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QUESTION 質問No.60

統計手法の中の『層別』

生産QC7つ道具 |投稿日時:
お早うございます。初参加者Hungと申します。
早速ですが、統計手法の中の『層別』という分析手法がありまして、これの使い方、使う目的等ははっきり理解していない為、細かく説明していただけないでしょうか?又は事例がございましたら、参考としていただけませんか?
では、好いご返信をお待ちします。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

ご質問に解答させていただきます。

『層別』とは一定の条件を与えて事象をグルーピングすることで、現状や問題点を明確にするための手法です。
目的としては、品質や生産性に関する影響度を把握することにあります。
例えば、構内物流において時間毎の荷量や種類などを明らかにすることで、運搬の頻度や治具の見直し、あるいはバラツキの原因を明らかにすることで平準化に向けた改善につなげることなどが可能となります。同じような視点で、出荷や入荷の物流の改善にも応用が可能です。
また、設備や工程に流されている製品の『層別』を行うことで、同じような製造上の特性を持つ製品の流れを集約することで段取り替えの負担を減らし、多品種少量生産に向けた改善の着眼点を得ることも可能です。これは、特に構造別分類・機能別分類などとも呼ばれ、トヨタ生産方式を応用した仕組みの見直しにもよく使われます。
品質面の特性(不良、歩留まり、色合い、硬度、香り等)や数量面(一定時間における取り扱い数量や完成品の出来高等)の特性で仕分ける項目を決めて仕分けることで、傾向やバラツキを把握、問題解決の着眼点を得るには有効な方法です。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

 層別の基本的意味については、ネットで検索すれば出てきていると思います。ここでは、コンサルタントの視点なども加味して整理してみます。一般の方でもすぐわかる例を挙げれば、図書館の図書分類表などが典型的なものになると思います。

<層別とは>
 一言でいうと、値あるデータを発見する手法の一つです。問題点や課題をより具体化するために、多くのものを、ある特徴によって、いくつかのグループに分類します。
<層別の目的>
 品質の問題となる原因や影響度などを把握するために行います。具体的には、層別前の品質のバラツキと、層別後の各グループの品質のバラツキを比較します。
<使い方>
 例えば、市場で品質問題が発生し、その対策を実施するために原因分析を行うため、工場では次のように層別(分類)しています。
①原料・材料で分類
 メーカー別、ロット別、産地別、サイズ別、納入業者別など
②機械装置で分類
 加工方法別、号機別、工程別、新旧機械別、治工具別など
③作業員で分類
 経験別、年齢別、男女別、班別、シフト別など
④作業方法で分類
 温度、圧力、作業条件、作業方法別など
⑤時間で分類
 時間帯別、日別、週別、月別、曜日別、季節別など

【その他の視点での事例】
 品質問題だけでなく、いろいろな仕事などに応用できるように、このサイトの開発プロセスツールの視点で2つ紹介しておきます。
A: KJ法での活用
 ブレーンストーミング等でカード化された多くの意見・アイディアをグループ化し、論理的に整序して問題解決の道筋を明らかにしていくための手法がKJ法です。第2ステップで、関連性のあるカードを重ねて、それぞれのグループの内容を簡潔に表す見出し=「表札」をつける作業のことが層別に相当します。
B: ロジカルシンキングのMECEでの活用
 ロジカルシンキングの手法として、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)という考え方があります。漏れなくダブりなくどう分類するかのやり方です。これも層別に相当すると思います。例えば、技術業務の場合、次のような切り口がよく使われます。プロジェクトマネジメントのリスク分析などを行う場合に非常に有効です。
 a) ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ
 b) WHO(市場/顧客)、WHAT(機能/ニーズ)、HOW(技術/独自能力)
 c) Man(生産主体)、Material(生産対象)、Machine(生産手段)、Method(方法)
 d) 設計、調達、作業
 e) 導入期、成長期、成熟期、衰退期
 f) 顧客、競合、自社
 g) 現状、問題点、改善策
 h)財務的視点、顧客の視点、社内プロセスの視点、人材育成の視点

 回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

「層別」はQC7つ道具の中の一つです。QC7つ道具は、ヒストグラム、パレート図、散布図、特性要因図、管理図、チェックシートとご質問の層別で7つとなります。
以前のQC7つ道具は”グラフ”が7つ道具の1つでしたが、表計算ソフトの普及でグラフが身近且つ当たり前のツールとなり手法としての特殊性は無くなりました。よって今は「層別」がグラフに代わり7つ目のツールとなっています。

層別は7つ道具の中に含まれますが道具と言うよりデータ解析のテクニックと言った方が良いと思います。層別単独ではデータや情報を加工するツールとしての機能はありません。
層別は他のQC7つ道具や統計手法とセットで用いることで効果を発揮してくれます。

例えば小学校4年生の身長のヒストグラムを描いたとします。このヒストグラムに対し、性別を”項目”として男女で分けて描画すれば男女別のヒストグラムが描かれそれぞれの分布の特徴を知ることが出来ます。

この様に一つの母集団を特定の項目により複数の母集団に分類し、解析を行う事が「層別」です。総合データからは見えない特徴を見出す為に使用されます。

上の例で言うと小学4年生の母集団が小学4年生男子と小学4年生女子の2つの母集団に層別されました。

少し製造業的事例を挙げますと、
ある部品を3台の加工機を用いて4班シフト体制で製造している工場があるとします。
・仕様で決められている特性値はヒストグラムで分布形状を確認しています。
・特性値の変動は”管理図”を用いてモニターされています。
・規格外れは不適合原因を調べパレート図にまとめられています。
・加工圧と特性値の間は散布図で相関が見られます。

ヒストグラム、管理図、パレート図、散布図を装置別に層別する事で装置ごとの特徴が解ります。他にもライン別、シフト別、材料別、副資材別など様々な項目で層別して切り分ける事で単一母集団では見えてこない特徴や傾向が見えてきます。
切り分けは1項目だけでなく、2種類以上の項目で多重に切り分けても構いません。

層別のポイントは二つあります。
一つ目はどの様な項目で切り分けるかという事です。
もう一つはデータを取る時に後で層別解析が出来るように予め紐付けておくことです。

身長のデータは数値データに男女が紐付いていなければ男女別に層別出来ません。
製造データであれば、どの装置で、どのラインで、どのシフトで作られたのか、情報が紐付けられていれば迅速且つ簡便に解析を行うことが出来ます。
データ解析段階ではなく、データ収集の段階から層別する項目を意識しておくことが重要と言えます。

層別分析は統計解析の基本且つ最も重要と言える手法なので是非マスターして下さい。
工程異常や顧客苦情の多くは層別解析により原因が絞られるケースが多いです。QC7つ道具というコアツールの仲間入りを果たしたのもこうした実績が評価されたものと思います。

因みに統計解析専用のソフトウェアを用いる利点の一つに層別解析の容易さがあります。
データを層別したい”項目”と紐付けて入力していれば非常に簡便に層別加工後の図表を観ることができます。例えばヒストグラムであれば項目を選んでクリックしてあげれば一瞬で数個~数十の別グラフを描いてくれます。

層別についての図解や事例を含めた説明は当ウェブサイトにもございますので是非ご覧下さい。他のQC7つ道具や統計手法についての解説もご覧いただけます。