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QUESTION 質問No.54

優秀な人材の採用

全体/その他人的資源マネジメント |投稿日時:
社員30名で特殊合金の金属加工を40年やっています。
5年前に対象部品をそれまでの一般機械向けから航空機向けに変更したのが功を奏して、徐々に受注量が増えてきており、現状の人員では対応できないほどになってきました。

そこで若い従業員を増やしてこの機会を取り込みたいと、ハローワークに常時募集をかけていますが、会社の認知度が低いためかなかなか希望する人材が応募してくれません。

また長く携わってきたベテランの技能を新人に伝承するのも難しく、受注機会が逃げていくばかりです。

若くて優秀な人材を獲得する方法、そして採用した新人を早く戦力化する方法についてご意見いただければありがたいです。

[これは事務局による架空の(しかしありがちな)投稿です]

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

■まず、当社の現状から整理してみます。
金属加工において、一般機械向けから航空機向けに変更したことから、今までとは異なり、より高度な加工技術が必要になったこと、また多品種少量生産、変種変量生産の傾向が顕著になって来たものと思われます。

また、受注量が増えてきていることから、加工技術については40年の実績の積み重ねによって、航空機部品の高精度加工などの要求にも十分耐えうる技術力を有していると考えられます。

但し、受注量が増えてきた事によって、現状の人員では対応できなくなってきており、新たに、若い優秀な人材の獲得が必要になっていると判断しています。

またこれまで、親企業から一般機械向けの部品加工のみの仕事を手がけていたのとは異なり、技術、品質、納期などの管理面でもレベルアップが必要となっているが、人材、仕組みとも追いついていけず、受注増に耐えられなくなって来ていると思われます。

■次に当社の問題点について列挙してみます。
1. 技術の伝承について
金属加工40年の会社であることから、創業当初から在籍している社員数名は、60歳前後と推定されます。彼らは、長年、加工機械を使いこなし、自分の手足のように操り、高精度の加工も難なく来なく事ができるのですが、すべて体に覚えこませているために、マニュアル化などもされておらず、また若手技能者にはOJTもされておらず、その技術は一切伝承されていないものと思われます。

2. 若手人材の募集方法について
ハローワークに常時募集を掛けているということですが、高精度加工の経験を有する即戦力の若手技術者は、ハローワークから募集しても1年に1人いるかいないかであり、これでは、希望する人材は得られないであろうことは予測がつきます。

3. 社内のしくみ、教育制度について
今後、一般機械向けの部品加工から、航空機向けなど新たな分野に進出していくためには、常に産業動向や、市場の変化を捉え、会社の方向性を明確に定め、仕組みづくり、社員の意識づけ、教育を行っていくことが求められますが、当社はそれを怠ってきたと考えられます。
若手社員を受け入れても、社内の仕組みが不十分であれば、優秀な人材ほど定着は難しいと考えられます。

■では、若くて優秀な人材を獲得する方法、そして採用した新人をいかに早く戦力化する方法について、どのように対応していけばいいでしょうか?
1.技術の伝承について
金属加工40年の中で培ったノウハウをベテランから若手へ、今のうちから伝承していかなければなりません。
時間を割いて、現場作業を含む定期的な勉強会の実施、ベテラン作業者のビデオ・写真撮影、文書化、マニュアル化などの熟練技術・技能の可視化、ベテラン技能者の雇用を延長、または嘱託として若手の指導者へ任命するなどの対策を講じていく必要があります。

2.若手人材の募集について
ハローワークにとどまらず、技術者専門の人材紹介サービスの利用、ネット広告による募集、また地元工業高校との連携により、インターンシップにより学生の受け入れを行い、集合形式の研修ではなく、学生にものづくりの現場を見てもらうことを重視し、就業経験のない学生にものづくりの魅力を伝えることで、意欲ある人材の獲得につなげていくなど、多面的な採用活動を行っていく必要があります。

3.社内のしくみ、教育制度について
意欲ある人材の獲得につなげていく、また、長く在職してもらうためには、当社のものづくり企業としての魅力を十分に備えていなければなりません。
それには、経営者が当社の将来のあるべき姿を明示し、その方針に沿った「採用 → 教育 → 評価・認定 → 処遇」の、それぞれを関連付け、PDCAの回る仕組みの整備、また社員には、このステップを見える化を行い、将来に希望を持てるようにすることが重要です。

但し、新卒者は、3年、5年のスパンで戦力化を図っていくことが求められ、即戦力としては、中途採用者を雇用するなどの対応も必要になってきます。
但し、人件費は最小限に抑えなければならず、そのためには現在在籍する30名の社員の適性を見極め、人材マップを作成し、適正に応じた再教育により戦力アップを図り、労働生産性を高めていくことも必要と思われます。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

 人財開発戦略、教育プログラム構築、キャリアカウンセリングなどに携わってきた経験から、できるだけ具体例を交えて、優秀な人材を獲得する方法および採用した新人を早く戦力化する方法について、意見を述べます。まず、優秀な人材を獲得する方法について、手順に沿って述べます。機会損失防止や目先の利益確保が目的ならば、熟練工の大手企業退職者の再雇用が効果的です。ここでは、新卒、第二新卒の学生、フリーターや非正規従業員からの入社希望者等も含めた若手を前提条件として対応策を考えます。
(1)求職者の視点に立った求人活動を追求する
 ここで重要なことは、求職者の出来るだけホンネのニーズを把握することです。筆者が指導する学生たちや入社後間もない若い技術者とのカウンセリングから引き出したホンネのニーズは、次のようなものでした。決して、やりたい仕事の内容だけではないようでした。
①正社員として採用され、基本的な福利厚生制度が整っている会社で働きたい
②若手の意見を取り入れてくれて、自由度の高い社風の会社で働きたい
③社会の役に立っていると実感できる仕事をしたい
④転職しなくてはならなくなったとしても、将来まで使えるスキルを磨ける会社で働きたい
⑤魅力的なビジョンをもった経営者のいる会社で働きたい
(2)求める人材像を明確化する
企業は、入社してから中堅、管理職になるに従って、会社が求める人材が変化していきます。一般的には、新入社員は、協調性・責任性・積極性などの意欲・取組姿勢などが重視されます。中堅社員は、知識・技能などのレベルアップ、理解力・判断力が求められてきます。管理職になると、企画開発力、折衝力・決断力などが強く求められるようになります。しかし、重要なのは、その中小企業の強みをレベルアップするものや弱みを補完するものなど、御社の特性に合った人材像なのです。例えば、新分野を強化したのであれば、コミュニケーション力を多少目を瞑っても、創造性豊かな尖った人材を重視しても良いわけです。
(3)採用方法を見直す
 採用活動の求人手段として、「ホームページ」「パンフレット」「会社説明会」などがあります。例えば次のようなことを考慮しているかチェックし、吟味することです。
①ホームページ:どういう人が働いているか。どういう職場なのか。社長や先輩社員などのメッセージを入れているか。
②パンフレット:事業案内や製品案内以外に、入社3年後~5年後までの自分をイメージできるものなどを掲載しているか。
③会社説明会:将来に期待が持てるか。入社に対して意欲的か。社長が直接、ビジョンや熱意を伝えているか。

 新人採用に関する具体例を2つ紹介します。幸楽苑というラーメンのチェーン店の社長は、自ら就職説明会に出て学生に対して、会社の魅力を訴えていました。今年の売り手市場の時期に、都心ではよい学生が応募してくれないので、地方大学に出かけて説明会を開催しています。そのメッセージの中に「わが社に入社してくれると、何年かで一人前になるように、そして、他社でも通用する人材に育てます。」と熱く訴えていました。 また、筆者の知人で、機械の設計・製造・金属加工を手掛けて、30年以上生き残っている社長は、上記の手順のような新人採用方法を20年前ぐらいから実践しています。地方の学校まで出向いて、先生と学生に、会社のビジョン、組織風土、仕事のやりがい、スキルアップなどを説いてきました。その結果、10人ぐらいの若手の採用を実現できています。そして、数年かけて優秀な人材に育ています。どうやら、競合中小企業が、徐々に破たんしていった中で、生き残った秘訣にもなっていたようです。

 次に、新人を早く戦力化する方法について述べます。これは、結論を一言でいえば、急がば回れの精神で教育を実施することだと考えます。筆者の体験も踏まえて、有効と考えられる方法を紹介します。一般的には、熟練ノウハウの可視化のために、マニュアル化、ビデオ録画もある程度は効果的だと思います。コンサルティング企業のヒアリングやキャリアカウンセリング結果から言えば、それだけでは不十分であることが分かります。優秀な人材に育てるためには、若手が自律的に学び、考える習慣をつけることや難しいテーマにチャレンジさせることが重要なのです。

 御社の業態に特化して対応策を考えると、次のようになります。基本的には、OJT主体の教育を行うのがベターだと考えます。どこでも通用する人材に育てるためには、例えば、次のような方針で行うと効果的のようです。筆者の知人の類似業態の会社での成功実例です。
①金属加工業の場合、旋削、研削、仕上加工、NC加工、特殊加工等をジョブローテーションで実践させ、各人の資質を見極める。
②お客様の使用目的や設計仕様を理解させるため、社内でのディスカッションに参加させる。
③時々、お客様との仕様説明会に同席させて、自律的に考える習慣を養わせる。
④資格取得や技能オリンピック等に挑戦させる機会を創出する。

 それでも、ジョブローテーションなどやっている余裕はない、設備な用意できないと言われるならば、もっとシンプルな方法もあります。例えば、職業訓練校に国内留学する方法です。例えば、半年間のプログラムで、主な加工法をシステマチックにほとんど体験できて、若手の興味や適正を探る上で効果的のようです。筆者も、若い時に体験した方法でもあるため、特に中小企業の経営資源から判断すると、お薦めの対応策です。

 回答者:ぷろえんいにあ 代表 粕谷 茂




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

ご相談いただきました、
1)若くて優秀な人材を獲得する方法
2)採用した新人を早く戦力化する方法
ですが、私自身の経験も踏まえ回答させていただきます。

1)若くて優秀な人材を獲得する方法
まずは、そもそもどういった人物を採用したいか、明確にされることが重要かと思います。

例えば、私が以前勤めていたプレス金型メーカーの例ですが、
・経験者を採用しマシニングのスペシャリストになる人物が欲しいのか、
・未経験者であっても設計から機械加工、組立までこなす多能工になる人物がほしいのか、
などに意見が分かれました。

なぜこのような例を挙げたかと言いますと、まず短期的に打つ対策としてハローワーク掲載情報の見直しがあるからです。これにより応募してくる人の質が変わった企業様もあります。これは、商品の販売をするときのマーケティングの考えによく似ています。いわゆる「誰に何をどのように」です。より具体的に決めたターゲットとする人材に、どのようなメッセージなら当社を気にかけてくれるのか、これを考えます。

ある企業様で、自社ホームページに記載している社長のものづくりへの想いと応募者へ向けたメッセージに感銘を受けて毎年数名の新卒採用ができている事業者様もおられます。このように社長からのメッセージは採用においてとても重要です。

具体的なハローワークの登録情報についてですが、未経験者にも採用枠を広げるのでしたら、あまり専門用語が多すぎる業務説明は、見る人にとってハードルが高く感じ、応募をあきらめるかもしれません。
また、今はハローワークの情報はインターネットで閲覧できますので、一度自社の地域で同じ業種のキーワードで検索をかけ、自社の給料の相場を確認していただけるとよろしいかと思います。
この見直しによって応募者の質が変わった企業様もあります。検索する際に賃金の金額欄で「~円以上」と入力して検索することができますので、あまり相場に対して給与額が低いと、応募者がフィルターをかけてしまいます。

ハローワークの登録について整理しますと、①具体的に採用したい人物像を明確にする、②その人が聞きたいであろうメッセージを「備考欄」などに記入する、③賃金項目の金額の見直しを行う、ということになります。

若くて優秀な人材ほど、自らの将来を考え衝動的な行動はとらないと考えます。入社を考えている企業が、業界内でどのような位置づけで、どのような強みを持ち、そして経営者様が顧客や従業員についてどのように考えているか、しっかり見極めて主従関係を結ぼうとするのではないでしょうか。ぜひ40年積み重ねてきたモノづくりへの想いを多くの若者に発信していただきたいと思います。

2)採用した新人を早く戦力化する方法
多品種生産の製造現場の人材育成はご存じのとおりとても難しい課題です。

その要因を挙げてみると、
①作るものが毎回異なり定型化・標準化しづらい
②覚えるポイントが多岐に渡るうえ習得の反復効果が低い
などになります。

採用人材を早期に育成するということは、上記①②の課題を解決するということでもあります。その解決方法を順番にみていきたいと思います。

①作るものが毎回異なり定型化・標準化しづらい
まず定型化できる作業と、できない作業に分けて考えます。
例えば、金属加工の段取り手順は定型化できます。むしろ定型化していないと抜け・漏れが発生しますのでこれは必要な作業です。
逆に定型化できないのは、イレギュラーに変化することです。例えば、毎回異なるワーク形状に対するクランプの位置であったり、ワーク形状や材質が変化することによる加工条件などです。これらは定型化できないノウハウになります。
ではどうするかと言いますと、その「考え方」を伝えます。つまり、アルゴリズムになります。例えば、あるベテラン加工者はどうしてそのクランプ位置を選択したのかといった考え方を伝えます。
したがいまして、そもそも教える側にアルゴリズムがはっきりしていないと実は教えられないということになります。例えば、特殊なワーク形状のクランプ位置に対し、なぜここを押さえたのか、なぜこのクランプ治具を使うと判断したのか、教える側が頭の中に決まっていないと教えることができないということです。判断したからには何らかのアルゴリズムがあるはずなので、それを言葉にするだけです。
よく昔の人は「仕事は見て盗んで覚える」と言いますが、私も金型を作っていた頃、金型の凹凸形状をピタッと摺合せ調整をするという作業は、先輩が作業しているところを見て覚えました。光明淡を使って型のクリアランスを見ているのはわかりましたが、付着した光明淡で何を判断しているのか、はっきり理解できないと自分も同じようには作業できませんでした。

このように、一つひとつの手順について「なぜ、こうするのか?」を順番に説明していくと、教えられる側も自分の作業に応用できる知識として蓄積されていきます。
もしよろしければ、この点について御社の状況をご確認されてはいかがでしょうか。

②覚えるポイントが多岐に渡り習得の反復効果が低い
そもそもの原因として、中小企業の仕事は規模の経済が効かない多品種少量生産が多いことが挙げられます。このため作業の反復効果が低くなります。

この問題を打開するため、反復効果の高い教育用ルーチンワークを作っている会社もあります。特に金型メーカーはその代表選手です。毎回つくるものが変化し、しかも製造工程は、設計や機械加工、ハンドワークまで種類が多いです。これを通常業務のOJTだけで育成しようとすると、とても長い時間がかかります。ですから、自社業務の中で頻度の高い共通事例を用い、ルーチン化した練習題材をつくり、研修期間にやってもらいます。最初は練習ばかりでお金を生まないので会社として抵抗がありますが、結果、成長の目標地点到達までが早くなります。もしよろしければ参考にしてみてください。

最後に教育実施手順を紹介します。参考にしてください。

1)教育内容を精査する
業務内容のアルゴリズムや標準化ができているかの確認をします。
2)教える担当者を決める
 教育担当者を決めたら、その者が行う教育スキルを確認します。
3)教える期間を決める
 できるだけ教育内容はルーチン化して同じ品質の教育を繰り返せる仕組みを作ります。
4)教育時間を生産計画の中に組み込む
 材料入荷や工程間のつながりの都合上、隙間時間はできるので、事前に教育時間に見合った教育内容を決めておき、計画の中に教育時間を組み込みます。
5)マニュアルは新人さんにつくらせる
 中小企業では、事前の教育マニュアルづくりは負担が大きいので、新人さんが教えてもらったタイミングでそれを後輩や同僚に横展できるマニュアルに仕上げます。そうすることで自身の確認にもなり、教える側の負担も減ります。マニュアルの内容は、例えば、機械の操作手順や留意点、材料の知識や扱う留意点、安全についての注意点などです。以後それを使えば、教える側も抜け・漏れを防ぐ効果もあります。