今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大（抽象化）／縮小（具体化）できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
1. パラメータ変更原理の概要
気体、液体、固体の各々の物質の相での物理的状態、密度、伸縮性等のパラメータを状況に応じて変化させて活用する考え方です。例えば、形や条件を変えるものはこの考え方になります。
図1. 35パラメータ変更原理のイメージ図
2. サブ原理の種類と図解事例
a.物質の気体、液体、あるいは固体の物理的な状態を変更する考え方
LNG（液化天然ガス）を液体にして輸送すると、体積を縮小できます。LNG（液化天然ガス）は、メタンを主成分とする気体をマイナス160℃程度に冷却し、液化したものです。
図2. LNG（液化天然ガス）の輸送
b.濃度や均一性を変える考え方
濃縮したジュースは、体積が縮小化され、輸送がより容易になります。
図3. 濃縮ジュースの製造工程（参考文献：カゴメ株式会社 HP）
c.柔軟性の程度を変える考え方
靴は、ゴムを加硫して、柔軟性および耐久性を変えています。靴を金型にセットし、加硫釜（バルカナイザー）の中で加熱して加硫圧着しながら同時に本底を成型します。原料ゴムに混ぜた硫黄が加熱により化学変化を起こし、丈夫で弾力性のあるゴムに変化します。
図4. 加硫法で作られたスニーカー(参考文献：チヨダ株式会社 HP)
d.温度を変える考え方
トーストは、温度で焼き加減を調節します。
図5.トーストの焼き加減
e.圧力を変える考え方
圧力鍋なべでは、圧力を加えて調整することにより、より短時間で風味を失うことなく料理できます。
図6.圧力鍋（参考文献：G-KS.COM HP）
f.他のパラメータを変える考え方
コンピュータの動的メモリー管理では、条件により使う資源の割合を変えます。
図7.コンピュータの動的メモリー管理
3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例
・ドライアイス/液体酸素
・パソコンのドライブ毎のハードディスク容量の割合
・株取引に使うポートフォリオ
・パソコンのドライブ毎のハードディスク容量の割合
・株取引に使うポートフォリオ
4. 40の発明原理の主な活用法
a.慣習的に使われている方法
問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、真の目的または根本原因を確認後、関連しそうな発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法
矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性（パラメータ）が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば，改善する特性で「移動物体の体積」、悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと、矛盾 Matrix表の交...
