評価による機械設計」上野憲造著

投稿日 2016/12/07

本書の著者は、日産で有名な櫻井眞一郎さんの元でスカイラインの設計に従事していた時期があり、体系的な技術設計論で定評があります。

本書は20年前の出版でありながら、品質工学を分かりやすく解説しています。むしろその時代だからこそ、今のように各論に走らずオーソドックスに書くことができたのかもしれません。

前半の解説編は主に自動車を構成する機構を例に、数式の少ない上野さん流の話し言葉で書かれ、後半は自動車に限定しない他社事例を9件取り上げています。

いずれも機構設計に絞って、安定性向上、ばらつき削減を狙う実験であり、機械技術者には大いに参考となるでしょう

これでわかった!超実践品質工学

投稿日 2016/07/03

品質工学(タグチメソッド)の入門書がたくさん出版されています。それだけ注目されているとも言え、また難しいとも言えるでしょう。それぞれの本が工夫されており、筆者の考えを反映したものですが、それ一冊で簡単に使えるほど品質工学は甘くありません。愚直に学習と実践を重ねる必要があります。

本書にも、筆者の経験と工夫が随所に盛り込まれています。特に、パラメータ設計の基礎となる機能性評価を重点的に解説し、機能の定義、ノイズ因子(誤差因子)抽出の方法など、類書にないノウハウやコツが開示されます。
品質工学の鬼門の一つである「SN比」を、筆者が所属する関西研究会で提案している「エネルギー比型」で記述していることも、理解を早めてくれるでしょう。

さらに、品質工学の実験計画シートやSN比・要因効果図などのパラメータ設計計算ツールを無償ダウンロードできるサービスもあり、初学者の導入には大いに役立つはずです。

「実践して成果を出す」ことを目的にしているだけあって、実務者が実務で迷いそうなところ、間違いそうなポイントを、現場目線で丁寧に解説していて好感が持てます。

初学者が初めて触れる入門書としても、また実践者が悩んだ時のノウハウ本としても、技術部隊の書棚に是非備えたい一冊です。

「開発現場で役立つ品質工学の考え方」長谷部光雄著

投稿日 2011/05/03

品質工学を経験してその効用を実感する人は多いですが、それを周囲の人
に上手く伝えられる人は多くないようです。私も昔は「騙されたと思って
やってみて」とか話した事もありましたが、それは難しいものでした。
元リコーの技術開発センター長長谷部さんは、最近6年で8冊を著述し豊富
な経験と秀逸な例示で読み手を納得させます。最新刊である本書は、これ
までの読み物風文体から転じ、数式も用い、QFDも絡めて、技術開発の本質
的な進め方を提起します。
タグチメソッドをベースにしながら半歩進めたハセベメソッドとも言うべ
き方法論が展開されます