書評検索結果

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「製品開発は機能にばらして考えろ」緒方隆司著

投稿日 2018/07/05

本書はオリンパス社で長年、効率的な開発プロセスを検討し、実践してきた著者による、開発段階での課題解決方策の集大成です。

本書の構成は、開発テーマの設定からコストダウン、特許化、効率的な評価、リスク回避など7つの目的別ソリューションごとに、かなり具体的な手順解説からなります。

ここで示されるアプローチは、近年の開発設計で大きな潮流であるQFD(品質機能展開)、TRIZ、タグチメソッドの活用を軸としつつ、VE、TOC、DRBFM、AHPといったツールが次々に出てくるため、
予備知識なしに実行するのはなかなかハードルが高そうですが、実効があったひとつのモデルとして、自社プロセス構築への参考としてみたら良いでしょう。

技術開発、設計の非効率性、不安定性に悩む技術部門長や技術管理部門長におススメです。

「品質を獲得する技術」宮川雅己著

投稿日 2017/08/03

設計品質向上に品質工学が「良さそうだ」という認識はあるものの、踏ん切りがつかない管理職は多いように思われます。実践者は盲目的に使っている一方で、非実践者は効用が理解できないという分化があります。本書は応用統計学を専門とする学術家である著者が、実学の観点で品質工学を評価したものです。

品質工学を理解したい、あるいは使えるようになりたいならば他書を参考にすべきですが、それらを読んでも、まだ第一歩を踏み出せない場合にこの書はあなたの組織に有効か否かの示唆を与えてくれるでしょう。それでなくても各章の「まとめ」は、品質工学だけでなく設計品質あるいは品質問題未然防止の大きなヒントになることを約束します。

設計品質問題や品質工学導入の是非に悩む技術部長さんにおススメの一冊です。

「難しくない品質工学」鈴木真人著

投稿日 2016/08/04

本書は企業内で品質工学を実践しつつ、地方研究会で幹事として精力的に品質工学を研究している著者による参考書です。

品質工学はなかなか奥が深く、普段から利用している私でも「おー、そんなことがあるのか!」という場面が時々現れます。この分野の参考書を80冊ほど持っていますが、独自性を持ってこれだけの表現が成立するのは、そんな理由からでしょう。

本書の場合、パラメータ設計をダーウィン「進化論」との類似性で論じ、直交表で強制的に生成した突然変異を、誤差因子というフィルターで選択し、環境に適合した技術が生き残るというのは、楽しい考え方です。

品質工学を普段から実践している技術者は、他にも多くの気づきを得るでしょう。

中級者にとって「難しく」はないものの、一方で実践し始めたばかりの人にとっては「これなーに?」かもしれません。

疑問が積み重なってきた実践者におススメの一冊です。

これでわかった!超実践品質工学

投稿日 2016/07/03

品質工学(タグチメソッド)の入門書がたくさん出版されています。それだけ注目されているとも言え、また難しいとも言えるでしょう。それぞれの本が工夫されており、筆者の考えを反映したものですが、それ一冊で簡単に使えるほど品質工学は甘くありません。愚直に学習と実践を重ねる必要があります。

本書にも、筆者の経験と工夫が随所に盛り込まれています。特に、パラメータ設計の基礎となる機能性評価を重点的に解説し、機能の定義、ノイズ因子(誤差因子)抽出の方法など、類書にないノウハウやコツが開示されます。
品質工学の鬼門の一つである「SN比」を、筆者が所属する関西研究会で提案している「エネルギー比型」で記述していることも、理解を早めてくれるでしょう。

さらに、品質工学の実験計画シートやSN比・要因効果図などのパラメータ設計計算ツールを無償ダウンロードできるサービスもあり、初学者の導入には大いに役立つはずです。

「実践して成果を出す」ことを目的にしているだけあって、実務者が実務で迷いそうなところ、間違いそうなポイントを、現場目線で丁寧に解説していて好感が持てます。

初学者が初めて触れる入門書としても、また実践者が悩んだ時のノウハウ本としても、技術部隊の書棚に是非備えたい一冊です。